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25 粘着する魔導士
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奴は開店と同時に来やがった・・・
来てお茶を注文、ここまではいい、お客様だ・・・
開口一番「私に妖精の秘酒を譲りなさい」
「・・・」
「隠しても無駄よ!フェアリーが住み着いてるのもわかってるんだから」
上から目線で言いやがった・・・何様のつもりだ!?
いや~、殺意を覚えたね・・・かなり本気で・・・
「申し訳ございません、フォーセリア公爵のハインデル様にもお断りさせていただいておりますので」
丁寧に言うが、俺のバックには公爵家が付いてるんだテメーに出すわけねーだろって言っている
「そんな他人の事なんて知らないわ、私が必要だと言ってるの」
俺の方こそお前の事なんて知らんわ・・・
「申し訳ございません、ご要望にはお応えできかねます。」
回りくどい言い方ではなくきっちり断る。
「この世界の為に出しなさい!」
妄想全開だな・・・さて、こんな迷惑な客はどう対処するべきか・・・
「御用件がそれだけでしたらお帰りください、お代は結構ですので」
断られた事に腹を立てたのかムスッとした表情・・・
キレたいのはこっちだ、丁寧語を使ってるうちに帰れ・・・
「世界がどうなってもいいの?」
まだ言ってる・・・
「そもそも秘酒で世界をどうこうできるとも思えませんね」
「私の研究を知って後悔しても知らないわよ!」
「そんなに欲しかったら神酒を持って来い!それと交換ならしてやる!」
そう言って背中を押して追い出す俺だった・・・
追い出された彼女だったが、
ソーマ?神酒って言ったわよね・・・何故知っているの?
まさかエリクサーの研究を?
今日の所は帰って作戦を考えなきゃ・・・
そう呟いてトボトボと歩いて行くのだった。
くそっ悪質な客だ!
「フィリアン!扉の前に塩撒いとけ!」
意味が分からないフィリアンだったが言われた通り塩を撒く・・・
どうやらこっちの世界でこの風習は無いらしい・・・
普段は怒りの感情を表に出さない俺なんだが、久しぶりに湧き上がる怒の感情・・・
まぁ落ち着け・・・俺・・・
俺はショットグラスに例の苦酒を注ぐと一気に飲み干す・・・
意識を持って行かれそうな苦さ・・・それが頭をクリアにしていく、
こんな使い方もあるんだな・・・グラスランドの苦酒は頭を一旦リセットするにはすごく効果があるようだ。
俺は大きく深呼吸するといつものように仕事に戻った。
その日の深夜・・・
俺はまだ店にいた、虫の知らせ?そんなのがあったかはわからないが、古い書物を読むのに没頭していたんだ。
そこには、エリクサーに関する書き込みもある・・・
肉体の全盛期まで戻し、すべての病魔、呪い、怪我を癒す。
バッドステータス全回復+HPMPが完全回復+若返りって事だ。
この作成に至れば不老も夢じゃない・・・そんな薬
素材についても言及されてたが、まぁ~入手不可能なものがわんさかある・・・
古代文明ではそれでも手に入ったのだろうか・・・
解読も楽しく、読み物としては面白かったのだが、現実離れしすぎてて興味を失っていく。
その時・・・窓から視線を感じる
「猫?」
昼間来たあの女が連れていた猫にそっくりだ・・・
寝静まった頃に盗みに入る気だったか?
