セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

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「顧客情報の一部が流出したようだ」

それから間もなくして、私と課長は上階の役員室に呼ばれた。
見覚えのある重厚な革張りのソファ。
身に覚えのある社長、副社長、専務ら上役に囲まれて座らされる感じ。

「操作IDは、0182593:Aoi Tachibana。つまり、コンピュータの記録によれば橘さんが何らかの方法で社内の機密情報にアクセスし、社外に流出させたことになるわけだが」

社長の声は聞こえるけれど、内容が理解できない。

会議室で制御不能になったパソコンが機密情報を流出させたと大騒ぎになっていた。
全く身に覚えがなくて、何をどう答えればいいのかもわからない。

「あのぅ、社長。うちの課の藤倉がですね、実はコンピュータに長けてまして、ちょっと見てもらっては、…」

重苦しい沈黙を破ったのは私の隣に座る課長だった。が、

「藤倉くんは広報の方でハワイに飛んでもらっている。もう空港に着く頃だろう」

専務の声が冷たく響いた。

「結婚式の打ち合わせもするとか言ってませんでした?」
「ああ、そうでしたね」
「話題性のあるニュースですから、うちのPRにもなりますね」

…外堀を埋める。

知らないうちに周りに味方がいなくなり、どうしようもなく追い詰められていく。

「デジタルタトゥって言うんですよね。不本意ながら流出してしまった情報は消せない。顧客の信用は簡単には取り戻せないでしょう」

社長の声が暗く響いた。

「前常務の横領に、不審人物の侵入、機密データの流出。このところの不祥事続きで、会社としてセキュリティの甘さを痛感しています。専門家への協力依頼と大胆な人事の刷新が必要かもしれません。私たちの進退も当然追及されるでしょう」

社長の言葉に上役たちもそろってうなだれる。
課長もかわいそうなくらい小さくなっている。

「…やってません」

急に、自分の中で何かがプツンと切れた。

「内部犯行じゃないって証明します。少しだけ、時間をください」

私だって本当は。
何でもいいから柚くんの役に立ちたくて。
いつだって柚くんには笑っていてほしい。
自分の全てを捨てても柚くんを守りたい。

「お願いします」

立ち上がって上役に頭を下げると、隣で課長も立ち上がり、

「お、お願いします」

一緒に頭を下げてくれた。

「格好良かったよ、橘くん。上役たちへの毅然とした態度」

肩の荷が下りたような笑顔の課長が後をついてくる。

「3日の猶予をもらえて良かったねぇ。…で、どうやって証明するの?」

…それな。

なんかもう、ものすごく頭にきて、啖呵を切ったわけですが。
取り立てて秀でたところの何にもない私に、柚くんが相手にしているような有能な人たちの相手ができるでしょうか。いや、出来ない。(反語)

ってそうでなく。
やるしかない!
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