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第十三幕 転生歌姫と生命神の祈り
第十三幕 62 『決着間近……?』
しおりを挟む「光が……」
誰かが呟いた。
煌めく緑の光が戦場すら美しく彩る。
その輝きは雫となって、望むと望まざると戦う者たちへと降り注いだ。
それを浴びたグラナ兵や魔物の多くが、糸が切れた操り人形のように地面に崩れ落ちる。
もともとは戦いによって死傷していた者が、薬師の毒によって無理やり戦わされていたのだ。
その効果が失われたのだろう。
「馬鹿な……ワシの特製『死人の秘薬』を解毒したじゃとっ!?」
「物騒な名前だこと。さっきので成分は見させてもらったからね。言ったでしょう?私も薬や毒には詳しいって。……まぁ、私一人の力では全員を解毒するのは流石に無理だったけどね」
精霊樹の力か。
……なんか、『ばあちゃん』って言ってた気がするけど。
何れにしても、これで……!
『流石はご先祖様!!』
「がくっ!ちょ、ちょっと、ご先祖様って……まぁ、間違ってないかもだけど」
メリエルちゃんの呼び方に苦笑するメリアさん。
「残るは……薬師だけ……!!」
「散々やってくれたからな……キッチリ落とし前はつけさせてもらおう!」
「我らの勝利は目前だ!!」
グラナ兵や魔物たちは、ほぼ壊滅状態。
残党もウィラー兵に任せておけば大丈夫だろう。
テオ、イスファハン王子、ジークリンデ王女が薬師と対峙する。
メリアさんとメリエルちゃん(精霊樹)もだ。
私は対魔族の切り札『滅魔の刃』を使うため印を発動させるべく集中する。
「いったい森の魔物たちは何をしておるのじゃ!?もうとっくに森都に侵攻してくる頃合いじゃぞ!?」
「……ここを何処だと思ってるの?ウィラー大森林を守ろうとするのは、何も王国の者だけじゃない。神狼の一族、意志ある精霊たち、森に暮らす部族……普段はあまり人間に関わろうとしないエルフの民だってそうよ。この森に住む全ての者が、この森の秩序を乱すものを許さない」
……そうだった。
確かにメリアさんは『森の仲間たち』を援軍に向かわせると言っていた。
きっと、薬師に操られた魔物たちは彼らが食い止めてくれてるのだろう。
「どうやら……本当に残るはお前だけのようだな」
テオが聖剣を構え……印を発動する!
すると、聖剣から猛烈な勢いで青い光が噴き上がる!!
これは……そうか!
聖剣の力を『解放』してるんだ!!
そんなことも出来るんだね……!
さらに、イスファハン王子やジークリンデ王女も印を発動する。
これが最後の戦いと見て、一気に決着を付けるつもりだね!
よし、私も……!
「……まだじゃ。まだまだじゃあっっ!!!」
もはや後が無いと思われた薬師だったが……ヤツは地面を蹴って後ろに跳ぶ!
逃げるつもりか!?
いや、違う……ヤツが後退したその先にには……!
「まさか、ブレイグ将軍!?」
そこには、力尽きて気を失っていたブレイグ将軍が横たわっている!
「さぁ!!ブレイグよ!!お前の真の力を見せてみよっっ!!!」
最初にグラナ兵に放った時よりも濃い瘴気がブレイグ将軍に浴びせられる!!
ビクンッ!
と、彼の身体が激しく震えた。
そして、バッ!と弾かれたように飛び起きて……
今度はブルブルと小刻みに痙攣し始める。
見開かれた目は真っ赤に充血し、しかし意志の光は見えない。
「い、いったい何が……!!」
バァンッ!!
派手な音を立てて鎧が弾け飛ぶ!!
瞬く間に身体が肥大化していき、真っ赤な獣毛に覆われ……!
『GRRRR………!!!』
私達の前には、赤き巨人が立ちはだかるのだった……!!
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