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第三章 王立学校
間接的告白
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「おっす、ただいま」
「おかえりなさい、ご主人様」
「遅かったじゃねぇか……ん、その子は?」
「あー、えっと—――」
「ボクは雷鳴鬼。イスルギと契約した使い魔だよ」
「まぁ、そういうことだ」
「どういうことだよ……」
流石に適当すぎたか。でも別に間違ってはいない。
「簡単に説明するとだな―――」
ひとまず受かってからのくだりを一通り説明した。
「なるほど……それでその子と契約するに至ったと」
「ああ、仲良くしてやってくれ」
「ええ、もちろんです。自己紹介がまだでしたね。わたくしはシャロといいます」
「アタシはティアだ。よろしくな」
「うん、よろしくねぇ」
なんて説明するか考えていなかったが、すんなり事が進んでよかった。
「ところで……シャロとティアは健一の愛人か何かかい?」
「違ぇよ!!」
「えぇぇ、でも君のこの子達に対する気持ちはまさに―――」
「ちょっと黙っててくれる!?」
心が繋がっていることの弊害が早速出た。
「そ、その話詳しく聞いてもいいですか!?」
シャロが雷鳴鬼から出た言葉を聞き逃さず、食いついてくる。
「えーっとねぇ、今健一が考えてることはー」
「待て待て待て! おい、心を読むな!」
厄介。あまりにも厄介だ。と、ここで一つの疑問が浮かぶ。なぜ、雷鳴鬼は俺の中に入っていないのに心が読めるのだろうか。
「それは多分、ついさっきまで君の中にいたからだよ」
俺の脳内の疑問に答える。完全に頭の中を覗かれているらしい。
「親和性が高いって話はさっきしただろう? その副産物だと思っていい」
「つまり、俺はお前を中に入れなくても心が読まれるってことか!?」
「そゆことー。でも、時間経過で段々聞こえなくなってくるみたい。20分くらいかな、もう分からないや」
「まぁまぁ長いじゃねぇか……」
その間は無心にならなきゃいけないな。邪なことを考えでもしたら、きっと馬鹿にされて言いふらされそうだ。
「それで、さっきご主人様がシャロ達のことをどう考えていたか教えてもらってもいいですか?」
「えーと……なんだっけ?」
どうやら雷鳴鬼は記憶力がポンコツらしい。まぁ自分の名前を忘れるくらいだしな。
「あー! 今ボクをバカにしたね!?」
「して……ないぞ?」
おかしい。もう繋がりは途切れているはずなのにどうしてわかる?
「ぼんやりとしてるだけで、大まかな感情はまだ感じ取れるんだからね!」
「な、なんてめんどくさい……」
まさに厄介の擬人化だ。本当は雷鳴鬼なんてのじゃなくて、厄介鬼とかなんじゃないか?
「あ! またバカにしたね!? 怒ったぞ! 君の心を丸裸にしてやる!」
「おい、ちょっ!」
怒りのままに光の粒子となった雷鳴鬼が俺の体に入ってくる。それをどうにか手で追い払おうとするが、そんなこと関係なしに皮膚へ完全に染み込んだ。
『さぁ、健一。二人のことを想像するんだ』
『考えない……俺は何も考えないぞ……』
『ははっ、無駄無駄。無意識までは思い通りにできないからね。ほら、もうわかっちゃった』
『なぁッ!!』
解析はすぐに終わり、雷鳴鬼が表に出てくる。
「わかったよ。健一は———んぐっ!」
「い、言わせねぇぞ」
咄嗟に口を手で覆い、なんとか言葉を遮るのだが、
「———ッ!?」
「いいですよ、ティア。そのまま押さえていてください」
「おいティア! やめてくれ!」
「悪いな、イスルギ。でも、仕方のないことだ」
羽交い締めにされ、身動きが封じられる。じたばたして抜け出そうとするが、ティアの力に手も足も出ず、何をすることもできない。なんでこんなに力が強いんだよ。
「さぁ、雷鳴鬼さん。遠慮なく教えて下さい」
「しゃ、シャロもほら! こういうのって良くないだろ!? 人の心を読んでさ―――」
「いつまでも先延ばしにするご主人様が悪いんですよ」
「うっ!」
的確に俺の痛いところを突いてくる。シャロ達にもはや説得は効かない。ならば、
「雷鳴鬼! さっきのことは謝る! だからよせ!」
「ごめんね、健一。でも、君の後押しをした方が都合がいいんだ」
最後の砦もあっさり陥落した。
「それで、どうでしたか?」
「やめろぉぉぉぉぉ!」
「健一はね、君たちにとんでもないくらいの好意を抱いているよ」
「あぁ……」
自分の恥部を見られたような……いや、それよりも恥ずかしい。なんの罰ゲームなんだ?
