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第11話:魔獣退治と混浴事件
4.
しおりを挟むご飯を食べた後、私達は交代で温泉に入って寝る準備をした。私は前世で入った温泉に再び浸かれたことが嬉しく、皆が寝静まった頃にまた一人で入ることにした。
***
「ふぁ~~ 良いお湯だなぁ。日本に戻ったみたい!」
今日は魔獣退治から始まり、皆に手料理を振る舞って、かなりパワーを使ったので体は疲れてきっていた。お湯の中で脚をググッと伸ばしてみる。
お湯の温かさもあり、血流がどんどん良くなっていくような気がした。
すると突然、入り口の方から誰かの声が聞こえてくる。
「あれ、エリアナも入っていたのか?」
「カッ カイ様!?!」
まさかこんな時間に誰かが入ってくるとは思わず、あわあわと取り乱し始める。
前回のシャワールーム事件に続き、腰に布を巻いた状態のカイ様が現れて一気にのぼせそうになった。
「え、ちょ、カイ様、どうされたんですか!? こ、こんな時間に……!」
「ここの温泉がとても気持ち良かったから、また後でゆっくり入ろうと思っていたんだ。混浴の温泉みたいだから、私も入って大丈夫か?」
「は、はい、いいえ? えーと、大丈夫です……」
カイ様が私の様子を見て「クク」と喉の奥を鳴らすようにして笑うと、同じ湯ぶねの中に入ってきた。
先ほど見たカイ様の鍛え抜かれた上半身が目に焼き付いて、ドキドキが止まらない。
前世からそうなのだが、私は鍛え抜かれた筋肉に弱いのだ。それを知ってか知らずか、カイ様は突然妙なことを尋ねてきた。
「エリアナは、騎士団長のような男が好みなのか?」
「え? 騎士団長のレオナルド様ですか? そのようなことは言ったことがありませんが、どうしてそう思われたのです?」
「アンディが王太子達の名前を出した時、レオナルド殿の時だけ反応があったように見えたんだ」
「あぁ、それは……」
前世で乙女ゲームをプレイしていた時、もし「推し」と言うならレオナルド様だったなぁと思っていたのだ。
ほとんど顔には出ていなかったと思うが、カイ様はそのような微妙な反応さえも読み取ってしまうのかと驚いた。
「いえ、好きとか、そういった感情ではありませんよ。ただ、あのように鍛え抜かれた筋肉は、素晴らしいなと思いまして……ひゃっ!?」
突然ザパッと湯船から立ち上がったカイ様が、何やら焦ったように私を見ている。
「エリアナは、鍛え抜かれた筋肉が好きなのか!?」
「え、えぇ、まぁ、素晴らしいなと思いますが……カイ様の筋肉にも、その……惚れ惚れしていますよ?」
「そうか……」
焦ったかと思いきや、次は安堵したかのように胸を撫で下ろしてまた座る。
カイ様の筋肉を目の前で見て、私はそろそろ熱さも限界に達してしまい、先に上がることにした。
「カイ様、先に上がりますので、その……少し横を向いていて下さいますか?」
「あぁ、分かった」
(時折、嫉妬のような気持ちを向けられて、カイ様に翻弄されているわ……)
こうして少しずつ、私たちの関係は変わりつつあったーー。
***
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