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急に加藤さんがものすごく機敏な動きを見せて、沙織さんの指ごとシュークリームに食いついた。
「な、なにするのよ、加藤さん」
「子どもじゃないんですからね、あーんじゃないでしょ」
「いいじゃないですか、休憩時間なんだから」
「休憩時間でも仕事で来てるんですからね、慎みを持ってもらわないと困ります」
「融通が利きませんね、だからモテないんですよ?」
「僕がモテないのは沙織さんに関係ないでしょ」
加藤さんと沙織さんが妙な言い合いを繰り広げてしまった。
おろおろしている私と違って、柚くんは少し楽しそうに、
「はい、あおい」
私の口の前にいちごタルトを差し出した。
な、…!?
「あーん」
柚くんがその綺麗な瞳を無邪気に輝かせて、期待を込めて私を見るから、
乙女あおいが浮き浮きと大口を開けてしまう。
いちごを口いっぱいに押し込まれて、…
ぎゃー、今、勢いで柚くんの指まで舐めなかった!?
パニックでタルトをのどに詰まらせかけている私を見ながら、柚くんが楽しそうに自分の指についたクリームをその桜色の舌で舐めた。
う、わぁ……
一瞬にして、顔面が噴火した。
え、なに、殺す気!?
「プライベートでも来たいね?」
無邪気な顔して甘い掠れ声で爆弾を落とすから、
ごっくん。
いちごタルトが甘過ぎて死んだ。
「藤倉くん、藤倉グループと関係あるの? 私、来週、監査でグループ会社に行くわよ」
気を取り直したらしい沙織さんが、颯爽とヒールを鳴らして柚くんの隣を歩く。
お昼休憩が終わりまして、会社に戻るところですが、地に足がついていません。
「僕は行かないけどね」
加藤さんのぶつぶつも全く気になりません。
頭の中はいちご一色。
もはやいちごが舞を舞っている。
「はい。父が代表を務めている会社です」
「そうなの!? じゃあいずれはそっちを継ぐの?」
「それは、…わかりません」
「へえぇ~、そうなんだ。じゃあ、何かあったら言ってね。いつでも力になるわよ」
「ありがとうございます」
いちご頭が、前方から聞こえてくる会話をぼんやり反芻した。
…父が代表を務めている会社。
『…あいつ、なんで藤倉姓なんだろうな』
桐生さんのつぶやきがプレイバックされた。
「な、なにするのよ、加藤さん」
「子どもじゃないんですからね、あーんじゃないでしょ」
「いいじゃないですか、休憩時間なんだから」
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「僕がモテないのは沙織さんに関係ないでしょ」
加藤さんと沙織さんが妙な言い合いを繰り広げてしまった。
おろおろしている私と違って、柚くんは少し楽しそうに、
「はい、あおい」
私の口の前にいちごタルトを差し出した。
な、…!?
「あーん」
柚くんがその綺麗な瞳を無邪気に輝かせて、期待を込めて私を見るから、
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いちごを口いっぱいに押し込まれて、…
ぎゃー、今、勢いで柚くんの指まで舐めなかった!?
パニックでタルトをのどに詰まらせかけている私を見ながら、柚くんが楽しそうに自分の指についたクリームをその桜色の舌で舐めた。
う、わぁ……
一瞬にして、顔面が噴火した。
え、なに、殺す気!?
「プライベートでも来たいね?」
無邪気な顔して甘い掠れ声で爆弾を落とすから、
ごっくん。
いちごタルトが甘過ぎて死んだ。
「藤倉くん、藤倉グループと関係あるの? 私、来週、監査でグループ会社に行くわよ」
気を取り直したらしい沙織さんが、颯爽とヒールを鳴らして柚くんの隣を歩く。
お昼休憩が終わりまして、会社に戻るところですが、地に足がついていません。
「僕は行かないけどね」
加藤さんのぶつぶつも全く気になりません。
頭の中はいちご一色。
もはやいちごが舞を舞っている。
「はい。父が代表を務めている会社です」
「そうなの!? じゃあいずれはそっちを継ぐの?」
「それは、…わかりません」
「へえぇ~、そうなんだ。じゃあ、何かあったら言ってね。いつでも力になるわよ」
「ありがとうございます」
いちご頭が、前方から聞こえてくる会話をぼんやり反芻した。
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