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第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪
第十四幕 10 『リュートの軌跡 3』
しおりを挟む「……はい?」
「いや、だから。フォーリンラブ」
「ひゅ~う、やるわねぇ」
何がフォーリンラブやねん。
メリアさんも目を輝かせないで。
しかし……
昔のグラナのお姫様と?
恋に落ちただって?
ナニソレ?
いや、まぁ……桧原琉斗は事故で寝たきりになる前は至って健康な男子だった。
そりゃあ、可愛い女の子に会えば恋に落ちる事もあるかも知れないが……
ちょっと気になって横目でテオを見ると、視線がバッチリ合ってしまった。
何だか気まずい……
だって、自分の前世かもしれない人物の色恋沙汰を婚約者に聞かれる……なんてねぇ?
しかし、それよりも……だ。
「グラナの王女……ですか?」
「ああ。彼女は王女でありながら勇敢な戦士であり、優しく、そして美しかった。凄く歌が上手でね……聞き惚れたものだよ」
おやおや?
どこかで聞いたことがあるような人物像だなぁ?
何だかテオの視線が刺さってる気がするよ?
まぁ、単なる偶然でしょう……
「そ、それで……どうなったんですか?そのシェライラ王女とは……」
「さあ、どうだろう?リュートは東大陸で得た情報を遺すためカルヴァードに戻ってきたから。その後再びグラナに行ったかもしれないけど……ただ、一緒になるのは難しかったんじゃないかな?私は唯の流浪の身、『どこの馬の骨とも知れない』ってやつだったからね。彼女には婚約者もいたし。きっと結ばれることは無いだろう事は、始めからお互いに分かっていたんだ。でも、人の心はままならないからね」
何だか切ないね……
まぁ、リュートには悪いけど……ちょっとホッとした。
いや、いくら前世の事(かもしれない)とは言え、テオの前で聞くには複雑なんだよ。
「あら。一緒に駆け落ちくらいすれば良かったのに」
「そんな無責任な選択は出来なかったんだよ。私も彼女も。ま、今の私はそう言った恋愛感情とは無縁だし、今となっては良い思い出かな」
苦笑しながらメリアさんにそう返すが……確かに、引きずってるような感じはしない。
恋愛感情とは無縁と言うのは、精霊に近しい身だからなのかな?
「さて、前置きが長くなったが……ここからが本題だ」
お?
ようやくか……
今の話の流れだと、グラナ王国で有力な手がかりを得たのではないかと推測されるが。
それはもしかしたら……
「グラナ王国で邪神の封印地に関する情報収集をしていたのだけど、シェライラから決定的な情報を得られたんだ。つまり、邪神が封印されていると思しき場所だ」
やっぱり!
「『黒き神』を祀った神殿……それはグラナの王都パニシオンの遥か東の山中に隠されている」
「……実は、グラナ出身の人……もと皇女様なんですけと、彼女にそこまでは聞いていたんです。だけど、詳しい場所までは分からない……と」
シェラさんから聞いた話だ。
漠然と帝都の東の山中という事だけしか分からなかった。
リュートはもっと詳細な情報を持っているのか?
「なるほど。それは仕方ないかも知れないね。シェライラも忌むべき『邪教の地』と言ってたけど、詳しい場所までは知らなかったから」
「え……?グラナは黒神教を信奉してるのでは?」
「いや?私が知る限りはそんなことはなかったね。東大陸では大きな勢力を持った宗教組織というのはあまり存在せず、それぞれの土地の独自の信仰が根付いていた。グラナは精霊信仰が中心だったと思う」
そうなのか……
神代の昔だと、かなり今とは状況が違うんだね。
まぁ、長い歴史の流れを考えると当たり前なのかも知れないけど。
「でも、シェライラ王女も詳しい場所は分からなかったんですね……」
「そう。だから、私はグラナを旅立った。黒き神殿を探し当てるために」
「!じゃあ……!?」
「うん。リュートが発見したそれを、今から君たちに教えよう」
さあ、さんざん話を引っ張られたけど……遂に話は核心へと至る。
10
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