「好意って言葉じゃ足らないくらいかな。間違いなく心の底から愛していると言ってもいい」
終わった。爆発しそうなくらい顔が熱い。表には出さなかった思いが次々と他人の口から語られる。
「そして、その裏に隠れているのは尋常じゃない程の独占欲さ。正直ドン引きレベルだよ」
「な……」
俺ですら自覚のなかった裏の部分まで事細かく言ってのける。
俺が……ドン引きレベルの独占欲を……?
「まぁ、ざっとこんな感じかな」
「な、なんてことを……」
本当になんてことしてくれたんだ。このポンコツ厄介鬼は。
それにしても、二人の反応がない。聞いたんなら何かコメントくらいはしてほしいのだが、
「おい、シャロ?」
「……」
黙ったまま微動だにしない。
「てぃ、ティア?」
「い、今こっち向くな!」
「ぐへっ!」
力いっぱい突き飛ばされて地面に激突する。俺が一体何をしたというのだ。聞いたのはそっちじゃないか。
「あ」
「え?」
突き飛ばされた先でシャロと目が合う。途端にいつものシャロからは想像できないくらい顔が真っ赤になった。
「な、なんでそんな……」
「み、見ないでください!」
「がぁっ!」
容赦なく電撃が俺に飛んできて、意識が刈り取られた。
これも全部あいつのせいだ。あのポンコツ厄介鬼め……覚えていやがれ……
薄れゆく意識のなか、俺は確かな恨みを抱いてそのまま気絶した。
「おかえりなさい、ご主人様」
「遅かったじゃねぇか……ん、その子は?」
「あー、えっと—――」
「ボクは雷鳴鬼。イスルギと契約した使い魔だよ」
「まぁ、そういうことだ」
「どういうことだよ……」
流石に適当すぎたか。でも別に間違ってはいない。
「簡単に説明するとだな―――」
ひとまず受かってからのくだりを一通り説明した。
「なるほど……それでその子と契約するに至ったと」
「ああ、仲良くしてやってくれ」
「ええ、もちろんです。自己紹介がまだでしたね。わたくしはシャロといいます」
「アタシはティアだ。よろしくな」
「うん、よろしくねぇ」
なんて説明するか考えていなかったが、すんなり事が進んでよかった。
「ところで……シャロとティアは健一の愛人か何かかい?」
「違ぇよ!!」
「えぇぇ、でも君のこの子達に対する気持ちはまさに―――」
「ちょっと黙っててくれる!?」
心が繋がっていることの弊害が早速出た。
「そ、その話詳しく聞いてもいいですか!?」
シャロが雷鳴鬼から出た言葉を聞き逃さず、食いついてくる。
「えーっとねぇ、今健一が考えてることはー」
「待て待て待て! おい、心を読むな!」
厄介。あまりにも厄介だ。と、ここで一つの疑問が浮かぶ。なぜ、雷鳴鬼は俺の中に入っていないのに心が読めるのだろうか。
「それは多分、ついさっきまで君の中にいたからだよ」
俺の脳内の疑問に答える。完全に頭の中を覗かれているらしい。
「親和性が高いって話はさっきしただろう? その副産物だと思っていい」
「つまり、俺はお前を中に入れなくても心が読まれるってことか!?」
「そゆことー。でも、時間経過で段々聞こえなくなってくるみたい。20分くらいかな、もう分からないや」
「まぁまぁ長いじゃねぇか……」
その間は無心にならなきゃいけないな。邪なことを考えでもしたら、きっと馬鹿にされて言いふらされそうだ。
「それで、さっきご主人様がシャロ達のことをどう考えていたか教えてもらってもいいですか?」
「えーと……なんだっけ?」
どうやら雷鳴鬼は記憶力がポンコツらしい。まぁ自分の名前を忘れるくらいだしな。
「あー! 今ボクをバカにしたね!?」
「して……ないぞ?」
おかしい。もう繋がりは途切れているはずなのにどうしてわかる?
