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第二章 再来の悪夢
第二章幕間 これから
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以前にも訪れた、この白い世界。俺の脳内であり、幻覚でもあるこの世界は、いつ来ても無を全身で体感するような不思議な空間だ。
「悪いな、俺はもう生きる理由を見つけた。お前のようにはならない」
『……』
「正しくないかもしれねぇし、俺が背負わなきゃいけない罪かもしれない」
『………』
「でも俺は……必要とされてたんだ。だからそれに応えたい」
『……好きにしろ。お前がそう覚悟を決めたのなら、俺はもうじき消える』
目の前の男は、自分とそっくりな見た目で、声でそう諦めとともにこちらに背を向けている。その姿には前のような憎悪も感じない、ただ純粋に死を受け入れるかのような雰囲気が漂っている。
「……なぁ、結局お前は何だったんだ? 俺が作り上げた幻覚にしてはあまりにも出来すぎてるだろ」
自分自身を夢に閉じ込め、痛覚が伴う世界へと誘う。そんなこと、ただの妄想だとは到底思えない。
『俺はお前だ』
「だからそうじゃなくって。もっと根本的なことだよ」
『……』
それでも頑なに口を開こうとしない。
「だんまりかよ。やっぱ俺に似てんのか?」
都合が悪くなると口を閉じる。そんな態度がまるで本当に鏡写しの自分を見ているような錯覚を起こす。
『……俺はお前の可能性だ』
「え?」
固く閉ざされた口から出たのは、とても抽象的で曖昧な言葉だった。
「可能性? どういうことだ」
『後悔、責任、お前のそんな負の感情から産み落とされたのが俺だ。なぜ生まれたか、なぜここにいるかは俺自身わからん』
「んー……ん?」
つまりはこいつも分かっていないということか。首謀者みたいな顔して、本当の犯人は別にいるということか?
『俺の自我が芽生えたのはつい最近のことだ。……そうだな、ちょうどお前の因子の適合率が15%を超えた頃だ』
「俺の……因子が……」
15というある程度キリのいい数字。それがこの出来事に関係しているということなのか。だが、それにしても謎が多い。
『最後に忠告をしておいてやろう。俺を生み出した存在、それは他でもないお前自身の中にある。ゆめゆめ、その事を忘れるな』
「あっ、おい!」
白の世界に突如亀裂が入り、もう1人の俺が遠くへと歩き出す。必死に追いかけようとするが、見えない壁がそれを阻む。
「お前にはまだ聞きたいことが山ほどあるだよ! 勝手にいなくなるんじゃねぇ!」
俺は必死に叫ぶが、こちらには目もくれず歩いて歩いて、歩き続ける。
『……敵を見誤るなよ』
最後の呟きと共に、世界が崩壊を告げた。
▷▶︎▷
意識が覚醒し、久しぶりに何事もない朝を迎える。悪夢を見ることもなく、文字通りの安眠を得ることが出来たのだ。
体をゆっくりと起こすと、その身の軽さに驚いた。肩の荷が降りた、という言葉がまさしくこれを適切に表す表現だと思う。
心身共に健康だと、今は胸を張って言えそうだ。
起き上がって顔を洗っていると、ドアがノックされ、猫耳の少女が入ってきた。いつものメイド服に、その綺麗な銀髪がマッチして、とても輝いて見える。
「おはようございます。よく眠れました?」
そんないつもと変わらない表情を浮かべる姿がとても愛おしくて、俺は思わず抱きしめた。
「えっ、ご、ご主人様?」
「ああ、よく眠れたよ。ありがとうな、シャロ」
「そ、そうですか。それなら良かったです……」
俺が急にこんな事をしたから、少々照れているようだ。いつもの小悪魔な感じとは一転した様子さえも可愛い。
「あ、あの~……」
「ん、どうした?」
「たぶんもうすぐ―――」
と、言いかけたところで、勢いよく扉が開いた。
「おはよう! 朝ごはん持って―――」
「あ」
「あら」
「な、な、なな、なぁぁぁ!?」
朝っぱらから抱き合う姿をティアに見られてしまった。
「あー、違うティア、これはその……勘違いだ」
「いえ、違いませんよ。ご主人様の方から熱烈に抱き寄せられましたので、ね?」
俺の弁解に対して、またいつもの顔に戻ったシャロが煽るようにそう言ってのける。
「あ、あ……朝から何してんだぁ!!」
「こ、これはな……思わずだ。うん。俺だって男だ。そんな時くらいある」
少し無理な言い方だが、仕方あるまい。てか、なんで俺はティアに弁明してるんだ?