無駄な事を・・・大事な物はインベントリだ・・・店内にあるものは金さえ出せばいくらでも手に入る・・・
わざわざ見えるように一本の空瓶をインベントリに、あたかも異空間に収納するフリまでして入れ、俺は自室に戻った。
所変わって
猫の目を通して見ていた女魔法使い
「異空間収納!?フェアリーの秘酒はその中に入れてるって事じゃない!」
これをやられたらどんな盗賊でもさすがに盗み出せない・・・
「エリクサーの研究してるからって相談して・・・わかってもらうしか・・・」
あの後考えたら、さすがにあの言い方では誰も協力などしてくれない事に気付く・・・
一般常識があるなら・・・そもそも初対面の人間にあんな言い方はしない・・・
「そういえばソーマと交換ならいいって言ってたわね・・・」
その後自室でソーマ関係の記述を探し始めるのだった。
翌日
俺は・・・と言うと、あの女の事は頭から完全に消えてカクテルを試作中だ
うちの店のお客様は冒険者や衛兵の方々が多くなってきてるので、ガツンと強烈なカクテルを作りたい・・・
・・・とくれば、ウィスキーベースかテキーラベースかウォッカか・・・
お上品なカクテルより男臭いカクテルの方が好まれるだろう・・・
オリジナルに拘る必要は無い、オリジナルの探求をやめる気は無い、こっちのお酒のカクテルも試したいからなぁ。
ふむ・・・ふと思い出したカクテルを作り始める。
テキーラ 40ml
ホワイト・キュラソー 20ml
グレープフルーツ・ジュース 40ml
最後にグレナディン・シロップ をテースプーンで1杯をシェイカーに
氷を入れてシェイカーを振る
小気味良いリズムでシェイカーが降られる。
カシュ、カシュと店内に音が響く。
そして氷を入れたオールド・ファッションド・グラスに注ぐ
【アイスブレーカー】氷を砕くものというカクテルである。
名前的にも中二病を患ってる冒険者には好まれそうだな。
このテキーラって酒は、とにもかくにも柑橘類と相性が格段にいい。
塩を舐め口に直接ライムを絞ってテキーラを呷る、本場ではそんな飲み方が主流らしい。
ちなみに、その飲み方を一つにまとめたカクテルが有名なマルガリータである。
今回はアイスブレイカーだが、あの強烈で清廉なアルコールを主軸に作ったカクテルだ。
男たちにウケない筈が無い!
試しに飲んでくれって勧めてみよう・・・爆発的に伸びるかも・・・
そう思いニヤリと笑う俺だった・・・
泊りがけの依頼をこなし昼間から飲みに来たお客様にサービスで出してみる。
「新作のカクテルなのですが、サービスいたしますので感想を頂けませんか?」
なんて言ってな・・・販促用の試飲サービスだ。
「ん・・・そうか、変な物じゃないよな」と一応疑ってかかるものの、グレープフルーツとアルコールの匂いが気に入ったのか一気に呷る。
「おぉ!こいつはいいな!何て名前だ?」
満面の笑みで聞いてくる冒険者
「アイスブレーカーと名付けました」はい、名付けたのは俺じゃありませんがね・・・、手柄の横取りって言わないで・・・異世界なんだもん!
「いい名前だな、強そうだ」
予想通りウケました。
「お気に召しましたらお知り合いの方々にも勧めてくれたら嬉しいです。」
「おう!任せとけ!」
こんな感じで何人ものお客様に飲ませていった・・・
この日の夜からアイスブレイカーを頼むお客様が増えた。
それだけを頼んで満足して帰っていくお客様・・・
あれ?なんか狙いと違う・・・
どうせならここに腰を据えて飲んでもらいたいってのが本音なんだが・・・
どうも世の中ままならない・・・
客足が増えたのはありがたいなぁ・・・まぁ、それはそのうち増えてくれると願いたい・・・
そんな感じで閑古鳥の合唱は無くなっていった。
猫の監視は続いているのだが・・・
そんなある日、またあの女がご来店だ・・・
「アイスブレーカーを」
ふむ、普通のお客様に戻った感じか・・・
警戒しながらもグラスを出す。
「ごゆっくりどうぞ」
フィリアンにもアイスブレーカーの作り方をレクチャーしていく
こんな極端な売れ方だと、一人で作るのが間に合わなくなる日が来そうだ。
そんなわけでフィリアンが作ったものを何度か試飲しOKを出す。
「うん、もうお客様にお出しして大丈夫だね必ずメジャーカップを使う事!」
そう言うとフィリアンが嬉しそうに笑った・・・。
「エリクサーって知ってるかしら?」
唐突に女が切り出す。
「神代の万能薬の事ですねそれが何か?」
「素材の方はご存じで?」
恐らく、ある程度の素材は知っているのだろう、そのためにフェアリーズネクターが欲しいのだろうと当たりをつける。
「エンシェントドラゴンの心臓とか聞いた覚えがありますね」
言葉を選んで返す、エンシェントドラゴンの心臓を出したのは手に入れようがないと仄めかしているからだ。
「そうね、そしてあなたが持っているフェアリーズネクター」
「素材が全部揃って神酒と交換ならいいですよ」
最初にでっかい釘を刺す。これ以上は交渉に応じないという意思表示。
「そう、わかったわ、ソーマの素材って御存じで?」
「わかりかねます、一度は飲んでみたいのですが・・・」
「ありがとう、美味しかったわ・・・」
そう言って銀貨一枚を置いて帰って行った。
前回のお茶代と迷惑料のつもりか?