「ぼんやりとしてるだけで、大まかな感情はまだ感じ取れるんだからね!」
「な、なんてめんどくさい……」
まさに厄介の擬人化だ。本当は雷鳴鬼なんてのじゃなくて、厄介鬼とかなんじゃないか?
「あ! またバカにしたね!? 怒ったぞ! 君の心を丸裸にしてやる!」
「おい、ちょっ!」
怒りのままに光の粒子となった雷鳴鬼が俺の体に入ってくる。それをどうにか手で追い払おうとするが、そんなこと関係なしに皮膚へ完全に染み込んだ。
『さぁ、健一。二人のことを想像するんだ』
『考えない……俺は何も考えないぞ……』
『ははっ、無駄無駄。無意識までは思い通りにできないからね。ほら、もうわかっちゃった』
『なぁッ!!』
解析はすぐに終わり、雷鳴鬼が表に出てくる。
「わかったよ。健一は———んぐっ!」
「い、言わせねぇぞ」
咄嗟に口を手で覆い、なんとか言葉を遮るのだが、
「———ッ!?」
「いいですよ、ティア。そのまま押さえていてください」
「おいティア! やめてくれ!」
「悪いな、イスルギ。でも、仕方のないことだ」
羽交い締めにされ、身動きが封じられる。じたばたして抜け出そうとするが、ティアの力に手も足も出ず、何をすることもできない。なんでこんなに力が強いんだよ。
「さぁ、雷鳴鬼さん。遠慮なく教えて下さい」
「しゃ、シャロもほら! こういうのって良くないだろ!? 人の心を読んでさ―――」
「いつまでも先延ばしにするご主人様が悪いんですよ」
「うっ!」
的確に俺の痛いところを突いてくる。シャロ達にもはや説得は効かない。ならば、
「雷鳴鬼! さっきのことは謝る! だからよせ!」
「ごめんね、健一。でも、君の後押しをした方が都合がいいんだ」
最後の砦もあっさり陥落した。
「それで、どうでしたか?」
「やめろぉぉぉぉぉ!」
「健一はね、君たちにとんでもないくらいの好意を抱いているよ」
「あぁ……」
自分の恥部を見られたような……いや、それよりも恥ずかしい。なんの罰ゲームなんだ?
「好意って言葉じゃ足らないくらいかな。間違いなく心の底から愛していると言ってもいい」
終わった。爆発しそうなくらい顔が熱い。表には出さなかった思いが次々と他人の口から語られる。
「そして、その裏に隠れているのは尋常じゃない程の独占欲さ。正直ドン引きレベルだよ」
「な……」
俺ですら自覚のなかった裏の部分まで事細かく言ってのける。
俺が……ドン引きレベルの独占欲を……?
「まぁ、ざっとこんな感じかな」
「な、なんてことを……」
本当になんてことしてくれたんだ。このポンコツ厄介鬼は。
それにしても、二人の反応がない。聞いたんなら何かコメントくらいはしてほしいのだが、
「おい、シャロ?」
「……」
黙ったまま微動だにしない。
「てぃ、ティア?」
「い、今こっち向くな!」
「ぐへっ!」
力いっぱい突き飛ばされて地面に激突する。俺が一体何をしたというのだ。聞いたのはそっちじゃないか。
「あ」
「え?」
突き飛ばされた先でシャロと目が合う。途端にいつものシャロからは想像できないくらい顔が真っ赤になった。
「な、なんでそんな……」
「み、見ないでください!」
「がぁっ!」
容赦なく電撃が俺に飛んできて、意識が刈り取られた。
これも全部あいつのせいだ。あのポンコツ厄介鬼め……覚えていやがれ……
薄れゆく意識のなか、俺は確かな恨みを抱いてそのまま気絶した。
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