「お、も、わ、ず、だぁ?」
俺の返答が気に入らなかったらしい。
それから朝食を食べ始めるまでに30分はかかった。
▷▶︎▷
「それで、聞きたい事とはなんだ?」
「あぁ、えっとだな―――」
朝食を食べ終えた俺は、フリードに会いにきた。例の夢のループ、そしてもう1人の自分。それにはどうやら因子が関係しているような口ぶりだった。
気になった俺は、これまでにあったことを全てフリードに話した。
「……なるほど。夢で何度も……か」
「ああ。一体なんだと思う? なんか因子が15%になった時にって言ってたけど」
「お前の中の問題……とするならば、固有魔法ということが考えられるな」
「固有魔法が?」
確か発現自体が稀だという代物だ。その力は絶大で、こいつは不死を持っているらしい。
「固有魔法が発現する場合、そいつ自身の願いが反映されることが多々ある。メアの場合なら、離れている母と話したい、とかだな」
「つまり、俺が感じてた責任とかが固有魔法に結びついたってことか?」
それにしては俺の役に立たなかったな。なんなら、攻撃的じゃなかったか?
「俺の因子を持つことで、俺の固有魔法そのものは発現せずとも、固有魔法を発現する器が引き継がれたという可能性は十分にあるな」
不死は与えられずとも、力を得るに値する資格を手にしたということか。
「なるほどな……具体的な能力ってどんな奴なんだ?」
「俺の不死の場合なら分かりやすいが、そういった能力は詳細に把握するのが難しい」
「なんかこう、紙にぽわ~って浮かんできて分かるとかじゃないのか?」
テンプレの異世界なら自身のスキルが見れたりしそうだが、そういった類はあるのだろうか。
「そんなものはない。固有魔法は未知に溢れている。故に、発現したことに気付かぬまま死ぬ者もいる」
「そ、そうなのか……」
固有魔法は想像以上に勝手がきかないらしい。かくゆう俺の能力もその分類に入るだろう。
「所詮あるかないかは可能性の話だ。何かまた夢を見たら俺に言え」
「分かった、そうする」
せっかく固有魔法を持っているかもしれないのに、その能力が悪夢を見る能力ともう1人の自分を心につくる能力とかあまりにもヘボい。
どうせなら瞬間移動とかが良かったな。
まぁ、何はともあれ解決して良かった。
根本の問題はまだあるっぽいけど、何とかなる気がする。
それに俺には……フリードが、仲間がいる。その存在が今はとてもありがたい。
俺はこの世界で生きて、そして夢を見つける。
他でもない、シャロと約束をしたのだから
「悪いな、俺はもう生きる理由を見つけた。お前のようにはならない」
『……』
「正しくないかもしれねぇし、俺が背負わなきゃいけない罪かもしれない」
『………』
「でも俺は……必要とされてたんだ。だからそれに応えたい」
『……好きにしろ。お前がそう覚悟を決めたのなら、俺はもうじき消える』
目の前の男は、自分とそっくりな見た目で、声でそう諦めとともにこちらに背を向けている。その姿には前のような憎悪も感じない、ただ純粋に死を受け入れるかのような雰囲気が漂っている。
「……なぁ、結局お前は何だったんだ? 俺が作り上げた幻覚にしてはあまりにも出来すぎてるだろ」
自分自身を夢に閉じ込め、痛覚が伴う世界へと誘う。そんなこと、ただの妄想だとは到底思えない。
『俺はお前だ』
「だからそうじゃなくって。もっと根本的なことだよ」
『……』
それでも頑なに口を開こうとしない。
「だんまりかよ。やっぱ俺に似てんのか?」
都合が悪くなると口を閉じる。そんな態度がまるで本当に鏡写しの自分を見ているような錯覚を起こす。
『……俺はお前の可能性だ』
「え?」
固く閉ざされた口から出たのは、とても抽象的で曖昧な言葉だった。
「可能性? どういうことだ」
『後悔、責任、お前のそんな負の感情から産み落とされたのが俺だ。なぜ生まれたか、なぜここにいるかは俺自身わからん』
「んー……ん?」
つまりはこいつも分かっていないということか。首謀者みたいな顔して、本当の犯人は別にいるということか?
