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しおりを挟む傷は、もうほとんど塞がっている。歩くのに支障はない。
…短時間とはいえ、朝日を直に浴びてしまった肌が、じくじくと痛む。
____『救い続ければ、いつかはきっと』
なぜか、彼の言葉が頭の中を過ぎった。
「……少し、疲れたな」
呟いた言葉は、誰に届くこともない。
-*-
街のはずれに差し掛かる。
……自分は今、どんな顔をしているのだろう。
僕は、いつまで『救う側』でいられるのだろうか。
そんな、らしくもないことを考えて______
「ダンピィ!!」
さして大きくないその声は、透き通った朝の空気の中で、しんと響いて聞こえた。
驚いて、顔を上げる。
小さな少女と、僕が着ているものによく似た黒外套を目深に被った人影があった。
「エミリ……?」
思わず目を見張る。
エミリは…転がるようにこちらに駆けてきて……
「わっ……!?」
最後の数歩、ほとんどつまづくようにして転がり込んできたエミリを慌てて抱きとめた。
「おかえりなさい……!」
彼女は、泣きそうな顔をしていた。
小さな体が、とても温かい。
……気づけば笑みを零していた。
なんだか、久しぶりに笑った気がした。
「……うん……ただいま」
頭を、やさしく撫でる。
ゆっくりと歩み寄ってきた、黒外套の人影が口を開いた。
「な?ちゃんと帰ってきただろ?」
「……ピグレドのキミが、なんでこんなとこにいるわけ?」
「俺だって昼間全く外に出ないわけじゃねぇっつうの」
「…だってキミ、僕よりずっと日の光に弱いのに」
「お前の方が重症だろうが。足音で分かんだよ」
……気を、遣ってくれたらしい。
「……ここで会えてよかった。ちょうどいいや。僕は、このまま教会へ報告に行く」
「……はぁ?」
「そうしたら多分、次の指令が出されるだろうから、すぐに発つよ」
フードに深く隠れほとんど見えない顔が、しかめられたのが分かった。
「お前な。またそうやって…___」
「……忙しくしていた方が、気持ちが楽なんだ」
「っ…………」
何かを言おうとして、どうやら上手い言葉が見つからないらしい兄弟から目を逸らし、エミリに向き直る。
「……お別れだね」
次の瞬間、大音声でエミリが叫んだ。
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