【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
634 / 683
第十五幕 転生歌姫の最終決戦

第十五幕 37 『ラスボス』

しおりを挟む

 これまでの穏やかな雰囲気から一転し、強烈な邪気を放つ琉斗……いや、邪神リュート。
 姿こそ変らないが、その内包する力は大魔王すら凌駕するのは容易に想像できる。

 間違いなくこれまで戦ってきた相手の中で最強の力を持つはずだ。


「さて……神々の力をも超える私がまともに相手をしたのでは、流石に君たちに勝ち目はないだろう。だから、ハンデをやろうじゃないか」

「やってみなければ分かりませんわよ!!」

「随分と舐めてくれるわね……!」

 リュートの物言いにルシェーラとシフィルが噛みつくが、恐らくそれは事実だ。

 ただ……彼は矛盾を抱えた存在だと言う。

 つまり、世界の滅びと自身の滅びを同時に願っている。
 私達が付け入る隙があるとすれば、多分そこだろう。
 ある意味では邪神の中の琉斗の意識が、私達の味方でもあるんだ。


「ルシェーラ、シフィル挑発に乗っちゃ駄目だよ。彼が余裕を見せるなら、私達は遠慮なくその隙を突かなきゃ」

「……ええ。分かりましたわ!!その余裕、後悔させてみせましょう!!」

「見てなさいよ!!」


 うん、その意気だよ。


「威勢のいい娘たちだね。ではハンデとして……私は私の身体能力のみで戦おうじゃないか。魔法や特殊能力は封印しよう。……あ、武器は使わせてもらうよ」


 そう言って彼は動きやすいようになのか、ローブを脱ぎ去り、腰に下げた剣を抜き放った。
 ……いや、特徴的な反りのある片刃は、刀と言うべきか。
 一見して通常の武器のようだが……

 そして彼は祭壇から離れ、ゆっくりと階段を降りて私達と対峙する。

 向こうから攻撃は仕掛けてこないようだ。
 私達が攻撃を開始するまで動くつもりはないようだ。
 それもハンデのつもりだろうか。

 だったら、それに乗ってやろうじゃないの。




 さて、彼が桧原琉斗なら、その剣術は私も良く知るものだろうか?
 邪神の力を得た彼がどの程度の身体能力を持つのかは未知数だが。

 とにかく、今のうちに全力で畳み掛けてやる!!


「行くよ!!みんな!!」

 私は一声号令をかけ、一気にリュートとの間合いを詰めていく。

 いつもは切り込み隊長はルシェーラなんだけど、今回の一番手は私が貰うよ!!
 後詰めは任せた!!


「ハァーーーーッッ!!!」


 右手の星剣は唐竹、左手の小太刀リヴェラは横薙ぎ。
 それぞれ滅魔の光を纏って、十文字斬りを繰り出す!!


 キィンッ!!


 リュートは横薙ぎの小太刀の方を刀で受け止め、星剣は身を捻って紙一重で躱す!


 だが、防がれることは織り込み済みだ!!

 切り結んだ小太刀を支点にして身を翻し、身体を回転させながら右腕をしならせて星剣を斬り上げる!!

 リュートは後退してそれを躱すが、私に続いてテオとルシェーラが連携を繋いでくれる。

 左右から挟み込むように肉薄するが……!


 ガィンッッ!!!


 先ずルシェーラのハルバードを剣で弾き……


 ドゴォッ!!


「ぐっ!?」

 聖剣が振り下ろされる前に、テオに蹴りを繰り出す!!

 辛うじてテオは防御態勢を取ったが、大きく間合いを離される。



 次いでロランさんの魔剣による連続攻撃!!

 6本の小剣が四方から僅かにタイミングをずらしながら襲いかかり、それに合わせてロランさん自身も斬り込んでいく!!

 更に上空からはシフィルが風撃を撃ち下ろし、後衛からは炎・氷・水・雷・土の龍、そして光の矢が降り注ぐ!!


 初撃を見舞った私やテオ、ルシェーラもその後に続こうと体勢を整える。


 全員が一丸となってリュートを追い詰めようとする。



「おっと、これは中々厄介だね。ちょっと本気を出そうか」

 そんな事をうそぶいたリュートは、しかしその言葉通りにギアを上げる。


 取り囲んで襲い来る小魔剣を一つ一つ迎撃、ロランさんの斬撃を躱しざま体当たりで吹き飛ばし……


「ハアーーーーッッ!!!!」

 裂帛の気合を発して大きく刀を振り回し、魔法も光の矢も全て蹴散らしてしまう!!!


 追撃の構えだった私達は、鬼神の如き強さを見せるリュートの隙を見出だせずに二の足を踏んでしまう。



 ……強い!!

 一筋縄ではいかない事は分かっていたけど……想像以上だ。


 これでまだ完全には本気を出してないと言う。
 正にラスボスに相応しい強敵だ。


 果たして、邪神リュートを攻略する手立てはあるのだろうか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...