【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア12歳 鉄の公爵令嬢

第71話 出展準備

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「ボルトしっかり締めて固定しろ!!」

「軌間は大丈夫か?ちゃんとゲージ確認しろよ!」

「こっちバラスト足りてないぞ!!」

 作業員たちの大きな声が飛び交い、急ピッチで作業が進んでいく。
 品評会特設会場の外周部に、デモンストレーション用の線路を敷設している真っ最中である。
 これから何が行われるのかと、公園を散策する多くの人々から注目を集めていた。




 特設会場は、かなりの大きさの比較的平坦な広場となっており、その外周付近を用いるデモ走行用線路の総延長は約2km以上にも及ぶ。
 会場の形状はほぼ長方形であるが、当然ながら線路は直角に曲がれないので線形としては偏平な楕円形となる。


「森あり池あり花畑あり……単純なコースだけど、見所は結構あって楽しそうだね(遊園地の遊具みたい)」

「そうだな。今回の1番の目玉出展になる事は間違いないだろう」

 作業員に指示を出したり、進捗状況を確認したりしながらレティシアとリディーはコース予定地を歩く。

 レティシアが言う通り、緑地公園の敷地内なので緑が多く、コース脇の大きな池や色とりどりの花々が乗客たちの目を楽しませることになるだろう。

 人が立ち入らないように線路の両側には柵が設けられる予定だが、公園内の道と交差する幾つかの箇所については踏切が設置される。
 デモ走行本番時には、安全確保のために人員を配置し、手動で遮断機を降ろす事になっていた。


「信号システムの開発が進めば、自動化もできるんだけど……」

「どのみち今回は期間限定だし、そこまで大掛かりなものは出来ないだろ」

「だね」

 通信を含めた保安システムは鋭意開発中だ。
 今回は単線の周回コース、かつコース内を一度に走るのは一編成だけなので、複雑な信号システムなどは必要ないが、将来の実用化に向けては必須である。





「ここが駅だね。まあ、単なる足場なんだけど」

 乗降場所となる駅は2箇所、長方形の短辺の中間地点にある。
 会場は広いとは言え、長辺方向でも徒歩で十分な距離ではあるが、どうせなら場内移動にも使ってもらえるようにしたのだ。

 駅と言っても、せいぜい膝くらいの高さに組まれた木製の足場プラットホームだ。
 両端に昇降用の階段が設けられているだけで、駅舎や改札などは無いごくシンプルなものである。
 因みに、切符の販売や入場料などは無く、品評会の期間中は誰でも無料で乗車可能だ。






「車庫のほうが駅より立派だわ……。車両の方はどんな感じ?」

「搬入は全て終って組み立て中だ。線路の敷設が終わる頃には試走もできるだろう」

「うんうん、順調そうだね」

 コース長辺の片側に車庫が設置されている。
 本線から引き込み線が分岐し、車庫には二編成を格納する事ができる。
 期間限定ということもあって車庫も簡易な構造であるものの屋根付きで、車両の格納、魔力充填、メンテナンスのほか、簡単な修理が行えるように工作機器も運び込まれていた。

 デモ用の車両は、機関車と客車五両により一編成を組む。
 機関車は小型のため、その分蓄魔力池の容量も小さく、連続走行時間は数時間程度だ。
 そのため二編成を交互に使用することで魔力充填とメンテナンスのための時間を確保している。





「オーライ!!オーライ!!よし、ストーップ!!」

「台車位置よーし!!降ろしていいぞ!!」

「次は魔導力機関を組み込むから準備しておけ!!」

 線路の敷設作業と同様に作業たちの大きな声が車庫内に響き、にわかに活気づいていた。

 馬車で運べるくらいの部品の状態でイスパルナの『工場』から輸送され、車庫に搬入された車両は親方マルクの監督と指示のもと、多くの作業員達の手によって組立が行われていた


「親方!!どう、調子は?」

「お、来たか会長。こっちは特に大きな問題はねえぜ。それと、魔導装置関連も問題なしって、マティス先生が言ってた」

「おっけー!どこも進捗状況はグリーンだね」

「配布資料の準備は?」

「……頑張りマス」

 この催しは技術開発品評会である。
 実際の物品の展示はもちろんだが、各方面に説明を行うための配布資料やパネルなどの準備も合わせて必要となる。

 リディーにそれを指摘されたレティシアはゲンナリとした表情で答えるが、それは彼女の仕事である。

「夜会に顔つなぎに手続きに……って忙しかったから、あまり進んでないんだよね……まあ、でも頑張る!!」

「俺も手が空いたら手伝うから、頼むぞ」

 レティシアの忙しさを知っているリディーは、自身も多くの仕事を抱えているにもかかわらず、優しい表情でそう言った。





 そんな風に、モーリス商会の出展の準備は着々と進む中、品評会の本番は数日後に迫っていた。

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