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第三章 王立学校
酒の席
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少女と別れ、足早にホテルへと戻ってきた。
「ただいま」
「おかえり」
「お疲れ様です。試験はどうでしたか?」
「満点は……流石に無理だけど、まず落ちることはないと思うぜ」
これは自信をもって言える。本当なら去年の今頃にこんなセリフを言いたかったが、あれは紛れもなく俺のせいだ。反省を生かしたということにしておこう。
「それはまた、すごい自信だな」
「あたりまえよ。なんせこれで落ちたらメアに顔向けできねぇからな」
「そしたら後は実技試験だけですね」
「そうだなぁ……」
実技試験。これがきっと入学できるかどうかの明暗を分ける。できる限りの準備はしたのだが、
「……後は当日のコンディションを整えるだけだな」
結果が届き、試験がある日までできることは限られてくる。それこそ、下手に練習するよりも適度に勘が鈍らないように訓練するのが最善だろう。
しばらく経つと部屋に夕食が運ばれたのでそれを食べ、風呂に入って寝た。
やることは変わらない。俺はいつも通りにしてればいいんだ。
▷▶︎▷
筆記試験から数日後
俺は1人で館内のBARに来ていた。2人と一緒でも良かったのだが、片方酒癖が悪いので、あえての1人だ。
中は暗めの照明で全体的に黒を基調にした内装になっている。落ち着いた‘‘静‘‘の空間がその独特な雰囲気を醸し出し、そんなとこにいる自分が場違いに思えてくる。前の世界では未成年だったので、こういった所に来るのは初めてだ。
ひとまずカウンター席に座り、どうやって注文するんだ?と悩んでいると、向こうの方から聞いてくれた。
「ご注文は?」
「あ、えっと……」
メニューとか何も見当たらない。
BARってカクテル飲むところだっけ?カクテルってなんだ?なんて謎が頭に浮かんでくる。そういえば知識とかなんも無かったわ。
結局その場を凌ぐため、
「お、オススメで……」
そう言って難を逃れた。
後ろを向いて何かをしている店員を眺めながら、俺は1人で来たことを後悔していた。
シャロだけでも誘えば良かったかな。いや、そうするとティアが可哀想だ。来てしまったものは仕方がない。
ドキドキしながら待っていると、俺の前に緑色の液体の入った三角形のグラスが置かれた。
「こちら――の――で、――と――が元になっていまして、――が――で――の――――――――です」
「あっ……はい。ありがとうございます」
八割以上聞き取れなかったが、勢いでそのまま返事をしてしまった。きっとこの飲み物の説明をしてくれたのだろうが、まったくもって分からない。寿限無の方がまだ聞き取れそうだ。
そのままグラスを手に取り、眺める。深い、深い緑色で抹茶のような印象だ。
口に近付け一口、この味は……
「……コーヒー牛乳?」
だとすると色と味のミスマッチが甚だしいが、確かにこれはコーヒー牛乳の味がする。アルコール感はほとんどなく、とても飲みやすい。
その不思議な味に夢中になっていると、
「隣、いいかしら?」
横の席に大人の女性が座ってきた。
「あ、はい。大丈夫です」
こういう出会いもあるもんなんだな、と思い俺は快く受け入れた。
「彼と同じのを」
慣れた口調でそう注文する。常連なのだろうか?
「あなた、ここにくるのは初めて?」
紫色の髪を耳にかけ、エロティックな雰囲気を感じさせながら聞いてくる。
「はい、ここを……というよりこの街に来るのが初めてで」
「そうなのね。観光かしら?」
「あー……いえ、王立学校の編入試験を受けに来たんです」
「ああ、あそこの……結構難しいんじゃない?」
「まぁそうですね。筆記はどうにかなったと思うんですけど、実技がどうなるか……」
「でも筆記試験ができるだけでもすごいわ。せっかくだし今日は奢ってあげる」
「いいんですか?」
「構わないわ。あなた、名前は?」
「石動健一です」
「石動君……ね。登録しとくわ」
「登録?」
「ああ、気にしないで。私少し忘れっぽいの」
妖艶な表情で微笑みかけてくる。その大人っぽい雰囲気に飲み込まれ、思考がまるで止まってしまったかのようだ。
その後は数十分ほど会話を楽しみ、俺は部屋に戻ることにした。
「そろそろ、部屋に戻りますね。ご馳走様です」
「もう行っちゃうの?」
「連れが心配すると思うので。すみません」
「連れって女の子かしら?」
「あぁ、まぁ……はい」
「ふうん……」
「あの、そういえばお姉さんの名前って……」
「私? 私はビスカよ。きっとまた会いましょうね」
「はい。今日はありがとうございました」
挨拶を済ませ俺はBARを後にし、部屋へと戻った。
それにしても綺麗な人だったな。The大人という感じで話すだけでもかなり緊張した。会話は他愛のない世間話のようなものだったが、半分以上覚えていない。アルコールのせいだろうか。
そういえば学校の話は迂闊だったかもな。なんで酒飲んでんだって聞かれなかったことが唯一の救いだ。ああいう人はそこら辺も寛容なのだと勝手に納得する。
