好きって言ってみなよ?

葉月カイト

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修学旅行そして晶の秘密

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「なぁ、晶ー。昼何食べる?」
「んー何でもいいや」
「晶。あのな、お前はそんなだから、細いんだよ」
「別に細くねぇし」
「いーや、細い!」
「俺は細くねぇ!」
「晶くんは少し細いよ?抱きしめたら折れちゃいそうだよ」



そう言いながら瑠衣さんは俺を抱きしめる。



「あんたはいつも……」
「晶。早く飯食わねぇと昼休み終わるぞ?」
「わかってる」



適当に注文して席に座る。
横で瑠衣さんのため息が聞こえるけど無視しておくことに。



「晶、前よりは食うようになったな?」
「飯食わねーと、怒る人がいるからな」
「お前はもう少し肉ついてもいいと思うぞ?」
「うるさい!」
「あの事件があるまでは、普通だったのにな」
「蓮也!それは言うな」
「……悪い」



蓮也に心配かけたのは悪いけど俺はそれを瑠衣さんに知られたくないんだよ。



昼食をすませ俺たちはゲレンデにやってきた。



「晶くん。スキー上手いね?」
「晶ってアメリカ留学するまでは運動してなかったけどな」
「そうなの?」
「あぁ。運動はドクターストップかかってたから」
「とおるから体が弱いって聞いてたけどそこまで……」
「でも、頭だけは同世代の子たちのはるか上だったよな」
「仕方ねぇだろう?ずっとベッドの上で暇だったからよく父さんの書斎に入り込んでたし」
「でも、何で隠してたの?」
「体が弱いから頭もよくないとか馬鹿な奴らは言ってた。だからいつか見返してやりたかったからな」



俺を馬鹿にしてたヤツらは今は俺に媚びてるけどな。



「へぇ……。そういやさ、真くんも留学してた?」
「まこは普通に日本の学校行ってた。蓮也たちと」
「晶が留学してた時、まこが大変だったぞ?」
「あー。そういや、俺が帰国して向こうに戻る度大変だったよな……」
「"兄ちゃんとアメリカ行く"とか"兄ちゃんと一緒じゃなきゃ学校行かない"とか……」



瑠衣さんも大変だったけどな。
もう少しとか言ってな。



「なぁ瑠衣さん。俺と勝負しないか?下まで」


俺は瑠衣さんとスキーで勝負をすることにした。



「……。何をかけて?」
「負けた方が1つ言うことを聞くとか?」
「後悔しない?」
「あぁ!」
「スキーとスノボーどっち?」
「スノボーでいいや」



スキーには自信あるから勝たせてもらうからな。



そして俺は上級者コースを滑っていく。
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