ホワイトデー ラプソディ

梨花

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3月12日 水曜日

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深和さんがバッグからタバコを取り出すと高橋さんが自分のジッポでタバコに火をつけた。
昔読んだ漫画のワンシーンみたいだ。
「何見とれてんの、高橋さんの旦那だぞ?」
相馬に言われてはっとした。
「だってさぁ。」
「確かに大樹さん、ホストみたいだけどさ。」
「ホストかぁ。」
けらけらと高橋さんは笑った。
「木崎さんもいい男見つけたら?」
「見つけないとダメですかね?」
「ダメってことはないと思うけど。
人生の肥やしにはなるわよ?」
「あー、深和はいい肥やしになったよな。」
飲み物がきた。
「うん。
婚約破棄なんてその最たるものよね。」
「…そっちかよ。」
「あははっ。
大樹はあたしを甘やかすからなぁ。」
こんな深和さんを見るのは初めてかもしれない。
営業にいた時も何度も食事に行ったけど、こんなに楽しそうじゃなかった。
「おい、もたれるな。
スーツが汚れる。」
高橋さんが言っているけどいやそうじゃない。
恋愛は人生の肥やし、か。
「そういえば木崎、村田と結婚祝の幹事やるって?」
「うん。村田主任からのご指名をいただきました。」
「珍しいな、あいつがやるって。」
「そうなの?」
「うん、特に主任になってからは忙しいみたわいで同期会も忘年会しかこねぇし。」
「そうなんだ。」
「木崎もあんまり同期会来ないもんな。」
「うん。
結構同期会の直後に大きな営業が入ることがあって、なかなかねぇ。」
「でも木崎は補佐なんだろ?」
「まあそうなんだけど。
いろいろ営業さんのお手伝いがあるんですよ。」
「相馬は5年だろ。
他の業務に関してもいろいろ勉強しろよー。」
高橋さんがからかうように言う。
「オレと大樹さんを一緒にしないでくださいよっ。オレは凡人なんですから。」
「俺だって凡人だったぞ?」
そう言った高橋さんの肩を叩くのは深和さんだ。
「何いってるのよ。
大樹なんて高校の時からスポーツも出来て勉強も出来てリーダーシップも取れてたじゃない。」
「そりゃ、深和に好きになってもらいたくて必死だったからな。」
「な、何言ってるのよ!
よく出来た人だったのはあたしと知り合うまえからでしょ。」
「…相馬くん、いつもこんな感じなの?」
「今日は木崎がいるから5割増し。」
相馬ははぁ、とため息をついた。

それでも高橋さん夫婦を見ていると楽しくてついつい飲み過ぎたのは確かだった。
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