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幕間
幕間25 リナちゃんとメリアさんの森都ぶらり街角訪問(2)
しおりを挟む「というわけで!街に散策に行こう!カティアちゃん!」
「う、うん?」
カティアが部屋に戻ってくると、早速エメリナは『散策に出かけよう』と切り出した。
隣りにいるメリアは苦笑している。
唐突な話に面食らうカティアだったが……
「え~と、街に遊びに行くって事だよね。私もそのつもりだったし……皆で一緒に行こうか」
と、了承した。
「お~、流石はカティアちゃん。話が早いよ!」
「ちょうどメリエルちゃんも案内してくれるって言ってたし」
森都モリ=ノーイエは大陸有数の観光都市でもある。
カティアたちは到着早々に戦闘に入ってしまったので街並みの景色を楽しむ余裕など無かったが、帰国する前に街を見て回りたいと話をしていたのだった。
「まぁ、流石に北街区は戦いの後始末がまだ終わってないけど……それ以外ならね」
「私の力でも、流石に建物は元に戻せないからね」
「あれだけの戦闘規模で、皆の命が救えただけでも十分過ぎるよ。みんなリナ姉さんに感謝しているよ。グラナの人達もね」
「あ、そうそう……結局、グラナ兵の扱いは……?」
エメリナの力によって命を救われたのはグラナ兵も同様だ。
その全員が投降し捕虜となったわけだが……
「当然全員を留置できる施設なんて無いからね。ブレイグ将軍と上級将校以外は、今は大樹広場にキャンプを張ってもらってる。見張りの人員も大変なんだけど……まぁ、リナ姉さんのお陰で大人しくしてるし、大きな問題にはなってないよ」
「そっか~、取り敢えずは良かったね」
「うん。街に出かけるなら、少し様子を見てこようか」
という事で、カティア、エメリナ、メリアにステラを加え、メリエルを案内役に5人で森都散策に出かける事になった。
テオフィルス、イスファハン、ジークリンデは城に残るとのこと。
何でも、訓練場で手合せをする約束をしてるらしい。
「じゃあ、どこに行こうか?」
一行の案内役を引き受けたメリエルが問う。
現在地は王城前広場。
ウィラー王城は大樹広場の西側にある。
広場を挟んで反対の東側にはエメリナ大神殿がある。
「ん~……よく分からないから、メリエルにお任せするわ!」
エメリナは案内役に丸投げの構えだ。
「ん~……一番の見所の大樹広場はあんなだし、大神殿は……」
「あ、流石に自分の神殿は良く知ってるからパス。どうせ後で顔を出すつもりだし」
「だったら……ウィラー国立植物園、とか?」
メリエルが候補に挙げたのは、大樹広場の南側にある施設である。
ウィラー大森林に自生するものを中心に、大陸中から集めた樹木や草花を鑑賞できる人気の観光スポットだ。
「……私、以前から凄く見てみたいと思ってたの。是非行きたいわ」
遠慮がちにステラが言う。
だが、自分の意見はハッキリ主張する。
「植物園……って、もしかして?」
「あ、元々はメリア様の薬草園があったところ……って言われてます」
「へぇ……あそこがまだ残ってるんだ。それは楽しみね」
かつて『森の魔女』と呼ばれた凄腕の薬師であるメリアが、薬の材料となる植物を育てていた場所だ。
何百年という時を経て、それが残っていると言う事実にメリアは驚き、少し嬉しそうでもある。
「じゃあ、最初はそこにしよう!れっつご~!」
エメリナが号令をかけ、一行は森都散策を開始するのであった。
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