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第一章 妬みと裏切り
太陽の女神プロミネンス
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祭壇の間から、寝室へと場所を移したルナリア。部屋の中はダルトーンやダークトーンの家具や寝具で纏められており、そのインテリアのシックな装いは彼女の堅実さを表しているかのようであった。シンプルであるが隙がなく、実用的だ。
何よりルナリアはさめざめと泣く程脆い女ではない。スタミアールへの怒りを胸に秘め、表面上はクールに装うことが出来るくらいは強かであった。
「ルナリアー!?どこにいるのー!?」
祭壇の間から声が聞こえる。
「姉様ー!ここよー!」
姉の太陽神プロミネンスだ。双子の神であるプロミネンスとルナリアは仲が良い。
ノックもなしに部屋の扉が開かれて、影が室内に入ってくる。
「いたいた。あんた、祭壇の間にいるって言ってなかったっけ?」
プロミネンスは太陽神だけあって大らかで、少し雑把だ。燃えるような赤い髪は肩口で切りそろえられ、ルナリアに良く似た美貌は健康的な肌色によって少し印象を変えて見せた。
黄金のサークレットには神力を込めた宝珠がはめ込まれており、動きやすいように肩口から袖のないチュニックに編み上げブーツに鹿革のズボンを装着、手には背丈を越える程の荘厳な槍を持ち、腰には剣を佩いている。
ルナリアが女性的な性格であるのに対してプロミネンスは男勝りで勝ち気な性格をしていた。剣と槍の腕は超一流とも言われており、それは神々の中でも一目置かれているのであった。
「ごめんごめん。ちょっと色々あってね寝室に逃げ込んでたの」
「あー、もしかしてライオット?あたしんとこにも来たよ。何か腹立つ態度だったから一発ぶん殴っといたけど!まさかあんたにもあんな態度だったわけ?」
チッと舌打ちをする姿は到底女神には見えないが、プロミネンスもルナリアを慮ってのことだ。
「そのまさかよ」
ルナリアは肩をすくめてみせた。
「スタミアールのやつの仕業よね」
「スタミアール様でしょ」
「あいつ、あたしらにビビりすぎじゃない?」
「姉様!!どこに監視の目があるかわからないのよ!」
ルナリアが諫めるもプロミネンスはどこ吹く風だ。
「はいはい。つーか、あたしらを召喚してどうすんのかね。何か適当な罪でもでっちあげて裁こうって魂胆?」
「まさか。わたくしたちの存在は人々の為になくてはならないものよ。ましてや姉様の恵みがなければ生命の危機でもあるわ」
そう、太陽神であるプロミネンスはまさしく太陽と同義である。その恩恵がなくては生命体は生きられないのだ。
なら最高神であるスタミアールはなんなのかということになるのだが、彼はこの宇宙そのものだ。彼の指先一つで星の命は消え去る。
だが、その力も無限ではない。神々は信仰心を糧に神力を紡ぎ、行使するのだがスタミアールの堕落した生活により。彼の信徒達の祈りが少なくなってきているのだ。
それゆえに此度の愚行というわけだ。
「呆れるわね」
「姉様!」
「はいはい。とりあえず今夜は新月の日。あたしたちの神力が弱くなる日。さっさと結界を張って休みましょう」
この神々の世界にも外敵が存在する。それは魔獣と呼ばれる神々とも人々とも違う存在であった。
やつらは魂器食いとも呼ばれ、神々を食い殺しその力を糧に成長する性質をもっている。
新月の日は双子の姉妹神の力がぶつかり合って弱まる日のことで、魔獣や他の神から狙われやすくなる日でもあった。
「そうね、では結界術を展開しましょ」
ルナリアは一つ頷いてプロミネンスと向かい合い両の手の平を合わせた。
何よりルナリアはさめざめと泣く程脆い女ではない。スタミアールへの怒りを胸に秘め、表面上はクールに装うことが出来るくらいは強かであった。
「ルナリアー!?どこにいるのー!?」
祭壇の間から声が聞こえる。
「姉様ー!ここよー!」
姉の太陽神プロミネンスだ。双子の神であるプロミネンスとルナリアは仲が良い。
ノックもなしに部屋の扉が開かれて、影が室内に入ってくる。
「いたいた。あんた、祭壇の間にいるって言ってなかったっけ?」
プロミネンスは太陽神だけあって大らかで、少し雑把だ。燃えるような赤い髪は肩口で切りそろえられ、ルナリアに良く似た美貌は健康的な肌色によって少し印象を変えて見せた。
黄金のサークレットには神力を込めた宝珠がはめ込まれており、動きやすいように肩口から袖のないチュニックに編み上げブーツに鹿革のズボンを装着、手には背丈を越える程の荘厳な槍を持ち、腰には剣を佩いている。
ルナリアが女性的な性格であるのに対してプロミネンスは男勝りで勝ち気な性格をしていた。剣と槍の腕は超一流とも言われており、それは神々の中でも一目置かれているのであった。
「ごめんごめん。ちょっと色々あってね寝室に逃げ込んでたの」
「あー、もしかしてライオット?あたしんとこにも来たよ。何か腹立つ態度だったから一発ぶん殴っといたけど!まさかあんたにもあんな態度だったわけ?」
チッと舌打ちをする姿は到底女神には見えないが、プロミネンスもルナリアを慮ってのことだ。
「そのまさかよ」
ルナリアは肩をすくめてみせた。
「スタミアールのやつの仕業よね」
「スタミアール様でしょ」
「あいつ、あたしらにビビりすぎじゃない?」
「姉様!!どこに監視の目があるかわからないのよ!」
ルナリアが諫めるもプロミネンスはどこ吹く風だ。
「はいはい。つーか、あたしらを召喚してどうすんのかね。何か適当な罪でもでっちあげて裁こうって魂胆?」
「まさか。わたくしたちの存在は人々の為になくてはならないものよ。ましてや姉様の恵みがなければ生命の危機でもあるわ」
そう、太陽神であるプロミネンスはまさしく太陽と同義である。その恩恵がなくては生命体は生きられないのだ。
なら最高神であるスタミアールはなんなのかということになるのだが、彼はこの宇宙そのものだ。彼の指先一つで星の命は消え去る。
だが、その力も無限ではない。神々は信仰心を糧に神力を紡ぎ、行使するのだがスタミアールの堕落した生活により。彼の信徒達の祈りが少なくなってきているのだ。
それゆえに此度の愚行というわけだ。
「呆れるわね」
「姉様!」
「はいはい。とりあえず今夜は新月の日。あたしたちの神力が弱くなる日。さっさと結界を張って休みましょう」
この神々の世界にも外敵が存在する。それは魔獣と呼ばれる神々とも人々とも違う存在であった。
やつらは魂器食いとも呼ばれ、神々を食い殺しその力を糧に成長する性質をもっている。
新月の日は双子の姉妹神の力がぶつかり合って弱まる日のことで、魔獣や他の神から狙われやすくなる日でもあった。
「そうね、では結界術を展開しましょ」
ルナリアは一つ頷いてプロミネンスと向かい合い両の手の平を合わせた。
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