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16.コブタのヒョウくん、魔神と蜘蛛妖怪を倒す①
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俺が俺の姿で俺を見ている。
真田豹は混乱を極めていた。
東都第九高等学校の制服を着て、それなりにイケている髪型で、金持ち加減を隠し切れない真田豹、十六歳。
鏡でしか見たことのない自分が、自分の前に立って自分を見ている。
驚きに満ちた表情で。
「ブヒ、……」
おい。と言ったつもりが、耳に届いたのはブタの鳴き声だった。
「ブヒ――――っ‼」
信じられない。俺が。金持ちイケメンを誇る天下無敵のこの俺が。
ブタになってる―――っ⁉
「モモ? ……大丈夫?」
草村アカリが心配そうに顔を近づけて、豹の頭を撫でる。
「ブヒ――――っ‼」
近けえよ。
アカリに頭を撫でられるとか、なんだこの美味しいポジションは。
いやが上にも鼻息が荒くなる。
「……なるほど。封じ魔の指輪か」
豹の姿をした誰かが、目を細めて豹の喉奥辺りをじっと見つめる。
そこには豹の気持ちを全て詰め込んでアカリに捧げた婚約指輪が虚しくはまり込んでいた。
これはもう。どう考えても。俺とブタが入れ替わったってことなんだろう。
豹はアカリの胸ポケットに収まっていて、なんなら薄手のブラウスを通して柔らかな胸の温もりを感じるわけで、
触れそうなほど近くにアカリの潤った唇もあるわけで……
……もしかしたら、アリ、かも。
意外と簡単に自らの境遇を受け入れて、あわよくばこの色ボケ小ブタに乗じて、昼間果たせなかったあの艶やかな唇にちょっとくらい触れても許されるんじゃ……
などと考えていた豹は、豹の姿をした誰かに、後ろ首を摘ままれて持ち上げられた。
「……吐き出せ」
なんか。俺(のカッコした奴)、……怖い。
豹は背筋が凍るのを感じた。豹の姿をしている誰かは、只者ではない。と直感が告げる。
ぞっとするほど冷たい声。目的のためなら手段を択ばない。他を圧倒する絶対的な力を持っている。
誰だ、こいつ。何者なんだ。
と思いかけて、昼間、学校の講堂で見た光景が脳裏によみがえった。
光に包まれた魔神のような男が現れたかと思うと、一瞬にして弾けるように消え、その後、アカリのポケットが光の残像を吸い込んで微かに動いた。
アカリのポケットの中には、ミニブタがいた。
つまり。
俺が成り代わってしまったミニブタは、あの魔神(推定)の仮の姿ってことか。
で。
目の前にいる俺(のカッコした奴)は、あの魔神(確定)ってことか。
制服姿の豹の格好をした魔神がニヤリと非情そうな笑みを浮かべて、
「分かったら、さっさとしろ」
豹の鼻面に顔を近づけた。
俺って、至近距離で見ても意外とイケてるんじゃね?
などと思っている余裕はなく。
……こいつ。俺の考え読んでる。
鳥肌が立った。
「ブ、……ブヒっ、ブヒブヒっ‼」
人間離れした禍々しき力を肌で感じて、とりあえず喉奥にはまっている指輪をせき込んで出そうとしている、というポーズをとってみると、
「……だる。本気出せ」
魔神が、強引に豹の喉奥に手を突っ込んだ。
「ブヒウエウブ――――っっ‼」
ブタの本能が生命の危険を感じて悲鳴を上げると、
「何するのっ、真田‼」
ものすごい勢いで、アカリが魔神から豹を奪い取ってその柔らかい胸に抱きしめた。
「ブヒっ、……ブヒ、ブヒ……っ」
死ぬかと思っただろ、このクソ魔神っ
「大丈夫だよ、モモ。真田の好きにはさせないからね」
アカリは豹を抱きしめたまま優しく優しく撫でてくれる。
けれど、意外と存在感のある胸の弾力が気になり過ぎて集中できない。
クソ。散れ煩悩……
豹が微妙な状況に翻弄されつつも、これはこれでアリ、と流されかけていたところ、
「キ、いやあぁああ―――――っ」
アカリが豹を強く胸に抱えたまま悲鳴を上げた。
エロ魔神っ‼ 何かしやがったのかと、アカリの腕の中でもがいて周囲に目を向けると、
「ブ、……ヒ⁉」
豹はまた、自分の目を疑う光景を目の当たりにした。
特撮映画かと思うほど現実離れした、巨大な蜘蛛のような異様な怪物が気味の悪い脚の一つで後ろからアカリを羽交い絞めにしている。