それから、彼女は3日と空けずに店に来るようになった・・・
他の物も注文するようになり、初日の件が無かったら非常に素敵なお客様だ。
素材集めの相談には閉口するが・・・
ドラゴン倒すなら勇者でも連れていけ・・・そうか!勇者がいるじゃん!
「まぁ、どうしてもと仰るのでしたら、この店で待ってれば勇者達が来ますよ、相談されたらいかがです?」
「ホントに!?お願いしてみるわ」
一転して明るい表情になる・・・
俺への矛先が変わってくれることを祈ろう・・・
夕食を食べに来た勇者達に前のめりで話しかけていた女魔導士だった・・・
そして、なにやら意気投合してる・・・
劇物を掛け合わせたか?そんな気がしなくも無いが、勇者達との話は続いて行った
俺はこの件に関してはノータッチを決め込む事にする。
ドラゴン討伐なんてどう考えても冒険者を引退した俺には関係ない!
ハンティ、フィリアンと洗い物を済ませ裏側の閉店準備に入る。
一応店内はお客様がいるからな・・・
結果だけ聞くと、エンシェントドラゴンの探索は元々していたから引き受けたらしい
ドラゴンの素材で武具を作りたいのとドラゴンが集めたお宝で稼ぎたいから・・・
戦うとなったら後方からの支援火力が欲しいって俺を見てるが華麗にスルーを決め込む
エリクサー自体にも興味があったのか、素材集めにも手を貸すことになったらしい。
蓬莱山に生える桔梗の花の蜜とか意味わからん・・・
蓬莱山ってどこだよ・・・天界か?死んで来いって事か?
ツッコミ所しかなかったが他人の夢を否定はすまい、黙して語らずが正解だ。
お土産は期待してるって事と、気を付けて行ってくれと伝えて今日は閉店となった・・・
来てお茶を注文、ここまではいい、お客様だ・・・
開口一番「私に妖精の秘酒を譲りなさい」
「・・・」
「隠しても無駄よ!フェアリーが住み着いてるのもわかってるんだから」
上から目線で言いやがった・・・何様のつもりだ!?
いや~、殺意を覚えたね・・・かなり本気で・・・
「申し訳ございません、フォーセリア公爵のハインデル様にもお断りさせていただいておりますので」
丁寧に言うが、俺のバックには公爵家が付いてるんだテメーに出すわけねーだろって言っている
「そんな他人の事なんて知らないわ、私が必要だと言ってるの」
俺の方こそお前の事なんて知らんわ・・・
「申し訳ございません、ご要望にはお応えできかねます。」
回りくどい言い方ではなくきっちり断る。
「この世界の為に出しなさい!」
妄想全開だな・・・さて、こんな迷惑な客はどう対処するべきか・・・
「御用件がそれだけでしたらお帰りください、お代は結構ですので」
断られた事に腹を立てたのかムスッとした表情・・・
キレたいのはこっちだ、丁寧語を使ってるうちに帰れ・・・
「世界がどうなってもいいの?」
まだ言ってる・・・
「そもそも秘酒で世界をどうこうできるとも思えませんね」
「私の研究を知って後悔しても知らないわよ!」
「そんなに欲しかったら神酒を持って来い!それと交換ならしてやる!」
そう言って背中を押して追い出す俺だった・・・
追い出された彼女だったが、
ソーマ?神酒って言ったわよね・・・何故知っているの?
まさかエリクサーの研究を?
今日の所は帰って作戦を考えなきゃ・・・
そう呟いてトボトボと歩いて行くのだった。
くそっ悪質な客だ!
