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レティシア12歳 鉄の公爵令嬢
【番外編】レティの鉄道講座 そのなな!
しおりを挟む「おお……本編の方、いい雰囲気じゃないの。ていうか、あれでまだ自分の気持に気付いてないとか……」
「ん?どしたのカティ「K!」……Kさん?」
「な、何でもないよ!」
「?……ま、いっか。それじゃあ……はい、今回もやってまいりました!『レティの鉄道講座』第七回です!!」
「わ~!!パチパチパチ!!」
「ということで、今回のテーマは……『鉄道貨物輸送』です!」
「貨物列車?」
「そう!日本では旅客輸送に比べると地味な存在に思うかもしれないけど……世界的にはむしろ、貨物輸送こそが鉄道の存在意義!……というと言いすぎかもしれないけど、それくらい重要なんだ」
「ふ~ん……でも、レティって乗り鉄だよね?あまり貨物列車には興味ないんじゃ……」
「興味無いわけじゃないけど、貨物列車には乗れないからね~。でも、鉄道を語る上で貨物輸送は外せないから。もちろんイスパルで建設予定の鉄道でも、貨物列車は走らせる予定だよ!」
「なるほど~」
「日本の鉄道における貨物輸送は、新橋~横浜で旅客営業が始まった翌年には、もう始まってるんだ。1873(明治6)年9月15日の事だよ。だから2023年は日本の鉄道貨物輸送150周年だったんだね」
「へぇ~……その当時は何を運んでいたの?」
「草創期から結構色んなものを運んでいたみたいだよ。有蓋車(屋根のある貨車)、無蓋車(屋根のない貨車)の他に、家畜とか鮮魚とか木材とか……当初から色んな種類の貨車があったらしいから。大量に効率よく輸送できるという鉄道の利点を発揮していたんだね」
「ふむふむ。……でも、現代の日本だと貨物輸送はトラックが主流で、鉄道貨物のシェアは低いんだよね?」
「そうだね……大都市間の長距離列車と、工業地帯とか港湾部に残されてるくらいで、縮小の一途を辿ってるのは間違いないね。でも、トラックドライバーの不足なんかで鉄道貨物輸送を見直す動きもあるみたいだよ。……でも、輸送体系を転換することを『モーダルシフト』って言うんだけど、一気にそれが推進されるかというと、なかなか難しいみたい」
「そもそも、なんで日本の貨物列車は衰退しちゃったの?」
「様々な要因があるとおもうけど、主には高速道路の充実やトラックの大型化、船舶・航空輸送の発達……なんかが挙げられてる。それら代替輸送手段の発達は地方旅客輸送の衰退理由でもあるね」
「選択肢が増えたから、と」
「あとは、どうしたって最初から最後まで鉄道だけで輸送することは出来ないからね。積み下ろしの場所は貨物ターミナルに限定されちゃうから。輸送ルートもトラック輸送のほうが柔軟だし」
「それは確かにそうかもね」
「貨車の種類も昔と比べて大きく変わってるね。以前は用途に合わせて色んな種類の車両があったんだけど、今は大体コンテナかタンク車かな……」
「たまに見かける貨物列車は確かにそうかも」
「トラック輸送と組み合わせしやすいからね」
「それで、貨物列車って殆どの場合は機関車が牽引しているんだけど……」
「殆どの場合ってことは、例外がある?」
「そう。JR貨物M250系電車『スーパーレールカーゴ』。これは世界的にも珍しい……というか唯一の貨物電車なんだ。先に言ったモーダルシフトを見据えて誕生したんだ」
「貨物電車……?普通の貨物列車と何が違うの?」
「機関車牽引の列車は『動力集中方式』というのだけど、スーパーレールカーゴは動力分散式(※)の電車なんだ」
※M250系の動力車は、16両編成中の両端に2両ずつ、計4両が配置されてる。
「ふむふむ……機関車牽引と比べて何かメリットがあるんだよね」
「そうなんだ。貨物列車にかかわらず、一般的に機関車牽引の列車よりも電車の方が加減速性能が良いんだよ。加減速が良ければ、高速で運転できる時間を長く取れるようになる……結果としてスピードアップに繋がるんだ」
「じゃあ、みんな貨物電車にすればいいんじゃない?」
「中々そうはいかないよ。デメリットもあるからね。編成の自由が効かないし、そもそも電車は電化区間しか走れない」
「あ、そっか」
「だから今のところは特定用途で区間限定になっちゃってるんだよ」
「なるほど~」
「そう言えば、貨物列車って旅客列車よりもかなり長いよね?たまに駅を通過するところ見るけど、中々終わらないな~……って」
「そうだね。旅客列車だと日本では長くても15~7両だけど、貨物列車だと30両近い編成だったりするね」
「うわ~……凄い長いんだねぇ……」
「世界だともっと凄いんだよ。……どれくらいだと思う?」
「世界か~……日本より国土も広い国はたくさんあるし……100両くらい?」
「ギネスに載ってる最長は……南アフリカで鉄鉱石を運ぶ定期運行の貨物列車が、機関車9両、貨車342両、長さにして4.2キロだって」
「……とんでもないね。やっぱり世界は凄い」
「ところが上には上が……同じ南アフリカや、オーストラリアでは600両以上、長さ約7kmの列車が走ったこともあるそうな」
「…………スケールが違いすぎる」
「だよねぇ~」
「というところで、今回のお話はここまで!乗り鉄の私から見ても中々に興味深い、ディープな貨物列車の世界。いかがでしたか?私達の生活を支える物流の重要な柱の一つとして、少しでも興味を持って目を向けていただけたら幸いです」
「日々運行に携わる人たちに感謝!だね」
「それでは次回もお楽しみに!」
「さようなら~!」
応援ありがとうございます!
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