うお。なんか、また変なの出てきた―――っ
真田豹は混乱を極めていた。
東都第九高等学校の制服を着て、それなりにイケている髪型で、金持ち加減を隠し切れない真田豹、十六歳。
鏡でしか見たことのない自分が、自分の前に立って自分を見ている。
驚きに満ちた表情で。
「ブヒ、……」
おい。と言ったつもりが、耳に届いたのはブタの鳴き声だった。
「ブヒ――――っ‼」
信じられない。俺が。金持ちイケメンを誇る天下無敵のこの俺が。
ブタになってる―――っ⁉
「モモ? ……大丈夫?」
草村アカリが心配そうに顔を近づけて、豹の頭を撫でる。
「ブヒ――――っ‼」
近けえよ。
アカリに頭を撫でられるとか、なんだこの美味しいポジションは。
いやが上にも鼻息が荒くなる。
「……なるほど。封じ魔の指輪か」
豹の姿をした誰かが、目を細めて豹の喉奥辺りをじっと見つめる。
そこには豹の気持ちを全て詰め込んでアカリに捧げた婚約指輪が虚しくはまり込んでいた。
これはもう。どう考えても。俺とブタが入れ替わったってことなんだろう。
豹はアカリの胸ポケットに収まっていて、なんなら薄手のブラウスを通して柔らかな胸の温もりを感じるわけで、
触れそうなほど近くにアカリの潤った唇もあるわけで……
……もしかしたら、アリ、かも。
意外と簡単に自らの境遇を受け入れて、あわよくばこの色ボケ小ブタに乗じて、昼間果たせなかったあの艶やかな唇にちょっとくらい触れても許されるんじゃ……
などと考えていた豹は、豹の姿をした誰かに、後ろ首を摘ままれて持ち上げられた。
「……吐き出せ」
なんか。俺(のカッコした奴)、……怖い。
豹は背筋が凍るのを感じた。豹の姿をしている誰かは、只者ではない。と直感が告げる。
ぞっとするほど冷たい声。目的のためなら手段を択ばない。他を圧倒する絶対的な力を持っている。
誰だ、こいつ。何者なんだ。
と思いかけて、昼間、学校の講堂で見た光景が脳裏によみがえった。
光に包まれた魔神のような男が現れたかと思うと、一瞬にして弾けるように消え、その後、アカリのポケットが光の残像を吸い込んで微かに動いた。
アカリのポケットの中には、ミニブタがいた。
つまり。
俺が成り代わってしまったミニブタは、あの魔神(推定)の仮の姿ってことか。
で。
目の前にいる俺(のカッコした奴)は、あの魔神(確定)ってことか。
制服姿の豹の格好をした魔神がニヤリと非情そうな笑みを浮かべて、
「分かったら、さっさとしろ」
豹の鼻面に顔を近づけた。
俺って、至近距離で見ても意外とイケてるんじゃね?
などと思っている余裕はなく。
……こいつ。俺の考え読んでる。
鳥肌が立った。
「ブ、……ブヒっ、ブヒブヒっ‼」
人間離れした禍々しき力を肌で感じて、とりあえず喉奥にはまっている指輪をせき込んで出そうとしている、というポーズをとってみると、
「……だる。本気出せ」
魔神が、強引に豹の喉奥に手を突っ込んだ。
「ブヒウエウブ――――っっ‼」
ブタの本能が生命の危険を感じて悲鳴を上げると、
「何するのっ、真田‼」
ものすごい勢いで、アカリが魔神から豹を奪い取ってその柔らかい胸に抱きしめた。
「ブヒっ、……ブヒ、ブヒ……っ」
死ぬかと思っただろ、このクソ魔神っ
「大丈夫だよ、モモ。真田の好きにはさせないからね」
アカリは豹を抱きしめたまま優しく優しく撫でてくれる。
けれど、意外と存在感のある胸の弾力が気になり過ぎて集中できない。
クソ。散れ煩悩……
豹が微妙な状況に翻弄されつつも、これはこれでアリ、と流されかけていたところ、
「キ、いやあぁああ―――――っ」
アカリが豹を強く胸に抱えたまま悲鳴を上げた。
エロ魔神っ‼ 何かしやがったのかと、アカリの腕の中でもがいて周囲に目を向けると、
「ブ、……ヒ⁉」
豹はまた、自分の目を疑う光景を目の当たりにした。
特撮映画かと思うほど現実離れした、巨大な蜘蛛のような異様な怪物が気味の悪い脚の一つで後ろからアカリを羽交い絞めにしている。
うお。なんか、また変なの出てきた―――っ
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