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第十幕 転生歌姫と忍び寄る戦火
第十幕 プロローグ 『婚約発表』
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私とカイトの婚約は、レーヴェラント側からの快諾の返事が来たことにより、正式に発表される運びとなった。
国内外の上層部、有力貴族などに向けてイスパル王国とレーヴェラント王国の連名で通達が行われた他、民衆に対しても大々的に周知されたのだった。
「カティア様!この度のご婚約、まことにおめでとうございます!」
「「おめでとうございます!!」」
「あ、ありがとう、みんな」
婚約が発表されてから、ここ学園の生徒たちの間でもその話で持ちきりだとか。
今も、そこそこ仲の良い娘たちから祝福の言葉をもらった。
もちろん、凄く嬉しいのだけど……ちょっと恥ずかしくて、多分顔が赤くなってるだろうなぁ…
「ようやく…ですわね」
「う、うん。返事が遅かったからドキドキしたけど…良かったよ」
「ふふ…その間のカティアの心配顔は、まさに恋する乙女のものだったね~」
そ、そうかな…
完全に自分の意識は女性のものになったという自覚はあるのだけど…そんなに乙女してるつもりはないんだよなぁ…
「ほんとよねぇ…授業中だって、窓の外をぼんやり眺めながらせつなそうな表情でため息ついてるんだもの」
「テオフィルス様も、罪な方よね…」
「それはしょうがないよ。彼だって早く返事したかったと思うよ。でも…大変な状況みたいだし」
これまでの明るい雰囲気が一転する。
婚約の返事とともにもたらされたその情報。
こちらは特に公にされてはいないが、隠し通せるようなものでもないので、既に噂としてかなり広がっているらしい。
「グラナ…か。戦争が始まるのかな…?」
「それはまだ分からない。ただの示威行動の可能性もあるって。でも、最悪は…」
あからさまに国境付近に軍を展開しているが、あまりにも大々的に行われているので大規模軍事演習や威嚇行動の可能性もあるとのこと。
だが、当然レーヴェラント側としてはそれを見過ごすことなど出来ないので、同規模の軍を国境付近に展開して警戒にあたってるらしい。
指揮官として赴いてるのは第二王子のアルフォンス殿下。
カイトの異母兄さんだ。
長らく国政に携わっていないカイトには、何らかの役割が割り当てられてる訳ではないが、きっと彼のことだから祖国を脅かす事態を黙ってみてる事はしないと思う。
そうなると、彼がこちらに戻ってくるのは相当先になってしまうのかもしれない…
もしそうなったら…まあ、大人しく待ってるつもりは無いね。
相手がグラナ帝国ならレーヴェラントだけの問題ではないし、おそらく父様も援軍を送る判断を下すと思う。
それに、守るための戦いならば…私も[絶唱]の力を使うことは吝かではない。
そして更に言うなら…
今回の件には『黒神教』が関わってる可能性が高いと考えてる。
もとよりグラナ帝国と黒神教は密接な関係にあるのだ。
『異界の魂』が頻出するようになり、彼らの活動もそれに呼応して活発化…そのタイミングでの今回の件だ。
関係ないと思う方が不自然だろう。
と言う訳で。
婚約の挨拶もあるし、私も近々レーヴェラントには向かうことになるだろう。
あわせて今回の件に関する助力も願い出るつもりだ。
…ふふふ。
お義父様とお義母様に出来るオンナをアピールするのだ!
「…何だか難しい顔をしたり、ニヤけたり…何を考えてるんでしょうね」
「…はっ!?な、何でもないよ!とにかく、戦争になるのは避けたいところだよね」
いけないいけない、戦争になれば多くの犠牲者が出てしまうというのに、そんな邪な考えを抱いちゃダメだよね。
でも、もしそうなったら自分に出来ることは精一杯やるつもりだ。
そうして日々は過ぎ、季節は冬になった。
この辺りはそれほど冬の寒さは厳しくはないが、それでも早朝ともなれば吐く息は白く、身を切るような寒さに身震いする。
アクサレナでは降雪は珍しい方だが、北部の山沿いなどではかなり積もって一面の銀世界になるらしい。
私は前世も含めて夏の方が好きなので、冬の寒さは好きではないのだけど、雪景色を眺めるのも風情があって良いと思う。
そう言えば…【俺】が最後に雪を見たのはいつだったかな…?
