【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

文字の大きさ
58 / 191
レティシア12歳 飛躍

第51話 遭遇

しおりを挟む


 黄金街道から分かれた細い道を進んでいく。
 途中で昼食や小休止を取った以外は、歩き通しである。
 旅慣れないはずのレティシアだが、冒険者たちが驚くくらいの健脚ぶりを見せていた。


「いや、途中で歩けなくなるかと思ったんだが……なかなかどうして、やるじゃないかお嬢さん」

「私もお嬢様がこんなに体力があるとは思いませんでした」

「えへへ~」

「……治癒魔法も使えるとはな」

 そう。
 彼女は道中辛くなってきたら、治癒魔法をかけながら歩いてきた。
 治癒魔法で関節の痛み、筋肉痛、足の裏に出来たマメ……等を治すのだ。
 しかし、治癒魔法では疲労は回復出来ないので、純粋に彼女自身の頑張りもあるだろう。

 それが分かってるから、箱入り(?)の貴族令嬢が見せた思いがけない根気強さに、皆は感心してるのだ。


「腹案も考えていたが……これなら予定通りに行きそうだ」

 旅慣れない護衛対象がいるということで、当初の予定が狂った場合の別プランも想定していたが……どうやらそれは使わなくて済みそうだ、とフランツは言う。







 周囲の景色は徐々に山地のそれへと変わっていく。
 背の高い木々が林立し、鬱蒼とした雰囲気になる。

 日はとうに天頂を過ぎて久しく、あともう少しすれば空は茜色に染まるだろう。


「あともう少ししたら野営予定地だな」

「え~と……確か鉱山が休止する前は坑夫たちの村だった場所ですよね」

「そうらしい。開山して割と直ぐに休止になったから、それ程の規模では無いらしい。放置されて久しいが……雨風が凌げる建物が残っていれば、野営せずに済むんだが」

「私は野営も楽しみです!」

「本当、レティシアさんは変わってるわよね……」

 ウルスラがしみじみと呟く。
 エリーシャも、うんうん…と頷いてる。

「そうですか?」

「そうよ。普通だったら公爵令嬢相手にこんな口調で話したら怒られるし。こんな獣道みたいなとこ通ったら、やれ「疲れた!」だの、やれ「虫が!」とか言いそうなものよ。……まぁ、イメージなんだけど」

「あはは……まぁ、私もそんなイメージはありますね」

 彼女が、この国の貴族令嬢が割と逞しい事を知るのは……もう少し未来の話だ。


「それにしても、確かにこの道は細いかな……何とかしたほうが良さそう」

「何とかって……どう言う事ですか、お嬢様?」

「今回向かってる鉱山は、まだまだ十分な採掘量が見込まれてるんだけど……それを運び出す道がこれじゃあ……ね」

「なるほど。確かに、せっかく採掘しても輸送がネックになりそうだな」

 そう言うことである。
 獣道よりは多少マシ……と言う程度の道では大量の鉄は運び出せないだろう。


「多分、道の整備をする前に休止しちゃったんだね……見に来ておいて良かったよ」

 鉱山の採掘再開とともに、道の整備も計画に盛り込まなければ……と、彼女は算段を付ける。











 そして、暫く山道を進んでいると、斥候のウルスラが警告を発する。

「しっ!静かに……何かいるわ」

「……魔物か」

「多分、そうね……複数の気配……木々に紛れながら息を潜めて近づいてくる。こっちに気がついてるような動きね」

「この辺の分布図だと……ゴブリンあたりか?」

「いや、ウルスラが察知した時点で既にこっちに気がついてるってんなら……もう少し高ランクなんじゃ?」

「何れにせよ油断は出来ん。この場で迎え撃つぞ。レティシア嬢は後ろに」

「は、はい!」

「お嬢様、私の側に……」

 魔物を察知して即座に臨戦態勢を取る冒険者たち。
 エリーシャも抜剣してレティシアの前に立って構えを取る。


(魔物……昔、家族でピクニックに行ったとき遠目に見て以来だ……ちょっと怖いかも。でも……この人たちなら大丈夫だよね?)


 魔物が近くに来ていると聞いて、流石のレティシアも恐怖を覚える。

 しかし、こちらも高ランクの冒険者が揃っている。
 きっと皆が護ってくれるから何の心配もいらない……レティシアは、そう自分に言い聞かせて心を奮い立たせるのだった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...