『俺の自我が芽生えたのはつい最近のことだ。……そうだな、ちょうどお前の因子の適合率が15%を超えた頃だ』
「俺の……因子が……」
15というある程度キリのいい数字。それがこの出来事に関係しているということなのか。だが、それにしても謎が多い。
『最後に忠告をしておいてやろう。俺を生み出した存在、それは他でもないお前自身の中にある。ゆめゆめ、その事を忘れるな』
「あっ、おい!」
白の世界に突如亀裂が入り、もう1人の俺が遠くへと歩き出す。必死に追いかけようとするが、見えない壁がそれを阻む。
「お前にはまだ聞きたいことが山ほどあるだよ! 勝手にいなくなるんじゃねぇ!」
俺は必死に叫ぶが、こちらには目もくれず歩いて歩いて、歩き続ける。
『……敵を見誤るなよ』
最後の呟きと共に、世界が崩壊を告げた。
▷▶︎▷
意識が覚醒し、久しぶりに何事もない朝を迎える。悪夢を見ることもなく、文字通りの安眠を得ることが出来たのだ。
体をゆっくりと起こすと、その身の軽さに驚いた。肩の荷が降りた、という言葉がまさしくこれを適切に表す表現だと思う。
心身共に健康だと、今は胸を張って言えそうだ。
起き上がって顔を洗っていると、ドアがノックされ、猫耳の少女が入ってきた。いつものメイド服に、その綺麗な銀髪がマッチして、とても輝いて見える。
「おはようございます。よく眠れました?」
そんないつもと変わらない表情を浮かべる姿がとても愛おしくて、俺は思わず抱きしめた。
「えっ、ご、ご主人様?」
「ああ、よく眠れたよ。ありがとうな、シャロ」
「そ、そうですか。それなら良かったです……」
俺が急にこんな事をしたから、少々照れているようだ。いつもの小悪魔な感じとは一転した様子さえも可愛い。
「あ、あの~……」
「ん、どうした?」
「たぶんもうすぐ―――」
と、言いかけたところで、勢いよく扉が開いた。
「おはよう! 朝ごはん持って―――」
「あ」
「あら」
「な、な、なな、なぁぁぁ!?」
朝っぱらから抱き合う姿をティアに見られてしまった。
「あー、違うティア、これはその……勘違いだ」
「いえ、違いませんよ。ご主人様の方から熱烈に抱き寄せられましたので、ね?」
俺の弁解に対して、またいつもの顔に戻ったシャロが煽るようにそう言ってのける。
「あ、あ……朝から何してんだぁ!!」
「こ、これはな……思わずだ。うん。俺だって男だ。そんな時くらいある」
少し無理な言い方だが、仕方あるまい。てか、なんで俺はティアに弁明してるんだ?
「お、も、わ、ず、だぁ?」
俺の返答が気に入らなかったらしい。
それから朝食を食べ始めるまでに30分はかかった。
▷▶︎▷
「それで、聞きたい事とはなんだ?」
「あぁ、えっとだな―――」
朝食を食べ終えた俺は、フリードに会いにきた。例の夢のループ、そしてもう1人の自分。それにはどうやら因子が関係しているような口ぶりだった。
気になった俺は、これまでにあったことを全てフリードに話した。
「……なるほど。夢で何度も……か」
「ああ。一体なんだと思う? なんか因子が15%になった時にって言ってたけど」
「お前の中の問題……とするならば、固有魔法ということが考えられるな」
「固有魔法が?」
確か発現自体が稀だという代物だ。その力は絶大で、こいつは不死を持っているらしい。
「固有魔法が発現する場合、そいつ自身の願いが反映されることが多々ある。メアの場合なら、離れている母と話したい、とかだな」
「つまり、俺が感じてた責任とかが固有魔法に結びついたってことか?」
それにしては俺の役に立たなかったな。なんなら、攻撃的じゃなかったか?
「俺の因子を持つことで、俺の固有魔法そのものは発現せずとも、固有魔法を発現する器が引き継がれたという可能性は十分にあるな」
不死は与えられずとも、力を得るに値する資格を手にしたということか。
「なるほどな……具体的な能力ってどんな奴なんだ?」
「俺の不死の場合なら分かりやすいが、そういった能力は詳細に把握するのが難しい」
「なんかこう、紙にぽわ~って浮かんできて分かるとかじゃないのか?」
テンプレの異世界なら自身のスキルが見れたりしそうだが、そういった類はあるのだろうか。
「そんなものはない。固有魔法は未知に溢れている。故に、発現したことに気付かぬまま死ぬ者もいる」
「そ、そうなのか……」
固有魔法は想像以上に勝手がきかないらしい。かくゆう俺の能力もその分類に入るだろう。
「所詮あるかないかは可能性の話だ。何かまた夢を見たら俺に言え」
「分かった、そうする」
せっかく固有魔法を持っているかもしれないのに、その能力が悪夢を見る能力ともう1人の自分を心につくる能力とかあまりにもヘボい。
どうせなら瞬間移動とかが良かったな。
まぁ、何はともあれ解決して良かった。
根本の問題はまだあるっぽいけど、何とかなる気がする。
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