スキーのようなものはあるらしいけど、遊びというよりは実用的な移動手段の位置付けみたい。
レジャー化したら流行りそうだけど…その辺は知識チート担当のレティの範疇かな。
鉄道需要も掘り起こせると思うし、レティシアさんどうでしょう?
そして、もうすぐ学園に入学してから初めての長期休暇となる。
私とミーティアはそれに合わせてレーヴェラントに向かう予定だ。
今回は当然ながら王女…正式な国賓として訪問する事になっているので、今から色々な準備を行っているところだ。
それは良いのだけど…
「ねえマリーシャ?こんなにドレスが必要なの?」
「はい。これでも減らしている方ですよ。イスパルの姫君ともあろう御方が侮られるわけにはいきませんからね」
う~ん、普段にも増して気合が入ってるな~…
ミーティアもサイズ合わせのため取っ替え引っ替え着替えさせられて目を回している。
…がんばって!
「やっぱり王女サマってのは移動するだけでも大変なんだね~。冒険者なら身軽なんだけど」
「ふふ…カティア様は冒険者の格好も素敵でお似合いですね。ただ今回は国家としての正式な訪問ですから」
「うん、分かってる。それに、今回はマリーシャもついてきてくれるんだよね。頼りにしてるよ」
「はい、身の回りのお世話はお任せください」
マリーシャ以外にも使用人が数人、ケイトリン、オズマも含めた護衛騎士たち。
そして、私の他にも国賓として招かれる人も何人かいるのと、事務方もかなりの人数が行くことになる。
総勢で…何人くらいいるんだろ?
まるで大名行列みたいだな…なんて思った。
国内外の上層部、有力貴族などに向けてイスパル王国とレーヴェラント王国の連名で通達が行われた他、民衆に対しても大々的に周知されたのだった。
「カティア様!この度のご婚約、まことにおめでとうございます!」
「「おめでとうございます!!」」
「あ、ありがとう、みんな」
婚約が発表されてから、ここ学園の生徒たちの間でもその話で持ちきりだとか。
今も、そこそこ仲の良い娘たちから祝福の言葉をもらった。
もちろん、凄く嬉しいのだけど……ちょっと恥ずかしくて、多分顔が赤くなってるだろうなぁ…
「ようやく…ですわね」
「う、うん。返事が遅かったからドキドキしたけど…良かったよ」
「ふふ…その間のカティアの心配顔は、まさに恋する乙女のものだったね~」
そ、そうかな…
完全に自分の意識は女性のものになったという自覚はあるのだけど…そんなに乙女してるつもりはないんだよなぁ…
「ほんとよねぇ…授業中だって、窓の外をぼんやり眺めながらせつなそうな表情でため息ついてるんだもの」
「テオフィルス様も、罪な方よね…」
「それはしょうがないよ。彼だって早く返事したかったと思うよ。でも…大変な状況みたいだし」
これまでの明るい雰囲気が一転する。
婚約の返事とともにもたらされたその情報。
こちらは特に公にされてはいないが、隠し通せるようなものでもないので、既に噂としてかなり広がっているらしい。
「グラナ…か。戦争が始まるのかな…?」
「それはまだ分からない。ただの示威行動の可能性もあるって。でも、最悪は…」
あからさまに国境付近に軍を展開しているが、あまりにも大々的に行われているので大規模軍事演習や威嚇行動の可能性もあるとのこと。
だが、当然レーヴェラント側としてはそれを見過ごすことなど出来ないので、同規模の軍を国境付近に展開して警戒にあたってるらしい。
指揮官として赴いてるのは第二王子のアルフォンス殿下。
カイトの異母兄さんだ。
