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レティシア15歳 時代の変革者たち
第94話 聖剣を求めて
しおりを挟むレティシアは自室で僅かばかりの睡眠を取ってから、朝食の席に向かった。
もちろん十分に寝ることはできなかったので、少し寝ぼけていた彼女は無作法をアデリーヌに注意される。
それでも、食べているうちに段々と目も覚めるのだった。
そして、新たな友人となったカティアは午後には出発してしまうため……折角だからと、今日一日は彼女たちと一緒に過ごすことにした。
きのう聞いた話では、ディザール神殿総本山に用事があるとのことだったが……
晩餐の席で聞いた話では、何でも武神ディザールの神託により聖剣を譲り受けに行くとか。
その話にはレティシアも興味を示し、ひと目でいいから聖剣を見てみたいと思った。
その前に、鍛錬場でカティアとリュシアンが手合わせをすることになった。
どうやら道中で約束をしていたらしい。
鍛錬場は公爵家の敷地の外れにあるのだが、リュシアンが公爵家を出て以来、レティシアはほとんど顔を見せたことがない場所である。
そして鍛錬場で行われた手合わせは……
カティア対リュシアンの戦いは引き分けに終わった。
息をもつかせぬ高度な攻防の応酬に、ギャラリーたちは大いに盛り上がったが……レティシアはほとんどわけも分からないまま終わってしまった。
少なくとも二人が相当な達人であることだけは理解できたが。
手合わせはそれだけで終わらず、続いてリュシアン対ルシェーラの婚約者対決と……
なんと、ミーティアもやりたいと言い出して、カイトと手合わせを行ったのだ。
婚約者対決は一日の長によりリュシアンが勝利を収め、ミーティア対カイトの戦いは引き分けとなった。
カイトは防御主体でほとんど攻撃をしなかったとは言え、幼い女の子が見せた戦闘能力の高さに、カティアたち以外の誰もが驚きを見せていた。
もちろんレティシアは、どちらの戦いも何が何だか分からないうちに終わってしまったのだが。
そしてその後は予定通り、カティア、カイト、ミーティア、レティシアの四人は、ディザール神殿へと向かうのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「あ~、折角だからもっと観光したかったね~」
「ね~」
カティアとミーティアが残念そうに言い、カイトもそれに頷く。
イスパルナは『古都』と呼ばれるくらいに歴史のある街だ。
だから歴史的建造物などの見どころも多く、観光客も多く訪れる。
彼女たち一行も本来はここで何泊かする予定だったらしいのだが、リッフェル領で事件に巻き込まれたことで、予定が押しているとのこと。
「まあまあ……あともう少ししたら、ここから王都まで鉄道で繋がるよ。そしたら改めて観光に来ればいいじゃない。その時は私が案内してあげるよ」
現在の計画通りに開業すれば、イスパルナ~アクサレナ間の所要時間は5~6時間ほどとなる予定だ。
日帰りは厳しいが、これまでよりも気軽に行き来できるようになるのは間違いないだろう。
「ありがとう、レティ。その時は頼むね。ところで……今日は列車に乗せてくれるって言ってたけど、準備の方は大丈夫なの?乗せてもらう身でそんな事言うのもなんだけど」
「大丈夫。もう指示はしてるし、あとは優秀なスタッフが動いてくれてるから」
出掛けにパーシャに伝言を頼んでおいたのだ。
事前に大事な来客があることは伝えていたから、レティシアが今日一日不在になるかもしれない事は関係各所も既に認識済みではある。
列車の準備もリディーや親方がいれば問題ない。
「そうなんだ。……昨日徹夜なんてしてるから、何でも自分でやらないと気がすまないのかと思ってた」
「そりゃあ計画の立案段階はね……やっぱり私がやらないといけないものは沢山あるけど、最近はほとんどの事が任せられるようになったし、頼りになる人もいるから」
そう言いながら彼女は、自然とリディーの顔を思い浮かべる。
今回も彼に簡単な伝言をしただけだが、それだけで何もかも上手いことやってくれるだろう……という信頼があった。
自覚はあまりないが、レティシアは彼に甘えてもいるのだ。
彼女がそうする相手はごく限られる。
それこそ家族以外には……リディーくらいしかいないだろう。
「なるほど……。それで、わざわざ神殿までついてくるのは何でなの?」
「え~、せっかく友だちができたんだから、できるだけ一緒にいたいな~……って思ってるだけだよ~」
「……その心は?」
「聖剣を早くこの目で見てみたい」
「あぁ……ミーハーなのか……」
「だって!存在は知られてるのに厳重に保管されているから、殆どの人は目にした事がないようなシロモノだよ!そりゃあ誰だって興味が湧くってものでしょ」
以前レティシアが父に聞いた話では、大かな祭りの時などに公開されることもあるらしいのだが……少なくとも彼女が知る限り、近年公開されたという話は聞いたことがなかった。
そして一行は、ディザール神殿総本山へとやったきた。
果たして……カティアたちは無事に聖剣を手にすることができるのだろうか?
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