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2. 井の中の蛙 大海を知らず
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ダニエルは昨日会ったアナスタシアに大変興味を抱いた。いろいろ理由はあるが、一番は自分のことを知らなかったためだ。ダニエルは優秀で、人あたりも顔も良いため、特に女性陣からの知名度は高いと自負していた。自意識過剰ではないかと感じるが、事実として、ダニエルはそこそこの労力で結果を出すことができ、会話が楽と老若男女から評価され、そして、切れ長の目にすっと通った鼻筋、艶やかな黒髪と何より見目がよかった。そのため、たしかに大変目立つ存在であり、相手がダニエルを知っているという状態で話すことが多かった。だから、ダニエルは久しぶりに自分のことを知らない人間と話したのだった。どのように話せばよいのかと少し戸惑ったが、アナスタシアから、用件が分かれば大丈夫といったさっぱりした態度を感じ取り、ダニエルは少しほっとしていた。ええ~、わかんな~いと甘えてくるタイプの人間ではなくて気が楽だった。そのような人間と数多く接しており、ちょっと面倒だな、煩わしいなと思う経験を積み重ねてきたのだ。
「やあ、こんにちは。アナスタシアさん」
ダニエルはお昼休みを利用して、ステッキを持って約束通りにアナスタシアの元を訪れた。
「ちょっと遅かったかな?」
「さあ、どうでしょうね」
アナスタシアの研究室に時計は体内時計以外ない。客室はソファと机と眉毛の描かれた犬の置物一つで構成されている簡素なものだ。
「昨日のバリアを改めて教えてほしいんだけれど、今大丈夫?」
「ええ、平気です」
アナスタシアはポケットからステッキを取り出した。
「一般のバリアはできますか?その応用なんです」
「いけるよ、はい」
ダニエルはその辺にあった妙なリアリティーがある犬の置物の周りにバリアを張った。
「すばらしいですね」
アナスタシアは感情のこもっていない声で言った。
「これをこうするとできます」
アナスタシアは教える気のない説明をしながら、バリアをテキトーなところにさっと張った。
「えっとー、どうやんの?」
「このバリアを自分のみが入れるようにロックをかけてください」
「あー、鍵かけの魔法と組み合わせんのね」
ちょっと見て聞いただけでダニエルはほいっと言われた魔術をこなした。ダニエルは腹立たしいほどに要領がよいのだ。
「バリアの強度は術者の腕次第ですが、これならば問題ないでしょう」
「へぇ、アナスタシアさんは突破できる?」
「バリアを書き換えたらできますよ」
「やってみて」
「ほいっと」
ちょちょいのちょいと簡単なパズルを解く要領でアナスタシアはダニエルのバリアを解除し、内にあった犬の置物を手に取った。
「え?」
「私だと入られてしまうので、心配でしたらもっと複雑に鍵かけの魔法を組み合わせるかしたら、安心ですよ」
「アナスタシアさん、バリア、やってみてください」
「え?はい」
アナスタシアは独特な雰囲気のある犬の置物の周りにバリアを張った。ダニエルには先程の彼女のようにバリア内の犬の置物に触ることができなかった。アナスタシアは先程ダニエルがやったバリアよりも高性能なものをお出ししたのだ。ダニエルは、今の自分ではこの複雑に組み合わされたバリアの解除はできないと判断した。
「これ、どうなってんだ……」
「複雑に鍵かけの魔法を組み合わせました」
ダニエルはアナスタシアが教えることや説明することが苦手なんだなとひしひしと感じた。
「アナスタシアさん、挑戦しても?」
「はい?」
「バリア破り!」
アナスタシアはダニエルは負けず嫌いなのかなと感じた。実際、彼にはそのような面はなきにしもあらずではあるが、この場合は、え?俺が全然わからない魔術あるのが悔しーい!どうなっているか知りたーい!と三分の一の対抗心と残った三分の二は湧き出る好奇心といった具合だった。
「……だめかな?」
「えっと、はい、わかりました。いいですよ」
アナスタシアはにっこり笑って、ダニエルの挑戦を受け取った。
「ですが、私はここにいない時もありますよ」
「そうしたら、うん、研究室のとことか見てもいい?」
ダニエルは客室の奥にある扉を指差した。
「いいですけれど、汚いですよ」
「そうなの?じゃあ、片付けとかしちゃおうかな」
「たしかに、そろそろ掃除をしないといけないかもしれませんね」
アナスタシアは研究室の惨状を思い出して、どうしようかなと面倒になった。虫は湧いてないため、まだセーフだと感じている。
「じゃあ、また来るねー」
ダニエルは笑顔で手を振って、賑やかに去っていった。
それから、ダニエルは結構な頻度でアナスタシアの元を訪れるようになった。
「やあ、こんにちは。アナスタシアさん」
ダニエルはお昼休みを利用して、ステッキを持って約束通りにアナスタシアの元を訪れた。
「ちょっと遅かったかな?」
「さあ、どうでしょうね」
アナスタシアの研究室に時計は体内時計以外ない。客室はソファと机と眉毛の描かれた犬の置物一つで構成されている簡素なものだ。
「昨日のバリアを改めて教えてほしいんだけれど、今大丈夫?」
「ええ、平気です」
アナスタシアはポケットからステッキを取り出した。
「一般のバリアはできますか?その応用なんです」
「いけるよ、はい」
ダニエルはその辺にあった妙なリアリティーがある犬の置物の周りにバリアを張った。
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「バリアの強度は術者の腕次第ですが、これならば問題ないでしょう」
「へぇ、アナスタシアさんは突破できる?」
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「やってみて」
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「え?」
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「アナスタシアさん、バリア、やってみてください」
「え?はい」
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「これ、どうなってんだ……」
「複雑に鍵かけの魔法を組み合わせました」
ダニエルはアナスタシアが教えることや説明することが苦手なんだなとひしひしと感じた。
「アナスタシアさん、挑戦しても?」
「はい?」
「バリア破り!」
アナスタシアはダニエルは負けず嫌いなのかなと感じた。実際、彼にはそのような面はなきにしもあらずではあるが、この場合は、え?俺が全然わからない魔術あるのが悔しーい!どうなっているか知りたーい!と三分の一の対抗心と残った三分の二は湧き出る好奇心といった具合だった。
「……だめかな?」
「えっと、はい、わかりました。いいですよ」
アナスタシアはにっこり笑って、ダニエルの挑戦を受け取った。
「ですが、私はここにいない時もありますよ」
「そうしたら、うん、研究室のとことか見てもいい?」
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「いいですけれど、汚いですよ」
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「たしかに、そろそろ掃除をしないといけないかもしれませんね」
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それから、ダニエルは結構な頻度でアナスタシアの元を訪れるようになった。
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