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衝撃の事実にたどり着いていたら、頭の上をこつんと軽く小突かれた。

「…今日」

柚くんが頭を斜めに傾けて、上から私を見降ろしている。

「俺んち来る?」

柚くんち、…って。

どっくん。
心臓が、ひときわ大きな音を立てた。

ー澄んだ綺麗な瞳が危険な甘さをはらんで揺らめく。ー
『あの時より、ちゃんと抱いてやるよ?』

ってこと―――!?

なんか急に、この前柚くんが抱きしめてくれた時の匂いとか体温とか鼓動とか腕の強さとかが、リアルによみがえって身体中の血管が沸いた。

柚くんの長い指が頬に触れた感触とか。
柔らかい髪が額をくすぐった感じとか。
泣きたいくらい優しく触れてくれたこととか。

で、で、で、…
でも。
本当は。

私だって柚くんを独り占めしたい。
柚くんの全部、私のだって言いたい。

ここは! セカンドとしての腕の見せどころでは?
いやでも待てよ。見せる腕がどこかにあったか?

経験値は結局のところ柚くんとのあの夜だけだし。
美雨さんより勝ってるのは無駄に寄る年波だけだし。

え、私、柚くんをものすごくがっかりさせてしまうんじゃ。
というか、今度こそ本気で捨てられるんじゃ、…

見上げると、なんだか柚くんがすごく優しい顔をしていた。

胸の奥がぎゅっとつかまれて、息が出来なくなる。

柚くん。大好き。

それしかないけど。
他には何にもないけど。
柚くんなら、何をあげてもいい…

「…はい」

頷くと、柚くんは優しく笑ってもう一度私の頭を軽く小突いた。

「あおい、帰ろうか」
「もお、ダーリン出来過ぎっ!」

フロアに戻ると、清水さんにまとわりつかれながら桐生さんが待っていた。

あ、…
そういえば今朝別れ際、「帰り迎えに行く」って言われたような。

え、ちょっと待って。
この状況、私最低じゃないですかね。
1回死んで来いっていうくらい最低なんじゃ、…

「あ、あの、桐生さん。実はですね、今日、私、見せ腕で、セカンドで、…」

せめてちゃんと説明をしなければ、と焦って話し始めると、

「俺んち来るんで」

柚くんが一言で簡潔に終わらせてしまった。

「わお、まさかの新展開」
「清水さん、黙って」
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