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blue.32
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頭の上に奏くんの拳がこつんと触れる。
「こんなの、挨拶だろ」
な、な、な、…
「何するのっ、海外帰り―――っ!!」
急速に現実に立ち返って、恥ずかしさのあまり目の前の奏くんを握りしめた手で叩こうとすると、
「いいじゃん、初めてじゃないし」
さらっと笑ってかわされた。
か、…っ
「彼女が一億人いる奏くんと一緒にしないでっ」
恥ずかしいやら悔しいやら。
握りしめた拳を振り回しながら奏くんを追いかけると、
「…お前は俺を何だと思ってんの」
簡単にかわしながら、最終的に勢い余って突っ込んだ私を受け止めて、
「乗れ」
なんだか大きくてしっかりした赤いものを私の顎の下まですっぽりとかぶせた。
なにこれ。ヘルメット?
そのまま奏くんに手をつかまれて、マンション前に停められた大きなバイクに有無を言わせず乗せられた。
いや―――っ、怖い―――っ
「ちゃんとつかまってろよ」
言われなくても全力で前に座る奏くんにしがみついた。
耳元で風がうなる。
夜の中を光のように切り裂いて走る。
暗い海の上を飛んでいるみたいに。
雲を引き連れて天上を目指すみたいに。
あの夏の青い鳥になったみたいに。
奏くんは軽やかにバイクを操った。
『バイク。気をつけてね』
ふいに璃乙くんの声が脳裏をかすめた。
「き、…気をつけてねっ」
前に座る奏くんに声をかけると、
「バーカ」
奏くんの楽しそうな笑い声が聞こえた。
「お前乗せてるのに危ない真似するわけないだろ」
高速の風に吹かれて、涙がすっかり乾いた。
澱んで積もった重たい気持ちがちぎれて飛んで行った。
「こんなの、挨拶だろ」
な、な、な、…
「何するのっ、海外帰り―――っ!!」
急速に現実に立ち返って、恥ずかしさのあまり目の前の奏くんを握りしめた手で叩こうとすると、
「いいじゃん、初めてじゃないし」
さらっと笑ってかわされた。
か、…っ
「彼女が一億人いる奏くんと一緒にしないでっ」
恥ずかしいやら悔しいやら。
握りしめた拳を振り回しながら奏くんを追いかけると、
「…お前は俺を何だと思ってんの」
簡単にかわしながら、最終的に勢い余って突っ込んだ私を受け止めて、
「乗れ」
なんだか大きくてしっかりした赤いものを私の顎の下まですっぽりとかぶせた。
なにこれ。ヘルメット?
そのまま奏くんに手をつかまれて、マンション前に停められた大きなバイクに有無を言わせず乗せられた。
いや―――っ、怖い―――っ
「ちゃんとつかまってろよ」
言われなくても全力で前に座る奏くんにしがみついた。
耳元で風がうなる。
夜の中を光のように切り裂いて走る。
暗い海の上を飛んでいるみたいに。
雲を引き連れて天上を目指すみたいに。
あの夏の青い鳥になったみたいに。
奏くんは軽やかにバイクを操った。
『バイク。気をつけてね』
ふいに璃乙くんの声が脳裏をかすめた。
「き、…気をつけてねっ」
前に座る奏くんに声をかけると、
「バーカ」
奏くんの楽しそうな笑い声が聞こえた。
「お前乗せてるのに危ない真似するわけないだろ」
高速の風に吹かれて、涙がすっかり乾いた。
澱んで積もった重たい気持ちがちぎれて飛んで行った。
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