「フィリアン!扉の前に塩撒いとけ!」
意味が分からないフィリアンだったが言われた通り塩を撒く・・・
どうやらこっちの世界でこの風習は無いらしい・・・
普段は怒りの感情を表に出さない俺なんだが、久しぶりに湧き上がる怒の感情・・・
まぁ落ち着け・・・俺・・・
俺はショットグラスに例の苦酒を注ぐと一気に飲み干す・・・
意識を持って行かれそうな苦さ・・・それが頭をクリアにしていく、
こんな使い方もあるんだな・・・グラスランドの苦酒は頭を一旦リセットするにはすごく効果があるようだ。
俺は大きく深呼吸するといつものように仕事に戻った。
その日の深夜・・・
俺はまだ店にいた、虫の知らせ?そんなのがあったかはわからないが、古い書物を読むのに没頭していたんだ。
そこには、エリクサーに関する書き込みもある・・・
肉体の全盛期まで戻し、すべての病魔、呪い、怪我を癒す。
バッドステータス全回復+HPMPが完全回復+若返りって事だ。
この作成に至れば不老も夢じゃない・・・そんな薬
素材についても言及されてたが、まぁ~入手不可能なものがわんさかある・・・
古代文明ではそれでも手に入ったのだろうか・・・
解読も楽しく、読み物としては面白かったのだが、現実離れしすぎてて興味を失っていく。
その時・・・窓から視線を感じる
「猫?」
昼間来たあの女が連れていた猫にそっくりだ・・・
寝静まった頃に盗みに入る気だったか?
無駄な事を・・・大事な物はインベントリだ・・・店内にあるものは金さえ出せばいくらでも手に入る・・・
わざわざ見えるように一本の空瓶をインベントリに、あたかも異空間に収納するフリまでして入れ、俺は自室に戻った。
所変わって
猫の目を通して見ていた女魔法使い
「異空間収納!?フェアリーの秘酒はその中に入れてるって事じゃない!」
これをやられたらどんな盗賊でもさすがに盗み出せない・・・
「エリクサーの研究してるからって相談して・・・わかってもらうしか・・・」
あの後考えたら、さすがにあの言い方では誰も協力などしてくれない事に気付く・・・
一般常識があるなら・・・そもそも初対面の人間にあんな言い方はしない・・・
「そういえばソーマと交換ならいいって言ってたわね・・・」
その後自室でソーマ関係の記述を探し始めるのだった。
翌日
俺は・・・と言うと、あの女の事は頭から完全に消えてカクテルを試作中だ
うちの店のお客様は冒険者や衛兵の方々が多くなってきてるので、ガツンと強烈なカクテルを作りたい・・・
・・・とくれば、ウィスキーベースかテキーラベースかウォッカか・・・
お上品なカクテルより男臭いカクテルの方が好まれるだろう・・・
オリジナルに拘る必要は無い、オリジナルの探求をやめる気は無い、こっちのお酒のカクテルも試したいからなぁ。
ふむ・・・ふと思い出したカクテルを作り始める。
テキーラ 40ml
ホワイト・キュラソー 20ml
グレープフルーツ・ジュース 40ml
最後にグレナディン・シロップ をテースプーンで1杯をシェイカーに
氷を入れてシェイカーを振る
小気味良いリズムでシェイカーが降られる。
カシュ、カシュと店内に音が響く。
そして氷を入れたオールド・ファッションド・グラスに注ぐ
【アイスブレーカー】氷を砕くものというカクテルである。
名前的にも中二病を患ってる冒険者には好まれそうだな。
このテキーラって酒は、とにもかくにも柑橘類と相性が格段にいい。
塩を舐め口に直接ライムを絞ってテキーラを呷る、本場ではそんな飲み方が主流らしい。
ちなみに、その飲み方を一つにまとめたカクテルが有名なマルガリータである。
今回はアイスブレイカーだが、あの強烈で清廉なアルコールを主軸に作ったカクテルだ。
男たちにウケない筈が無い!
試しに飲んでくれって勧めてみよう・・・爆発的に伸びるかも・・・
そう思いニヤリと笑う俺だった・・・
泊りがけの依頼をこなし昼間から飲みに来たお客様にサービスで出してみる。
「新作のカクテルなのですが、サービスいたしますので感想を頂けませんか?」
なんて言ってな・・・販促用の試飲サービスだ。
「ん・・・そうか、変な物じゃないよな」と一応疑ってかかるものの、グレープフルーツとアルコールの匂いが気に入ったのか一気に呷る。
「おぉ!こいつはいいな!何て名前だ?」
満面の笑みで聞いてくる冒険者
「アイスブレーカーと名付けました」はい、名付けたのは俺じゃありませんがね・・・、手柄の横取りって言わないで・・・異世界なんだもん!
