【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I

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剣聖の娘、裏組織と戦う!

聖女騎士爆誕

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「大丈夫ですか?」

「は、はい……助けて頂いてありがとうございました」

 攫われそうになっていた少女は、震える声でエステルに礼を言う。



 なお、彼女を攫おうとしたゴロツキどもはエステルが全員瞬殺(殺してない)した。
 描写することなど全くないくらいに一方的で、戦闘と呼ぶのもおこがましい。
 ドラゴンが蟻を踏み潰すが如くだった……とだけ言っておこう。

 その男どもはボロ雑巾のように地面に転がってピクピクしている。
 暫くは目を覚まさないだろう。
 ……もう二度と目覚めないなんて事はないはず。



「本当にありがとうございます。何とお礼を言えばよいか……」

「いえいえ、お礼なんて必要ないですよ!!騎士として当然の事をしただけです!」

 少し落ち着いた少女の改めてのお礼の言葉に、エステルは当然の事だと言う。
 騎士云々は置いておいて、それは彼女の本心である。


「騎士様……?」

 実は少女は、エステルが騎士だと言うのは半信半疑であった。
 自分より年若い少女であり、その格好も雰囲気も騎士をイメージさせるものなど何も無かったから。
 強いて言うなら背中の大剣くらいか。

 しかし、実際にエステルの圧倒的すぎる実力を目の当たりにすれば、信じざるを得ないだろう。
 ……まぁ、エステルは騎士ではないのだが。


 そして少女は顔を上げてエステルに縋り付くようにして言う。


「騎士様!!どうかお願いです!!私の……私の妹も助けてください!!」

「妹さん?……妹さんも、攫われたってこと?」

 『妹も』という言葉からすれば、そういうことなのだろう。


「はい……。私は攫われた妹を探していたのですが、それでこの人達に目をつけられてしまったらしく……」

「あ、ちょっと待ってね。先にその怪我を治しちゃいましょう!」

「……え?」

 その言葉の意味が分からず少女は戸惑う。
 しかしエステルはそれには応えずに意識を集中して聖句を唱えはじめ……

 暖かく優しい光が彼女の手から溢れ出し、少女の身体を包み込んでいく。


「え……?こ、これは……聖女さまの……?」

 癒やしの奇跡を使うことができるのは聖女だけ……一般にはそう認識されており、エステルのような野良聖女も少数ながら存在する事はあまり知られていない。


「私は聖女じゃないですよ~。…………でも、聖女で女騎士……聖女騎士?……うん!それ、すごく良いかも!」

 自分の言葉に満足そうに頷くエステル。
 どうやら彼女は新たな設定を盛り込んだようだ。


「聖女騎士さま…………」

 そして少女はうっとりとした目でエステルを見つめる。
 圧倒的な強さでゴロツキどもを叩き伏せて自分を救い出し、奇跡の力で怪我をも癒やしてくれる……少女にとって憧れの対象となるのは無理もないだろう。
 ……エステルの残念な中身はまだ知らないのだから尚更だ。



「よし!これで怪我は治ったね!……それじゃあ、妹さんの事を教えてくれますか?」

「あ、はい……実は…………」


 そして少女はエステルに事情を説明する。


 まず、彼女の名はティーナと言うそうだ。
 そして妹の名はクララ。
 姉妹は両親とともに王都近郊の町に住んでいる。

 数日前、姉妹は買い出しのため王都を訪れたのだが……そこで妹が行方不明になったとのこと。

 何でも、最近の王都では若い娘が攫われて闇オークションにかけられ、国外に奴隷として売られてしまうという事件が頻発しているらしい。
 この国では奴隷制度など無く人身売買は違法なのだが、国外には合法の国も少ないながら存在する。
 そのような国の奴隷商人とコネクションを持つ大規模な非合法組織が暗躍していると考えられている。

 実際に何度か闇オークションや取引の現場を摘発していることから、それは間違いないのだが……
 当然ながら国も全力で捜査に当たっているが、捕まるのは末端の構成員ばかりで、未だその全容は掴みきれていないのだ。

 そしてもちろん、ティーナも騎士団詰所に妹の捜査依頼を出している。
 しかし、そのような状況だから妹が無事に見つかる可能性は低い……と言われたらしい。


「それで……両親には止められたんですが、自分で少しでも妹の情報を集めようとしたんです。そうしたら……」

 今回の事件が起きた……ということだ。


「むむむ………そんな悪の組織が存在するなんて……許せないっ!!」

 ティーナの話を聞いたエステルの瞳は再び怒りに燃える。
 そして……


「分かったよ、ティーナさん!!妹さんはこの聖女騎士エステルの手で必ず救い出して見せる!!」

「ほ、本当ですか!?」

「うん!!それに、そんな悪の組織はギタギタのメタメタのケチョンケチョンにしてやるんだから!」

 エステルは両拳を握りしめ気合を入れると、そう宣言した。
 ……さっそく聖女騎士を名乗ってる。


 そして。


「取り敢えずコイツらから情報を聞き出そう!」

 と言って、ゴロツキのリーダー格の男の上半身を起こし、背中に膝を当てて両肩を掴む。
 気付けを施すつもりだろう。
 そして、一呼吸おいたあと……


「えいっ!!」

 ボギィッ!!!

「ごぶっ!?………………………………」


 人体が発してはいけない音がしたと思えば、男は一瞬だけカッ!と目を見開き、直ぐに再び白目になって泡を吹く。
 さらに断末魔の痙攣すら始めた……


「……あ、あれ?確か父さんはこうやってたんだけど…………やばっ!?止め刺しちゃった!?」


 段々と動かなくなる男を見て焦りを見せるエステル。
 そして大慌てで…………

「か、回復回復ぅ~~~っ!!!」

 癒やしの奇跡を使う。



 それでどうにか男は死の淵から蘇り、一命を取り留めるのだった…………

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