ファンタスティック・ノイズ

O.T.I

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 ………………
 …………
 ……


「……え~と?」

「一体何が起きたんだ……?」

「これは……なんなの……?」

「ユウキ、ダイジョウブ?」


 ゼアルさんから放たれた光りに包まれた僕たちは、それが収まったあとの自らの変化に戸惑いの声をあげる。
 ファナも僕たちの様子に心配そうな声をかけてくるけど……それに応えられる余裕がない。

 身体の奥底から温かななにかが溢れ出して駆け巡るような感覚。
 それはこれまで感じたことのないもので……だけど不快ではなく、むしろ身を委ねたくなるような心地よさだ。
 高揚感……いや、それは全能感と言ってもいいかもしれない。
 だけど、そのの正体がなんなのか……僕にはまだ分からなかった。

 

「ふむ……やはりこの世界の人間だと、直ぐには理解できねえもんなのか?」

「それはそうでしょう。だからこそ『異能』と呼ばれるのだから」

 僕たちの様子を見ながら、ゼアルさんと巫さんが何か話してるけど……『異能』だって?
 それが、これ・・のことなのか?


「せ、先輩……」

「ゼアル……さん?いったい何をしたんです?」

 後輩の二人が心配そうな様子でゼアルさんに問いかける。
 どうやら彼らには変化は起きていないようだ。


「さっき言った通りだ。異界を探索するには危険が伴う……だったら、相応のがあればいい」

「力……それをゼアルさんが先輩たちに…?」

「いや、俺はきっかけを与えて呼び醒ましただけだ。あれは、もともとアイツ等が内に秘めていたものさ」


 これを……もともと僕たちが持っていたというのか?
 僕たちは……ごく普通の高校生に過ぎなかったはずなのに?


「お前達、まだそれ・・がどういうものか分かってないだろ。いいか?まずは自分の内面に目を向けろ。そして内なる声に耳を傾けるんだ」


 自分の内面……内なる声……?

 急にそんな事言われても……と思ったけど、なんとなくやり方が分かる気がする。
 この力……温かななにか・・・の流れ……それを辿って発生源を目指すようなイメージ。

 すると……



 一番最初に声を上げたのは、スミカだった。

「これは……『緑の支配者』って言うの?」

「おお……そいつは随分とレアなものを引いたな。それを持ってるのは、俺が知る限り二人……いや、三人目か」

 かなり驚いた様子でゼアルさんが言う。
 三人目というのがどれほどレアなのかはよく分からないけど……スミカが目覚めた力は『緑の支配者』と言うらしい。
 いったい、どんな力なんだろう?


「そいつはな、植物と心を通わせ、そいつ等が持っている秘めたる力を引き出して行使する事ができる……って能力だ」

「……分かるわ。今も、耳を傾ければこの辺りの木々の声が聞こえてくる気がする……」

「へえ……スミカにピッタリじゃないか」

 確かに、レンヤの言う通りだ。
 生花店の娘で、自身も植物博士みたいな彼女の力として相応しい感じがするよ。


 そして、続いてレンヤが言う。

「俺は……『空間魔法』?魔法だって!?」

「ほぅ……これまたレアだな。そいつは名前そのまんまだ。不安定な異界の探索にはおあつらえ向きの能力だと思うぞ」

 名前そのままと言うことは、空間そのものに干渉できる……魔法?
 魔法なんて本当に存在するのか……


「いいな~、レンヤ。私も魔法使いたかった」

「お前の能力だって魔法みたいなもんだろ?しかし……神秘に触れるどころか、自分が体現者になろうとは。驚きだ」

「本当よね。で、ユウキは?」

 最後に残った僕に、皆の視線が集まる。

 ゼアルさんが言った通り、自分の内面に目を向けて、内なる声を聞いたところによれば……

 僕はその力の名を告げる。


「僕のは……『月夜見の瞳』だって」

「!!……そうか、それでか」

「?何がです?」

 僕の力の名前を聞いたゼアルさんは、妙に納得した様子で呟くので、その理由を聞いてみた。

「あぁ……初めて会ったとき、俺はお前さんのことを知り合いに雰囲気が似てると言っただろう?」

「あ~、そう言えば……」

 見た目とかじゃなくて、あくまでも雰囲気が……って言ってたけど。
 でも、それが何なのだろう?

「そいつもな、同じ能力を持ってんだ。まあ、こっちの世界風に名前が変わってるみてぇだが、本質的には同じ能力だろう」

「へぇ……珍しいんですか?」

「珍しいなんてもんじゃねぇ。なんせ、ソイツは人間たちから『神』と呼ばれるような力の持ち主だったんだぜ?」

「か、神様!?」

「まあ、神と言っても……人間と比べて絶大な力を持ってたってだけで、いち生命体であることには違いない。実際、もうソイツは……あいつ等・・・・は死んじまったからな」

 少し寂しそうに、ゼアルさんは言った。
 その様子から、その人(?)は親しい人物だった事がうかがえる。
 だけどそれも一瞬の事で、彼は雰囲気を切り替えて続ける。

「まあそれはいい。とにかく、その力は比類なきもの。もちろん人間の身では、神が振るうのと同じにはならんだろうが……それでもお前たちにとって大きな力になるのは間違いないだろう」

「……はい」

「しかし、三人とも目覚めたスキルがとんでもねぇな。俺の世界の人間だったら、英雄と呼ばれるような奴らが持ってるようなものだぞ。次元的なポテンシャルはこっちの方が高いとは聞いていたが……ここまでとはな」

「ユウキ!ミンナ!スゴイ!」

 いまいちピンと来ないけど、ゼアルさんが言うならそうなのだろう。
 そしてファナの称賛の声にほっこりする。
 もしかして彼女は、この力の片鱗に惹かれたりしたのかな……?




「どうだ、カナメ?これならお前も安心して頼めるだろ?」

「……そうね。でも、無理は禁物よ。では、先ずは『相原梨乃』さんの救出を……」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 巫さんがそう言いかけたとき、トウマ君が慌てて遮った。
 そしてタケシ君も。

「お、俺達は?先輩たちみたいに、力を覚醒させてもらうのは……」

「ん~……今はまだ、お前たちには無理そうだな」

 じっと二人を見つめてから、ゼアルさんはにべもなく言った。
 だけど、『今はまだ』って……?
 だけど二人はその言葉には気が付かない様子でがっかりした様子だ。

「そんな……俺達の幼馴染なのに、先輩たちに任せきりには……」

「任せきりじゃないわ。あなた達には別にやってもらうことがある。それをこれから説明しましょう」

 二人を慰めるというわけではないだろうけど、巫さんの言葉で彼らは気を取り直し、真剣に聞く体勢となった。

 まあ、彼らもただ待ってるだけなんて気が気でないだろうからね。
 何らかの役割があるなら、そのほうが良いだろう。



 そして、相原梨乃さんの救出作戦……具体的に僕たちがどう動けばいいのか、彼女の口から語られる。

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