【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

文字の大きさ
23 / 191
レティシア5歳 はじまり

第19話 講義

しおりを挟む
 レティシアが魔法を学ぶことになって数日が経った。

 本日は初めての授業が行われることになっている。

 レティシアの教師となるマティスは、アスティカントの学院で教師を退任した後、出身地であるモーリス領内のとある村に帰って隠居生活を送っていた。
 この度、公爵家が彼を家庭教師として招くにあたっては、領都イスパルナの公爵邸に程近い場所に住居を提供し、そこから通ってもらうことになっている。





「お嬢様、マティス先生がお見えになりましたよ」

「あ、は~い!入って頂いて~」

 きっちり時間通りにやって来たマティスをレティシアは自室に招き入れる。
 レティシアの部屋は幼い子供が暮らすには十分すぎるほど広く、応接室や寝室に加えて書斎…と言うか勉強部屋も備えているので、そこで教えてもらう事になる。


「マティス先生!お待ちしておりました!」
 
「今日は、レティシアお嬢様。本日よりよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします!……先生、私のことはどうか、レティ…とお呼びください。敬語も不要です」

「ふむ…?」

「私は教えを請う立場ですし、師弟関係には身分の貴賤など無いと思ってます。アクサレナの学園やアスティカントの学院においても、学問を志すものは皆平等という理念のもと、誰もが勉学に励んでいると聞いてます」

「…素晴らしい心掛けですな。分かりました…いや、分かった。これより私は…君を公爵令嬢ではなく、魔導の真髄を探求する若き同志として導くこととしよう」

「はい!お願いします!」


「(…本当に、5歳の娘とはとても思えない。頭脳も…そして人格もだ。私は将来の傑物の師となる幸運を得たのかもしれないな)……では、早速授業を始めよう」


 こうして、レティシアの初めての魔法の授業が始まった。











「先ず初めに。魔法とは何か?というところからだ。レティは魔法とは何だと考えている?」

「魔法とは何か…ですか?ん~……」

 漠然とした問に、レティシアは唸りながら考える。
 本を読んで得た知識はあるが、自分なりの解釈を答えたいと考えて頭の中で整理しているのだ。

「ええと……魔力を媒介にして任意の事象を発現させるための手法、だと思います」

「うむ。それも正解の一つだな」

「まだあるのですか?」

「定義の仕方、捉え方は様々だが…『生物が生来持つ能力』と言う定義もある」

「生来持つ能力…」

「そう。あくまでも生物が本来持つ機能だと言う考え方だな。今でこそ魔法というのは言語化・体系化され、あたかも理論的に確立した技法に見えるが、それらは全て後付け。経験則を地道に積み上げて整理されているが、結局のところその原理の本質的なところは未だ解明されていない」

「なるほど…」

「故に。これから具体的な魔法の講義は行うが……それでレティが魔法を実践できるようになるかは未知数だ。生来の資質に拠るところが大きいからな」

「つまり、才能がないと扱えない…ってことですか?」

「そうだ。もちろん、才能の有無など事前に分からないが……」

「でも、例え使えなかったとしても、学んだ知識は無駄にはならないと思います」

「うむ、その通りだ。それが分かっているなら問題はないな」

 マティスはレティシアのその答えに満足そうに頷き、それからいよいよ本格的な講義を始めるのだった。








「では、先ずは魔法を使うのに欠かせない、魔力を感じるところから始めよう」

「はい!お願いします!」

「では、手を出しなさい」

「はい」

 マティスはレティシアが差し出した手を取って、目を瞑って集中するような素振りを見せる。
 すると…

「あ……」

「何を感じた?」

「あ、はい。先生が掴んだ手から、何か…温かいような、冷たいような…何だか不思議なモノが私に流れ込んで来るようでした」

「それが魔力の流れだな。どうやら魔力感知は直ぐに出来そうだ」

「これが魔力……」

「そうだ。今度は、今の感覚を思い浮かべながら…そうだな、頭の中から湧き出して、背中を伝い全身を流れ、最後は手に集まるようにイメージするんだ」

「やってみます」

 そうして、彼女は師がそうしたように目を閉じて神経を集中させる。
 先程の感覚と、教わったイメージを思い浮かべると、確かに存在する何かが身体を巡るように感じた。
 その流れを集めて、師が掴んだ手の方へと流し込むようにする。

「…ほう、いきなり成功させるとは。これは驚いたな…」

「出来てますか?」

「ああ。完璧だ。魔法を扱うための最初の難関なのだがな……」

 マティスは、仮にレティシアに才能があったとしても、この訓練だけで数日はかかるものと見込んでいた。
 想像以上の才能を見せる彼女に、舌を巻く思いだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...