無気力魔王子レオン、最上級の魂【レベル9】を宿す平凡貧乏女子高生を護る

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03.草村アカリ、生卵のつぶてを受ける②

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「豹に噛み痕付けるなんて許せな~いっ‼」

 谷口カナがどこまでも可愛らしさを重視した怒りのポーズを見せ、つかつかと近寄ってきたかと思うと、

 ガッ‼

「おい、カナっ‼」

 真田のふざけた蹴りとは比べ物にならない強烈な一撃が顔面に飛んできて、アカリの視界が一瞬霞んだ。
 普通のローファーは当たりが鋭く、イタリア製の高級素材とは出来が違うらしい。

「女の子を蹴るなっ」

 ……いや、お前がな。

「草村アカリをいじめていいのは俺だけだ」

 ……いつ誰が許可した。

 突っ込みどころ満載な真田がアカリの頭を抱え上げる。

「ごめんなさい、豹。カナ、……豹のために、って……」

 谷口カナが大きな瞳に涙をいっぱいに溜め、真田にしなだれかかりながら上目遣いで見つめる。
 重そうなまつげをバチバチ揺らして、地味に、膝でアカリの顔を踏んでいる。

「……いいからお前、先に教室戻ってろ」
「うんっ、放課後の新作フラペチーノ、カナがおごるねっ」

 これ見よがしに真田の頬にピンク色のやたらプルプルした唇を押し当てて、カナが取り巻きと共に去っていった。
 谷口カナ。絶対泣いてない。さりげに人のこと膝蹴りしてったし。

「ヤマっ、タケっ‼ 水持って来い、水っ」

「あ。……はいっ‼」

 ヤマトとタケル。真田の取り巻き2人が慌てふためいて飛んでいく。

 ……水?

 よく分からないけど、気が済んだなら離してほしい。
 真田の膝の上から頭を起こそうとすると、

「バカ、動くな」

 上から真田に押さえつけられた。

「痕が残ったらどうすんだ」

 ……痕?

 真田を見上げると、男のくせに無駄に整った顔が見下ろしてきた。
 きめ細かい肌。整った鼻筋。長いまつ毛にパッチリ二重。

 真田には傷痕どころか、染み一つ、皺一つ見当たらない。

 真田豹は同じ小学校で、同じ中学校で、なぜか今年、同じ高校に合格した。
 そういえば、筋金入りの金持ちのくせに私立学校に通っていない。
 何かポリシーがあるのか、ただの気まぐれなのか、金持ちの考えはよく分からない。

「……痕が残ったらさ」

 真田がアカリの頭を撫でる。
 大きな手。長い指。滑らかな指先。
 真田の長いまつ毛に縁どられた黒目がちの瞳が揺れ、整った顔が痛々しく歪んでいる。

「俺が責任、……」

 ザバ―――

 真田が何か言いかけたところで、頭上から真水が降ってきた。
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