【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
410 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 66 『迷宮管理者は語る』

しおりを挟む
 ついに王都ダンジョンの最深部に到達した私達は、そこで迷宮管理者ダンジョン・マスターと名乗る人物に出会った。
 驚くべき事に彼は、前世の【俺】……あるいは賢者リュートと同じ姿をしていたが、それは借り物だと言う。
 その正体はこのダンジョンの中枢とも言うべき存在、ダンジョン・コアであった。


 人格を持ち意思疎通が出来るダンジョン・コアが存在するなどと聞いた事は無いが……

「数千年の時を超えて存在し続けた私は、ダンジョンに潜る様々な人間たちの意識を読み取る事で学習し、人格を得るに至りました」

 と言う事らしい。

 と言う事は、古くから知られたダンジョンのコアは同じように人格を持っているのかもしれない。
 王都ダンジョンと同じくらいの歴史と規模を持つダンジョンはやはり未踏でコアは発見されてないだろうから、可能性は高いと思う。



 ともかく、賢者リュートが導いた先……ここが目的地であるのは間違いない。
 彼が伝えたかったこと……それは今目の前にいる迷宮管理者ダンジョン・マスターに聞け、と言う事なのだろう。




「あなたは……あ、そう言えばお名前は……?」


「元来、私には名などありませんでしたし、それで困ることも無かったのですが……不便だと言ってリュートが名付けてくれました。どうか私の事は『ダン吉』とお呼びください」


 りゅ~とぉ~っっ!!?

 お前、本当に【俺】なのかっ!?
 フザケ過ぎだろっ!!?


「『ダンキチ』……変わった響きですわね?」

「確かに。東方系の響きにも聞こえますね」


 くっ……私しかツッコめる人間がいねぇっ!!


 ……まぁ、いい。
 とにかく今は話を聞かねば。



「そ、それで……ダンキチさんは、賢者リュートに会ったということですが、どう言う話をされたのですか?」

「彼はこの世界の行く末を憂いていました。かつてない災厄が未来に訪れる事を予見していたのです。彼はこの世界と異る世界よりやって来た『異邦人』で……私には理解しかねる事だったのですが、彼はこの世界に来る前に、この世界の未来を垣間見たと言うのです」

「それは賢者の書にも書いてありました。『魔王』や『邪神』と呼ばれるような存在が現れ、世界を混乱に陥れる、と」

「然り。かの者たちは異界より現れる。そして賢者は、異界……異質なものとしてダンジョンの存在にヒントを求めた」


 そうだ。
 そこまでは書に書いてある。


「ええ。そう考えたリュートはダンジョンに潜って……ここに到達してあなたに出会った。そして、ダンジョンの存在意義が異界の扉を封じるものだと言う事を知った。……書に書かれていたのはここまで。あとはその目で確かめよと……私達は賢者が遺した足跡を辿ってここまで来たのです」

「そうでしょうね。彼はここで私と話したあと、様々な仕掛けをダンジョンに施しました。世界の危機に立ち向かうだけの志と力を持ったもののみが、ここに来れるように…と。私もそれに協力しています」


 第5階層の隠し部屋に始まり、案内の迷宮妖精ミロンや各層の試練などの事だろう。

 なるほど……到底人間の力では成し得ない仕掛けの数々も、このダンジョンの中枢たるコアが力を貸せば……と言う事か。



「ミロンはリュートに造られたと言っていたけど、もしかして……」

 なお、彼女は再びミーティアの頭上に陣取っている。
 もうすっかりその絵面に慣れてしまった。

「器をリュートが造り、私の魂の一部を分け与えて命を吹き込みました。その娘は言わば、私の分身のようなものです」

「はい。リュート様とダンキチ様が父親であり母親ですね!」

 ……果たして残念な性格はどちらのものを引き継いだのやら?



「……それで、ダンジョンが異界の扉を封じる、と言うのは?そもそもダンジョンとは一体何なのでしょうか?」


 私は核心となる質問をする。

 この世界でも異質な存在……それはここに至るまでに十分に認識することができた。

 果たしてダンジョンの秘密とは……?




 ついに、その秘密が明らかになる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...