「いい名前だな、強そうだ」
予想通りウケました。
「お気に召しましたらお知り合いの方々にも勧めてくれたら嬉しいです。」
「おう!任せとけ!」
こんな感じで何人ものお客様に飲ませていった・・・
この日の夜からアイスブレイカーを頼むお客様が増えた。
それだけを頼んで満足して帰っていくお客様・・・
あれ?なんか狙いと違う・・・
どうせならここに腰を据えて飲んでもらいたいってのが本音なんだが・・・
どうも世の中ままならない・・・
客足が増えたのはありがたいなぁ・・・まぁ、それはそのうち増えてくれると願いたい・・・
そんな感じで閑古鳥の合唱は無くなっていった。
猫の監視は続いているのだが・・・
そんなある日、またあの女がご来店だ・・・
「アイスブレーカーを」
ふむ、普通のお客様に戻った感じか・・・
警戒しながらもグラスを出す。
「ごゆっくりどうぞ」
フィリアンにもアイスブレーカーの作り方をレクチャーしていく
こんな極端な売れ方だと、一人で作るのが間に合わなくなる日が来そうだ。
そんなわけでフィリアンが作ったものを何度か試飲しOKを出す。
「うん、もうお客様にお出しして大丈夫だね必ずメジャーカップを使う事!」
そう言うとフィリアンが嬉しそうに笑った・・・。
「エリクサーって知ってるかしら?」
唐突に女が切り出す。
「神代の万能薬の事ですねそれが何か?」
「素材の方はご存じで?」
恐らく、ある程度の素材は知っているのだろう、そのためにフェアリーズネクターが欲しいのだろうと当たりをつける。
「エンシェントドラゴンの心臓とか聞いた覚えがありますね」
言葉を選んで返す、エンシェントドラゴンの心臓を出したのは手に入れようがないと仄めかしているからだ。
「そうね、そしてあなたが持っているフェアリーズネクター」
「素材が全部揃って神酒と交換ならいいですよ」
最初にでっかい釘を刺す。これ以上は交渉に応じないという意思表示。
「そう、わかったわ、ソーマの素材って御存じで?」
「わかりかねます、一度は飲んでみたいのですが・・・」
「ありがとう、美味しかったわ・・・」
そう言って銀貨一枚を置いて帰って行った。
前回のお茶代と迷惑料のつもりか?
それから、彼女は3日と空けずに店に来るようになった・・・
他の物も注文するようになり、初日の件が無かったら非常に素敵なお客様だ。
素材集めの相談には閉口するが・・・
ドラゴン倒すなら勇者でも連れていけ・・・そうか!勇者がいるじゃん!
「まぁ、どうしてもと仰るのでしたら、この店で待ってれば勇者達が来ますよ、相談されたらいかがです?」
「ホントに!?お願いしてみるわ」
一転して明るい表情になる・・・
俺への矛先が変わってくれることを祈ろう・・・
夕食を食べに来た勇者達に前のめりで話しかけていた女魔導士だった・・・
そして、なにやら意気投合してる・・・
劇物を掛け合わせたか?そんな気がしなくも無いが、勇者達との話は続いて行った
俺はこの件に関してはノータッチを決め込む事にする。
ドラゴン討伐なんてどう考えても冒険者を引退した俺には関係ない!
ハンティ、フィリアンと洗い物を済ませ裏側の閉店準備に入る。
一応店内はお客様がいるからな・・・
結果だけ聞くと、エンシェントドラゴンの探索は元々していたから引き受けたらしい
ドラゴンの素材で武具を作りたいのとドラゴンが集めたお宝で稼ぎたいから・・・
戦うとなったら後方からの支援火力が欲しいって俺を見てるが華麗にスルーを決め込む
エリクサー自体にも興味があったのか、素材集めにも手を貸すことになったらしい。
蓬莱山に生える桔梗の花の蜜とか意味わからん・・・
蓬莱山ってどこだよ・・・天界か?死んで来いって事か?
ツッコミ所しかなかったが他人の夢を否定はすまい、黙して語らずが正解だ。
お土産は期待してるって事と、気を付けて行ってくれと伝えて今日は閉店となった・・・
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