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No.06

~優里の姉⑯~

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「お前、家族がどないなってもいいんか?」



お嬢様と屋敷を出て、アパートで暮らしていた俺たち。
けれど、俺たちは組長に居場所を突き止められ、俺だけ組に戻った。



これでいいんだ。



「聞いとんのか!?」
「聞いています」
「なら、どうするんじゃ?」
「……」



組長は俺の家族を盾にしてきた。
親父が体を壊し働けない。
母さんの収入だけじゃ生活は厳しい。
俺には年の離れた妹がいた。



俺が組に入ったのは家族のためだった。



選択肢は一つしかない。



「組に戻ります」



俺がそう言うと、組長はそれでいいという顔をした。
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