長らく国政に携わっていないカイトには、何らかの役割が割り当てられてる訳ではないが、きっと彼のことだから祖国を脅かす事態を黙ってみてる事はしないと思う。
そうなると、彼がこちらに戻ってくるのは相当先になってしまうのかもしれない…
もしそうなったら…まあ、大人しく待ってるつもりは無いね。
相手がグラナ帝国ならレーヴェラントだけの問題ではないし、おそらく父様も援軍を送る判断を下すと思う。
それに、守るための戦いならば…私も[絶唱]の力を使うことは吝かではない。
そして更に言うなら…
今回の件には『黒神教』が関わってる可能性が高いと考えてる。
もとよりグラナ帝国と黒神教は密接な関係にあるのだ。
『異界の魂』が頻出するようになり、彼らの活動もそれに呼応して活発化…そのタイミングでの今回の件だ。
関係ないと思う方が不自然だろう。
と言う訳で。
婚約の挨拶もあるし、私も近々レーヴェラントには向かうことになるだろう。
あわせて今回の件に関する助力も願い出るつもりだ。
…ふふふ。
お義父様とお義母様に出来るオンナをアピールするのだ!
「…何だか難しい顔をしたり、ニヤけたり…何を考えてるんでしょうね」
「…はっ!?な、何でもないよ!とにかく、戦争になるのは避けたいところだよね」
いけないいけない、戦争になれば多くの犠牲者が出てしまうというのに、そんな邪な考えを抱いちゃダメだよね。
でも、もしそうなったら自分に出来ることは精一杯やるつもりだ。
そうして日々は過ぎ、季節は冬になった。
この辺りはそれほど冬の寒さは厳しくはないが、それでも早朝ともなれば吐く息は白く、身を切るような寒さに身震いする。
アクサレナでは降雪は珍しい方だが、北部の山沿いなどではかなり積もって一面の銀世界になるらしい。
私は前世も含めて夏の方が好きなので、冬の寒さは好きではないのだけど、雪景色を眺めるのも風情があって良いと思う。
そう言えば…【俺】が最後に雪を見たのはいつだったかな…?
スキーのようなものはあるらしいけど、遊びというよりは実用的な移動手段の位置付けみたい。
レジャー化したら流行りそうだけど…その辺は知識チート担当のレティの範疇かな。
鉄道需要も掘り起こせると思うし、レティシアさんどうでしょう?
そして、もうすぐ学園に入学してから初めての長期休暇となる。
私とミーティアはそれに合わせてレーヴェラントに向かう予定だ。
今回は当然ながら王女…正式な国賓として訪問する事になっているので、今から色々な準備を行っているところだ。
それは良いのだけど…
「ねえマリーシャ?こんなにドレスが必要なの?」
「はい。これでも減らしている方ですよ。イスパルの姫君ともあろう御方が侮られるわけにはいきませんからね」
う~ん、普段にも増して気合が入ってるな~…
ミーティアもサイズ合わせのため取っ替え引っ替え着替えさせられて目を回している。
…がんばって!
「やっぱり王女サマってのは移動するだけでも大変なんだね~。冒険者なら身軽なんだけど」
「ふふ…カティア様は冒険者の格好も素敵でお似合いですね。ただ今回は国家としての正式な訪問ですから」
「うん、分かってる。それに、今回はマリーシャもついてきてくれるんだよね。頼りにしてるよ」
「はい、身の回りのお世話はお任せください」
マリーシャ以外にも使用人が数人、ケイトリン、オズマも含めた護衛騎士たち。
そして、私の他にも国賓として招かれる人も何人かいるのと、事務方もかなりの人数が行くことになる。
総勢で…何人くらいいるんだろ?
まるで大名行列みたいだな…なんて思った。
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