好きって言ってみなよ?

葉月カイト

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新学期スタート

3

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「どうしたんだよ?」
「べーつに」




夜着替えを持って晶くんはやってきた。



「別にって顔じゃないぞ。もしかして昼来なかったの怒ってるのか?」
「そうだよって言ったら?」
「メールしただろう?」



晶くんはあきれ気味に言ってきた。
俺自身もあきれてるんだけどね。




「俺は有島の伯母さん以下?」
「はぁ!?」
「何でもないよ……」
「ったくあんたはっ」
「晶くんにご飯作って食べさせるのは俺だけでいいのに」



これは本音。
晶くんにご飯食べさせるのは、ホントに俺だけでいいのに。



「……俺はあんたを有島の伯母さん以下とか思ってないから」
「じゃあ何で?」
「そ、それはっ」



晶くんてば、顔赤くしちゃって。
どうしたんだろう?



「有島の伯母さんの料理は母さんの味付けに似てるんだよ」
「……ごめん」



晶くんはまだ14の子供。
7歳の頃にはご両親の元を離れてたんだから。



「何謝ってるんだよ?」
「わからないならいいんだよ」


夕飯をすませた後、晶くんはかばんの中から、ファイルを取り出していた。
これは悠姫ちゃんのかな?



「あー面倒くせぇー」
「晶くんじゃなくてとおるに押し付ければ良かったんじゃない?」
「無理。兄さんこういうの苦手だし」
「だから、いいんじゃない」



とおるが書いてあげればいいのに。
ホントこういうことは一切しないんだから。
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