【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I

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剣聖の娘、騎士登用試験を受ける……?

試験開始……?

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「時間だ!!騎士志望の者たちは集まれ!!」

 他の受験者たちと一緒に暫くその場で待っていると、数人いた試験官の騎士らしき人物の一人が声を張り上げた。
 どうやら時間になったようだ。

 ぞろぞろと試験官の下に集まる受験生たち。
 エステルとクレイもそれに合わせて移動する。


「よし、集まったな。これより王国騎士団登用試験を始める訳だが……先ずは試験の流れを説明しよう」

 そう言って試験官の騎士は説明を始めた。


 まず最初に本人確認。
 正規の手続きが行われた当人であるのかを確認する。
 当然飛び入り参加は不可だ。


 続いて筆記試験。
 一般常識、教養や倫理観を問うものが出題される。
 騎士は脳筋には務まらないのだ。


(……筆記試験があるなんて聞いてないよ!?)

(……デニス様から説明があったし、手続きするときにも言ってたぞ)

 もちろん聞いてないし、聞いてたとしても覚えてないのがエステル・クオリティだ。

(え~……どうしよう、自信がないよ……)

(大丈夫だろ。お前だって勉強が出来ないわけじゃないだろ?)

 彼らは読み書きはもちろん、王都の初等~中等学校で習うようなことはジスタルやエドナ、村の長老たちから教えてもらっている。
 エステルはこう見えても成績は優秀である。
 ……一般常識については些か不安が残るが。


「そこ!!無駄話はするな!!」

「「はい!!すみません!!」」

 怒られた。




 次に面接。
 騎士たる者、人格面でも優れていなくてはならない。
 時に身分の高い要人の護衛任務などもあるため、腕っぷし自慢なだけのゴロツキを採用するわけにはいかないのだ。



 そして最後に実技試験だ。
 何だかんだで、やはり騎士の評価は戦闘能力が大きなウェイトを占める。
 騎士団には事務職員も多くいるが、それは採用枠が別だ。



「ガイダンスは以上だ!!何か質問がある者はいるか!?……………大丈夫そうだな。それでは、受験者の確認を行うから、列を作って順番に並ぶんだ。王都地区出身者はここ、北部地域はこっち、西部地域は…………」

 スムーズに確認するため、どうやら出身地域別に列を作って並ぶようだ。



「えっと、私達は西部地域で良いんだよね?」

「そうだな。俺たちも並ぼう」

 シモン村のあるニーデル辺境伯領はエルネア王国の西の端にある。
 列に並んだ人を見ると王都地区の列がやや長く、それ以外は大体同じくらいだ。
 王国全土から満遍なく集っているのが良く分かる。


「あ、あの大っきい人は王都出身なんだね~」

「みたいだな。……どうだ?あいつ、強いか?」

「ん~…………そこそこかなぁ?」

「ほぅ……口と態度だけじゃないのか」

 エステルの言う「そこそこ」は、一般の評価に照らし合わせれば相当な実力者と言うことになる。
 その評価にクレイは感心したように呟きを漏らした。



 そして受験者たちの確認が進み、エステルの前……クレイの確認が滞りなく終わる。

「じゃあ、先に行ってるぞ」

「いってら~」

 係の者に案内されて、クレイは筆記試験の会場となる騎士団本部の建物の中に入っていった。


「よし、次の者!」

「はい!お願いします!!」

「ほう、元気があって良いな。では、出身地と名前を言ってくれ」

 受験者の確認を行う騎士は、名簿のようなものを見ながらチェックを行っているようだ。

「はい!!ニーデル領シモン村のエステルです!!」

 褒められて気分を良くしたエステルは、更に大きな声で名前を告げた。


「ニーデル領……さっきの者とおなじだな。ニーデル領……シモン村……ん?」

「?どうしました?」

「いや、ちょっと待ってくれ……ニーデル領…………う~ん…………ちゃんと手続きはしたんだよな?」

「え?はい、さっきのクレイと一緒にやってるはずです」

 ……ほぼクレイに丸投げだったが。

 彼が悩んでいるのは、どうやら名簿にエステルの名前が見つからないからのようだった。


「だよな……ちょっと待っててくれ、他の名簿に紛れているかもしれないから、確認を……」

「あ、今シモン村のエステルと言ったか?」

 エステルの対応を行っていた騎士が他の者に確認しようとしたとき、別の騎士がエステルの名を聞いて声をかけてきた。

「お前確か昨日は非番だったか。通達があってな……シモン村のエステルは別会場の…………………で試験があるとの事だ」

「え……?そこは確か………」

 何事か疑問を口にしようとした担当の騎士は、そこでエステルの顔を再び確認すると……

「ほぇ?」

「あぁ……なるほど、な。分かった。では別の者に案内させるから少し待っててくれ」


 と、妙に何かに納得してエステルに告げるのだった。
 
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