ビスカさん……か。どっかで聞いたことがある気がするが、今は眠くて何も考えられない。
また……会えるかな。
「ただいま」
「おかえり」
「お疲れ様です。試験はどうでしたか?」
「満点は……流石に無理だけど、まず落ちることはないと思うぜ」
これは自信をもって言える。本当なら去年の今頃にこんなセリフを言いたかったが、あれは紛れもなく俺のせいだ。反省を生かしたということにしておこう。
「それはまた、すごい自信だな」
「あたりまえよ。なんせこれで落ちたらメアに顔向けできねぇからな」
「そしたら後は実技試験だけですね」
「そうだなぁ……」
実技試験。これがきっと入学できるかどうかの明暗を分ける。できる限りの準備はしたのだが、
「……後は当日のコンディションを整えるだけだな」
結果が届き、試験がある日までできることは限られてくる。それこそ、下手に練習するよりも適度に勘が鈍らないように訓練するのが最善だろう。
しばらく経つと部屋に夕食が運ばれたのでそれを食べ、風呂に入って寝た。
やることは変わらない。俺はいつも通りにしてればいいんだ。
▷▶︎▷
筆記試験から数日後
俺は1人で館内のBARに来ていた。2人と一緒でも良かったのだが、片方酒癖が悪いので、あえての1人だ。
中は暗めの照明で全体的に黒を基調にした内装になっている。落ち着いた‘‘静‘‘の空間がその独特な雰囲気を醸し出し、そんなとこにいる自分が場違いに思えてくる。前の世界では未成年だったので、こういった所に来るのは初めてだ。
ひとまずカウンター席に座り、どうやって注文するんだ?と悩んでいると、向こうの方から聞いてくれた。
「ご注文は?」
「あ、えっと……」
メニューとか何も見当たらない。
BARってカクテル飲むところだっけ?カクテルってなんだ?なんて謎が頭に浮かんでくる。そういえば知識とかなんも無かったわ。
結局その場を凌ぐため、
「お、オススメで……」
そう言って難を逃れた。
後ろを向いて何かをしている店員を眺めながら、俺は1人で来たことを後悔していた。
シャロだけでも誘えば良かったかな。いや、そうするとティアが可哀想だ。来てしまったものは仕方がない。
ドキドキしながら待っていると、俺の前に緑色の液体の入った三角形のグラスが置かれた。
「こちら――の――で、――と――が元になっていまして、――が――で――の――――――――です」
「あっ……はい。ありがとうございます」
八割以上聞き取れなかったが、勢いでそのまま返事をしてしまった。きっとこの飲み物の説明をしてくれたのだろうが、まったくもって分からない。寿限無の方がまだ聞き取れそうだ。
そのままグラスを手に取り、眺める。深い、深い緑色で抹茶のような印象だ。
口に近付け一口、この味は……
「……コーヒー牛乳?」
だとすると色と味のミスマッチが甚だしいが、確かにこれはコーヒー牛乳の味がする。アルコール感はほとんどなく、とても飲みやすい。
その不思議な味に夢中になっていると、
「隣、いいかしら?」
横の席に大人の女性が座ってきた。
「あ、はい。大丈夫です」
こういう出会いもあるもんなんだな、と思い俺は快く受け入れた。
「彼と同じのを」
慣れた口調でそう注文する。常連なのだろうか?
「あなた、ここにくるのは初めて?」
紫色の髪を耳にかけ、エロティックな雰囲気を感じさせながら聞いてくる。
「はい、ここを……というよりこの街に来るのが初めてで」
「そうなのね。観光かしら?」
「あー……いえ、王立学校の編入試験を受けに来たんです」
「ああ、あそこの……結構難しいんじゃない?」
「まぁそうですね。筆記はどうにかなったと思うんですけど、実技がどうなるか……」
「でも筆記試験ができるだけでもすごいわ。せっかくだし今日は奢ってあげる」
「いいんですか?」
「構わないわ。あなた、名前は?」
「石動健一です」
「石動君……ね。登録しとくわ」
「登録?」
「ああ、気にしないで。私少し忘れっぽいの」
妖艶な表情で微笑みかけてくる。その大人っぽい雰囲気に飲み込まれ、思考がまるで止まってしまったかのようだ。
その後は数十分ほど会話を楽しみ、俺は部屋に戻ることにした。
「そろそろ、部屋に戻りますね。ご馳走様です」
「もう行っちゃうの?」
「連れが心配すると思うので。すみません」
「連れって女の子かしら?」
「あぁ、まぁ……はい」
「ふうん……」
「あの、そういえばお姉さんの名前って……」
「私? 私はビスカよ。きっとまた会いましょうね」
「はい。今日はありがとうございました」
挨拶を済ませ俺はBARを後にし、部屋へと戻った。
それにしても綺麗な人だったな。The大人という感じで話すだけでもかなり緊張した。会話は他愛のない世間話のようなものだったが、半分以上覚えていない。アルコールのせいだろうか。
そういえば学校の話は迂闊だったかもな。なんで酒飲んでんだって聞かれなかったことが唯一の救いだ。ああいう人はそこら辺も寛容なのだと勝手に納得する。
ビスカさん……か。どっかで聞いたことがある気がするが、今は眠くて何も考えられない。
また……会えるかな。
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