602 / 683
第十五幕 転生歌姫の最終決戦
第十五幕 5 『神威降臨〜自由の女神・うつろいし神・知恵の神』
しおりを挟むーー レーヴェラント王国 対グラナ戦線 ーー
レーヴェラントのグラナ国境付近。
他の戦場と同様に、ここでも大規模な戦闘が行われていた。
レーヴェラント王国軍を中心とした連合軍の総大将は、第二王子のアルフォンス。
そして……
「イスファハンのダンナ。ウィラーから戻って早々、大丈夫ですかい?」
レーヴェラント国軍に協力する支援軍の一つ、カカロニア軍の指揮をとるイスファハンに声をかける男がいた。
「ああ。全く問題ない。お前こそ……自由気ままな冒険者がこんな戦いに参加するなんて、随分もの好きじゃないか?ラウル」
男……ラウルの言葉に、ニヤリ……と不敵な笑みを浮かべながら答えるイスファハン。
「かも知れないっすけどね。でも、そんなもの好きは結構いるみてえですぜ」
そのやり取りは王族と一介の冒険者と言うよりは、互いに信頼を寄せる戦友のようであった。
「ベルトラン、戦況は?」
イスファハンが副官のベルトランに戦況を確認する。
開戦後しばらく経過したが、これまでの報告では戦力は拮抗していると言うものであった。
しかし……
「……正直なところ、厳しいですな。やはり魔物が厄介です」
「だなぁ……こりゃあ、指揮はアルフォンス殿に任せて、俺も前線に出るべきか……」
「お、いよいよですかい?」
イスファハンがそんな呟きを漏らし、それに対してラウルが「待ってました」と言わんばかりに返した。
と、その時。
どこからともなく何者かの声がかかる。
「いや、神々のご助力が得られると言う話だから……もう少し我慢して耐え、損耗を抑えるべきでしょう」
「「「誰だっ!?」」」
突然の声に3人は慌てて、バッ!と辺りを見回す
「……うん。まぁ、もう慣れてるけど。一応これでも総大将なんだよなぁ……」
「「「あ……」」」
イスファハン達が話をしていたのは、本陣の天幕である。
当然ながら、そこの主は……
「あ~……アルフォンス殿、すまない。いたんだったな」
「そりゃあね……。と言うか、今しがた『指揮を任せる』とか言ってたじゃないか……」
相変わらずの存在感の無さ。
それなのに、将として非常に優秀だと言うのだから驚きである。
「だが……神々はいつ降臨されるんだ?いつまでも消極策では……」
と、イスファハンが反論しようとしたところで、何やら外が騒がしくなった。
そして、慌てた様子で天幕に入ってきた兵が報告を上げる。
「アルフォンス様!!そ、空から……!!」
「どうした!?」
兵のただならぬ様子に、アルフォンス達は天幕の外に出て空を見上げる。
すると……
「おぉ……」
「……エメリナ様が降臨されたときと同じだ」
先日、ウィラーでその光景を見たイスファハンは、それが何であるのかが分かった。
即ち。
「神々が降臨なさるぞ!!」
『『『神威降臨……』』』
天より響き渡る厳かな男女の声。
そして、雲間から差し込む光とともに現れる三柱の神。
自由の女神と呼ばれ、レーヴェラントの守護神でもあるリヴェティアラ。
うつろいし神オキュパロス。
知恵の神ヘリテジア。
伝説の三神が、ついに地上へと降臨するのだった……!
「みんな、遅くなってごめんなさいね~。でも、私達が来たからには、もう大丈夫よ。さあ、行くわよオキュピー」
「オキュピーはヤメロ。……まぁ、オメーの言う通りだ。俺たちが来たからにゃ、邪神の手先など纏めて千切ってくれらぁ。なぁ、ヘリテジアのダンナ。久しぶりに暴れてやろうぜ!」
「……」
リヴェティアラは緊張感も気負いもなく、オキュパロスは気合十分といった感じだ。
しかし、相変わらずヘリテジアの反応は薄い。
「かぁ~!!こんな時ぐらい、もっと気合い入れていこうぜ!!」
「……あぁ。程々にやる」
……そんな三神の会話を聞いていた連合軍の兵たちは、神々に抱いていたイメージとのギャップに戸惑いを見せる。
しかしその後、彼らの力を目の当たりにし、神々の偉大さを身をもって知る事になるのだ。
10
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる