好きって言ってみなよ?

葉月カイト

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「晶くんー」
「んー」
「晶くんー起きて!」
「あと、10分ー」
「仕方ないね。晶くん起きないと襲うよ?」




こういう起こし方すれば晶くんはすぐ起きる。


「瑠衣さん」
「あ、起きた?おはよう」
「あのさ、その起こし方やめてくれない?」
「いいじゃない?」




昔、起きない晶くんに悪戯して以来こう言えばすぐ起きるようになった。



「ったく。なぁ、何でこんな早くに起こしたんだ?」



そう。
まだ7時。



「なんとなく?ご飯食べちゃおう?」



朝食を済ませると俺たちは学園祭に向かう。



「あっちゃんー」
「沙希ちゃん」
「あっちゃん学校に来ないからつまらないよー」
「ごめん」
「いいよ。まこちゃんで我慢しとくから」



沙希、真くんの好意に全く気づいてないみたいだね。
沙希は晶くん以外眼中にないから仕方ないか。



「そういや、まこは?」
「まこちゃんは疲れてるから休んでるよ。寮で」
「じゃあ俺も寮に……」
「えぇー!?晶くんは俺と学園祭まわるんでしょ?」
「……わかった」
「じゃあ沙希何かあったら電話してね」
「瑠衣さん?」
「晶くんは俺といなきゃダメだからね!」



学園祭は変なことが多い。
晶くんが誘拐されるし、悠姫ちゃんも学園祭に連れ去られた。



晶くんの手を握ったまま模擬店を見て回る。



「晶くんは何か食べたいのある?」
「クレープ」
「そう言えば去年もクレープ食べてたね」




晶くんはクレープが好きみたいで学園祭の模擬店ではいつもクレープ。
因みに俺が何がいいか聞いてもクレープしか言わない。



「何も起こらなきゃいいけど」
「嫌なこと言うなよ!」
「だって学園祭に何かしら起きてるじゃない。去年、悠姫ちゃん誘拐されたし。だから、俺から離れないでね?」



不安になるんだよ。
晶くんがいなくならないか。



「わかった」
「一部じゃ、晶くんが如月財閥を動かしてるって知れ渡ってるんだから」
「あんたから離れなきゃいいんだろう?」
「そうだよ」



そう言ったのに。
ちょっと目を離したすきに消えた。



「ごめん、会長」
『瑠衣。しっかりしろ!俺も手を尽くすから』



そう言って俺たちは晶くんをさがした。
けれど見つからなかった。
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