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Ⅴ章.橙色のスキル【複製】
08.三人のドラン③パリピドラン 後編
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アクアたちがゆらゆらと見守る中、パリピドランが豪快に回ったり飛び跳ねたりアクロバティックな動きを見せる。ノリノリで頭を床につけて回転してみせたり、足を上げたまま止まってみせたりしている。
さっきまでステップを踏むのに苦労していたルオには、それがどれだけすごい技であるかよく分かった。
陽気で能天気なだけだと思ってたけど、パリピドランにはこんな才能があったんだな。
ルオは心から感心して、拍手と声援を送った。
「ヒュー―――――!!」
パリピドランが締めのポーズを決めると、どこからか拍手喝采が起き、指笛が鳴った。なかなか見ごたえのあるダンスだった。ホールに興奮が残る中、アクアたちがびしっと整列する。
「え、……」
アクアたちは前後左右、一糸乱れずきれいにそろった団体パフォーマンスを見せた。
振り回す触手の角度、顔の向き、歩幅まで、何もかもがぴったりとそろっている。音楽に合わせて止まったり回ったり揺れたりするのに、数十名のアクアたちがほんの少しもズレないのだ。
「すごい、……」
それはそれで、圧巻のパフォーマンスだった。
ルオはアクアたちのダンスを見ていて、奇妙な感じがした。ダンスするアクアたちを見ていると、踊るアクアたちの触手が、時折ビニールやプラスチックに変わっていくように見えるのだ。しまいには普通のクラゲに人間が廃棄したごみがまとわりついている状態に思えてきた。
泣き虫ドランと言った花畑でもアクアたちからごみが連想された。
「もしかして、アクアは人間が廃棄したごみから生まれたのか?」
という疑念がルオに芽生えた時、音楽が鳴りやんで、スポットライトがルオを照らした。
「ネクストチャレンジャー、ルオ!」
パリピドランの陽気な声が聞こえる。
ええー、オレも踊るの!?
思考をいったん放棄して、ルオは覚えたばかりのステップを踏んでみる。
ワンツースリー、ワンツースリー、……
ちょっとちょっと。さっきとリズムが違うじゃんよ。
焦ったルオは足がもつれてさっそく派手に転がった。
カッコわりー。
消沈するルオの前に小さなトカゲの手が差し出される。パリピドランだ。
「一緒にやろうゼ、ルオ!」
ルオがドランの手を取ると、ワンツースリーワンツースリー、ドランは巧みな動きでルオを先導した。ダイナミックな動きで身体の小ささを補って余りある。イマイチリズムに合っていないような気もしたが、ルオは楽しくなってきた。
「チュッチュッチュー、チュッチュッチュ―!」
ルオの頭の上に乗ったチューリッピも楽しそうに踊っている。
そうか。上手いか下手かよりも。楽しいか楽しくないかなんだ。
今ならルオは運動会のダンス練習を楽しめる自信があった。
人生、楽しんだもん勝ちって本当だな。
ルオはドランと手を取り合って踊り、チューリッピは頭の上で踊り、周りを囲んでいるアクアたちも踊る。足の向くまま、気の向くまま。勢いに乗って踊り踊っているとだんだん目が回ってきた。自分が回っているのか、世界が回っているのか。意識が朦朧として、大きな渦に飲み込まれ、ぐるりぐるりと回り回り、巡り巡った。そうして気がつくと、……
「お帰り、ルオ―――ぅ」
「ご無事で何よりでござる」
また振り出しの大広間に戻ってきていた。
ええ―――、なんで――――?
さっきまでステップを踏むのに苦労していたルオには、それがどれだけすごい技であるかよく分かった。
陽気で能天気なだけだと思ってたけど、パリピドランにはこんな才能があったんだな。
ルオは心から感心して、拍手と声援を送った。
「ヒュー―――――!!」
パリピドランが締めのポーズを決めると、どこからか拍手喝采が起き、指笛が鳴った。なかなか見ごたえのあるダンスだった。ホールに興奮が残る中、アクアたちがびしっと整列する。
「え、……」
アクアたちは前後左右、一糸乱れずきれいにそろった団体パフォーマンスを見せた。
振り回す触手の角度、顔の向き、歩幅まで、何もかもがぴったりとそろっている。音楽に合わせて止まったり回ったり揺れたりするのに、数十名のアクアたちがほんの少しもズレないのだ。
「すごい、……」
それはそれで、圧巻のパフォーマンスだった。
ルオはアクアたちのダンスを見ていて、奇妙な感じがした。ダンスするアクアたちを見ていると、踊るアクアたちの触手が、時折ビニールやプラスチックに変わっていくように見えるのだ。しまいには普通のクラゲに人間が廃棄したごみがまとわりついている状態に思えてきた。
泣き虫ドランと言った花畑でもアクアたちからごみが連想された。
「もしかして、アクアは人間が廃棄したごみから生まれたのか?」
という疑念がルオに芽生えた時、音楽が鳴りやんで、スポットライトがルオを照らした。
「ネクストチャレンジャー、ルオ!」
パリピドランの陽気な声が聞こえる。
ええー、オレも踊るの!?
思考をいったん放棄して、ルオは覚えたばかりのステップを踏んでみる。
ワンツースリー、ワンツースリー、……
ちょっとちょっと。さっきとリズムが違うじゃんよ。
焦ったルオは足がもつれてさっそく派手に転がった。
カッコわりー。
消沈するルオの前に小さなトカゲの手が差し出される。パリピドランだ。
「一緒にやろうゼ、ルオ!」
ルオがドランの手を取ると、ワンツースリーワンツースリー、ドランは巧みな動きでルオを先導した。ダイナミックな動きで身体の小ささを補って余りある。イマイチリズムに合っていないような気もしたが、ルオは楽しくなってきた。
「チュッチュッチュー、チュッチュッチュ―!」
ルオの頭の上に乗ったチューリッピも楽しそうに踊っている。
そうか。上手いか下手かよりも。楽しいか楽しくないかなんだ。
今ならルオは運動会のダンス練習を楽しめる自信があった。
人生、楽しんだもん勝ちって本当だな。
ルオはドランと手を取り合って踊り、チューリッピは頭の上で踊り、周りを囲んでいるアクアたちも踊る。足の向くまま、気の向くまま。勢いに乗って踊り踊っているとだんだん目が回ってきた。自分が回っているのか、世界が回っているのか。意識が朦朧として、大きな渦に飲み込まれ、ぐるりぐるりと回り回り、巡り巡った。そうして気がつくと、……
「お帰り、ルオ―――ぅ」
「ご無事で何よりでござる」
また振り出しの大広間に戻ってきていた。
ええ―――、なんで――――?
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