46 / 191
レティシア8歳 転機
第41話 モケイテツ
しおりを挟む国王夫妻とアンリ、リュシアンをモーリス商会研究開発室に案内したレティシア。
メンバーを紹介したあとは室内を案内することに。
公爵邸でのプレゼンは主に計画や波及効果に関するものが中心だったが、ここでは主に技術面に関してレティシアやリディーが説明を行なう。
設計図や数値データ、そして魔導モーターの試作品などを見せながらだ。
アンリは普段から来ることも多いので一歩引いて見ているだけだが、国王夫妻もリュシアンも興味津々で説明を聞き、時折質問などもしているのが関心の高さを示している。
「……僕が王都に行ってから、随分進んだんだね。凄いよ、レティは」
リュシアンが感心した様子でそう言う。
「私だけじゃここまで来れなかったよ。リディーの研究成果があったから、課題が一気に解決したんだ」
「そうか……リディーさん、ありがとうございます。どうか、レティの夢が実現できるよう助けてあげてください」
「いえ、私の方こそ……レティシアお嬢様と出会ってから……とても充実した日々を過ごさせてもらってます。今では、鉄道開発は私にとっても叶えたい夢になりました」
「みんなで一緒に頑張ろうね!」
そんな若者たちの会話を、ユリウスとカーシャ、アンリは微笑ましく、そして頼もしげに眺めるのだった。
「さあ、今回の目玉はこちらですよ!」
一通り室内を案内したあと、レティシアは得意げに言う。
彼女が最後に案内したのは、大きなテーブルが置いてあるところ。
一辺が数メートルはあるだろうか。
テーブルの上には大きな布が被されていて、そこに何があるのかはまだ分からない。
そして、レティシアが布を取り去ると……
「じゃじゃ~んっ!!」
「おお……!これは……」
「まぁ……凄いわね」
「こんなものまで作ったんだ……」
そこに現れたものを見て、一同は驚きの声を上げた。
山や川、町並みを縮小した箱庭。
そこにはレールが敷かれて、小さな機関車とそれに連結された客車が数両乗っていた。
それはつまり、鉄道模型のレイアウトであった。
(前世で言うところのHOゲージくらいかな?本当はNくらいにしたかったけど、魔導モーターの大きさ的にこれくらいが限界だったんだよね)
国の上層部に向けては、実際に乗車ができる1/2スケールくらいを想定していたのだが、その前段として魔導モーターの実験も兼ねて製作したものである。
それだけならば、レイアウトとしてはレールだけあれば良かったのだが……レティシアと親方が凝り性を発揮した結果である。
その甲斐あってか、3人の反応は上々であった。
「なるほど、これならばイメージも湧きやすいな。……これは動くのか?」
「ええ、もちろんです!ここに操作パネルがあって、魔力を流せば動かせます。やってみますね」
そう言ってレティシアが操作パネルにあるツマミを回すと……
ウィーン……と音を立てながら、機関車が牽引する列車が動き出した!
「動いた!」
「おお……」
「これは面白いわね!」
実際に動くところを見て、更に興奮する3人である。
この模型の仕組みは、前世のものと殆ど同じだ。
つまり、電気の代わりに魔力をレールに流してモーターを回すのだ。
モーターだけでなく前照灯や室内灯まで点灯するあたり、芸が細かい。
機関車や客車のデザインは比較的シンプルなものだが、これもレティシアの前世の記憶を参考にしている。
「どうですか?中々楽しいでしょう。鉄道が普及すれば、何れはこういった模型なんかも趣味として広がるかも知れませんね」
「うむ……なぁ、レティシアよ。これと同じ物を作れぬか?」
「ええ……それは勿論可能ですけど……お時間はそれなりに頂きたいです」
「ああ。当然、対価も支払う。主だったものに鉄道のイメージを伝えるのに、これほど有用なものはないだろう」
「なるほど、それもそうですね……それでは直ぐに制作にかかって、完成したら王城までお届けいたします」
「頼んだ」
「……あなた、嬉しそうですね?」
「む?……ま、まぁな」
カーシャに指摘されて、バツが悪そうに答えるユリウス。
理解を示すように、ウンウンと頷く親方。
リュシアンも羨ましそうに見ている。
(これは……売れる!!)
実物の前に玩具として売り出しても良いかも……商魂逞しいレティシアはそう思うのであった。
11
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる