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オリヴィア・ブリ―ゲルは公爵令嬢であり、今年十八歳を迎えた。
淡い紫色の瞳に、銀色の絹のようなサラサラの髪は腰辺りまで伸びていて、いつもサイドを編んで貰っている。
白く透き通る肌には染みや傷などは一切なく、いかに温室育ちであるということを決定付けている。
スラッとした体形に美人顔である為、周囲から褒めちぎられる事は多いが、肝心のオリヴィアはお世辞には一切興味を示さなかった。
しかし自分の立場をしっかりと理解している為、不愛想な態度は取らず、愛想笑いで流しお礼を述べてから立ち去っていた。
社交の場での対応は、繋がりを大切にする貴族にとっては大切なものだと教え込まれてきたからだ。
それに貴族令嬢としての嗜みの一つだと捉えており、それが当然のことだと考えていた。
好んで付けている髪飾りは蝶の形をしていて、深海の色のような宝石が埋め込まれている。
これはオリヴィアの婚約者であり、幼い頃からずっとお慕いしている、ジークヴァルトからの贈り物だった。
贈られたのはもうかれこれ十年程前にはなるが、オリヴィアは今でも大切に使っている。
これを身に付けることで、今でもジークヴァルトのことを大切に思っていると主張出来るからだ。
ジークヴァルト・ハイノ・ヴィルフェルトはこの国の第一王子であり、王太子である。
彼は王族特有の深い碧色の瞳に、美しい黄金色の長い髪を左側に緩く結んでいる。
見目麗しい顔立ちな彼が微笑みかければ、傍いにいる令嬢達は皆うっとりと見惚れてしまう程だ。
オリヴィアとの婚約が決まったのは今から十年程前。
先程の蝶の髪飾りは、婚約が決まった時にジークヴァルトから初めて贈られたものだった。
オリヴィアにとってそれは思い出の詰まった、大切な宝物。
年齢が同じだったこともあり、婚約後は本当に仲良く過ごしていた。
ジークヴァルトは穏やかな性格であることに加え、とても優しし口調でいつもオリヴィアに接してくれる。
彼女事をいつも何かと気遣い、大切にしてくれていた。
だからこそオリヴィアはそんなジークヴァルトに惹かれていったのだろう。
しかし、ある冬の事。
オリヴィアは原因不明の高熱に魘されていた。
心配した両親は直ぐに腕の立つ医師を呼んでオリヴィアの診察をさせたが、病名は風邪ということでそれ以上は分からなかった。
数日間高熱に魘されていたが、直に熱は下がり快方へと進んで行った。
だけど体の怠さはなかなか抜けず、体調に不安が残る状態がしばらくの間続いた。
心配した両親は、ゆっくりと休養する為にオリヴィアを一時休学させて、領土の方に送ることにした。
理由は他にもある。
オリヴィアは現在王太子であるジークヴァルトとの婚約を結んでいる。
卒業後には婚姻に向けて動き出すことになるだろう。
そうなった時に万全の状態でなければ、オリヴィアは不安を感じて思い悩んでしまうかもしれない。
それを危惧した両親が王家に掛け合ってくれて、このような対応を取ることが出来たというわけだ。
オリヴィアは既に王妃教育を始めている為、自分の意向だけで決めることは出来なかった。
彼女の体を心配したジークヴァルトも両親と共に掛け合ってくれて、それが叶ったというわけだ。
そして春を迎えた。
のんびりと療養生活を送っていたこともあり、オリヴィアの体調は完全に回復した。
そして再び王都へと戻って来た。
元気な姿を見せたら、きっとジークヴァルトは喜んでくれるはずだとオリヴィアは信じて疑わなかった。
しかし再び学園に戻って来ると、疑いたくなるような光景がそこには映し出されていた。
オリヴィアの最愛の人であるジークヴァルトは、知らない令嬢に向けて優しく微笑んでいたのだ。
しかも二人は近い距離で、楽し気にお喋りをしている。
その光景を目にした瞬間、オリヴィアの中の時間が止まった。
「……ジーク様」
彼女の口元から消えそうな程の小さな声が漏れた。
当然その声はジークヴァルトには届かない。
しかし暫くの間視線を送っていると、それに気付いたのか彼はオリヴィアの方へと視線を向けた。
「リヴィ……」
とても驚いた顔で彼は確かにそう呼んだ。
『リヴィ』と言うのはオリヴィアの愛称であり、そのように呼ぶのは家族と婚約者であるジークヴァルトのみ。
彼の表情はどこかぎこちなく感じた。
オリヴィアが学園に今日復帰することは、当然ジークヴァルトの耳には届いていたはずだ。
二か月ぶりに会うのだから驚くことには納得は出来るが、それにしては表情がいささか硬く見える。
まるで引き攣ったような顔をしているようだ。
オリヴィアが不安気な表情を浮かべていると、ジークヴァルトは小さく笑って見せた。
愛想笑いと言うべきか、作られた笑顔だ。
十年もの間ずっとジークヴァルトの傍に居たオリヴィアにはすぐに分かった。
「戻って来たんだな。体調はもう大丈夫なのか?」
「……はい、お陰様で。もう完治しました」
「そうか……。だけど、まだ病み上がりなのだから、あまり無理をしないほうがいい」
「お気遣い、ありがとうございます」
どことなくぎこちない会話が続いていく。
お互いそれが分かっているのか、表情が硬く会話がそこで途切れてしまう。
「ジーク様、そちらの方は?」
「ああ、リーゼは彼女に会うのは初めてだったな。彼女はオリヴィア・ブリ―ゲル公爵令嬢。私の婚約者だ」
「あっ、そうだったんですねっ! オリヴィア様、私はリーゼル・テレーゼと申します。よろしくおねがいしますねっ」
「……よ、よろしくお願いします」
リーゼルと呼ばれた令嬢は、ジークヴァルトにオリヴィアを紹介されると純真爛漫な笑顔で挨拶を始めた。
ピンクブロンドのふんわりとした髪に、蜂蜜のような色の瞳。
彼女を一言で表現するならば、可愛いという言葉がぴったりな気がする。
そして何よりも彼はリーゼルのことを『リーゼ』と呼び、彼女は王太子である彼の事をオリヴィアと同じように『ジーク様』と呼んでいた。
その事にオリヴィアは驚きを隠せないでいた。
(どうして……、そんな呼び方をさせているの……? その子はジーク様とはどういった関係なの?)
心の中で問いかけた言葉は、表に出すことはなかった。
そしてオリヴィアの心の中に、とてつもなく大きな不安が広がっていく。
「ジーク様、そろそろ行かないと」
「ああ、そうだな。リヴィ、悪い。また後で改めて会いに行く」
「……は、い」
ジークヴァルトはリーゼルに急かされると、オリヴィアを置いてその場から立ち去って行った。
そしてこの日、オリヴィアの元にジークヴァルトが現れることは無かった。
淡い紫色の瞳に、銀色の絹のようなサラサラの髪は腰辺りまで伸びていて、いつもサイドを編んで貰っている。
白く透き通る肌には染みや傷などは一切なく、いかに温室育ちであるということを決定付けている。
スラッとした体形に美人顔である為、周囲から褒めちぎられる事は多いが、肝心のオリヴィアはお世辞には一切興味を示さなかった。
しかし自分の立場をしっかりと理解している為、不愛想な態度は取らず、愛想笑いで流しお礼を述べてから立ち去っていた。
社交の場での対応は、繋がりを大切にする貴族にとっては大切なものだと教え込まれてきたからだ。
それに貴族令嬢としての嗜みの一つだと捉えており、それが当然のことだと考えていた。
好んで付けている髪飾りは蝶の形をしていて、深海の色のような宝石が埋め込まれている。
これはオリヴィアの婚約者であり、幼い頃からずっとお慕いしている、ジークヴァルトからの贈り物だった。
贈られたのはもうかれこれ十年程前にはなるが、オリヴィアは今でも大切に使っている。
これを身に付けることで、今でもジークヴァルトのことを大切に思っていると主張出来るからだ。
ジークヴァルト・ハイノ・ヴィルフェルトはこの国の第一王子であり、王太子である。
彼は王族特有の深い碧色の瞳に、美しい黄金色の長い髪を左側に緩く結んでいる。
見目麗しい顔立ちな彼が微笑みかければ、傍いにいる令嬢達は皆うっとりと見惚れてしまう程だ。
オリヴィアとの婚約が決まったのは今から十年程前。
先程の蝶の髪飾りは、婚約が決まった時にジークヴァルトから初めて贈られたものだった。
オリヴィアにとってそれは思い出の詰まった、大切な宝物。
年齢が同じだったこともあり、婚約後は本当に仲良く過ごしていた。
ジークヴァルトは穏やかな性格であることに加え、とても優しし口調でいつもオリヴィアに接してくれる。
彼女事をいつも何かと気遣い、大切にしてくれていた。
だからこそオリヴィアはそんなジークヴァルトに惹かれていったのだろう。
しかし、ある冬の事。
オリヴィアは原因不明の高熱に魘されていた。
心配した両親は直ぐに腕の立つ医師を呼んでオリヴィアの診察をさせたが、病名は風邪ということでそれ以上は分からなかった。
数日間高熱に魘されていたが、直に熱は下がり快方へと進んで行った。
だけど体の怠さはなかなか抜けず、体調に不安が残る状態がしばらくの間続いた。
心配した両親は、ゆっくりと休養する為にオリヴィアを一時休学させて、領土の方に送ることにした。
理由は他にもある。
オリヴィアは現在王太子であるジークヴァルトとの婚約を結んでいる。
卒業後には婚姻に向けて動き出すことになるだろう。
そうなった時に万全の状態でなければ、オリヴィアは不安を感じて思い悩んでしまうかもしれない。
それを危惧した両親が王家に掛け合ってくれて、このような対応を取ることが出来たというわけだ。
オリヴィアは既に王妃教育を始めている為、自分の意向だけで決めることは出来なかった。
彼女の体を心配したジークヴァルトも両親と共に掛け合ってくれて、それが叶ったというわけだ。
そして春を迎えた。
のんびりと療養生活を送っていたこともあり、オリヴィアの体調は完全に回復した。
そして再び王都へと戻って来た。
元気な姿を見せたら、きっとジークヴァルトは喜んでくれるはずだとオリヴィアは信じて疑わなかった。
しかし再び学園に戻って来ると、疑いたくなるような光景がそこには映し出されていた。
オリヴィアの最愛の人であるジークヴァルトは、知らない令嬢に向けて優しく微笑んでいたのだ。
しかも二人は近い距離で、楽し気にお喋りをしている。
その光景を目にした瞬間、オリヴィアの中の時間が止まった。
「……ジーク様」
彼女の口元から消えそうな程の小さな声が漏れた。
当然その声はジークヴァルトには届かない。
しかし暫くの間視線を送っていると、それに気付いたのか彼はオリヴィアの方へと視線を向けた。
「リヴィ……」
とても驚いた顔で彼は確かにそう呼んだ。
『リヴィ』と言うのはオリヴィアの愛称であり、そのように呼ぶのは家族と婚約者であるジークヴァルトのみ。
彼の表情はどこかぎこちなく感じた。
オリヴィアが学園に今日復帰することは、当然ジークヴァルトの耳には届いていたはずだ。
二か月ぶりに会うのだから驚くことには納得は出来るが、それにしては表情がいささか硬く見える。
まるで引き攣ったような顔をしているようだ。
オリヴィアが不安気な表情を浮かべていると、ジークヴァルトは小さく笑って見せた。
愛想笑いと言うべきか、作られた笑顔だ。
十年もの間ずっとジークヴァルトの傍に居たオリヴィアにはすぐに分かった。
「戻って来たんだな。体調はもう大丈夫なのか?」
「……はい、お陰様で。もう完治しました」
「そうか……。だけど、まだ病み上がりなのだから、あまり無理をしないほうがいい」
「お気遣い、ありがとうございます」
どことなくぎこちない会話が続いていく。
お互いそれが分かっているのか、表情が硬く会話がそこで途切れてしまう。
「ジーク様、そちらの方は?」
「ああ、リーゼは彼女に会うのは初めてだったな。彼女はオリヴィア・ブリ―ゲル公爵令嬢。私の婚約者だ」
「あっ、そうだったんですねっ! オリヴィア様、私はリーゼル・テレーゼと申します。よろしくおねがいしますねっ」
「……よ、よろしくお願いします」
リーゼルと呼ばれた令嬢は、ジークヴァルトにオリヴィアを紹介されると純真爛漫な笑顔で挨拶を始めた。
ピンクブロンドのふんわりとした髪に、蜂蜜のような色の瞳。
彼女を一言で表現するならば、可愛いという言葉がぴったりな気がする。
そして何よりも彼はリーゼルのことを『リーゼ』と呼び、彼女は王太子である彼の事をオリヴィアと同じように『ジーク様』と呼んでいた。
その事にオリヴィアは驚きを隠せないでいた。
(どうして……、そんな呼び方をさせているの……? その子はジーク様とはどういった関係なの?)
心の中で問いかけた言葉は、表に出すことはなかった。
そしてオリヴィアの心の中に、とてつもなく大きな不安が広がっていく。
「ジーク様、そろそろ行かないと」
「ああ、そうだな。リヴィ、悪い。また後で改めて会いに行く」
「……は、い」
ジークヴァルトはリーゼルに急かされると、オリヴィアを置いてその場から立ち去って行った。
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