最強剣士異世界で無双する

序章 第3章 夏休み

第22話 学年末試験 2

　シェリーの合図で模擬戦が始められた。

　最初に攻撃を仕掛けてきたのはヒョウカだった。手に持っていた槍で真正面から俺に向かった突きを放ってくる。それを右にかわすと同時にヒョウカに攻撃を仕掛けた。だが、その攻撃をさっき俺に向かって攻撃を仕掛けた槍を一瞬で自分の元へと戻して防いできた。

「凄いね。ケンイチ君は。」

「なにがすごいんだよ。」

　俺はヒョウカと、剣と槍を交えながら言葉を交わした。

「だって、さっきお姉ちゃんと模擬戦をしたばかりなのにもかかわらず疲れを見せずに私とこうして戦ってるんだもん。」

「そんなこと俺にとってはなんでもないさ。」

「やっぱり凄いよ。」

　ヒョウカはそれだけ言うと、後ろへと下がり俺との距離を取った。俺は、ヒョウカが体勢を整える前に攻撃を仕掛けたが、崩れた体制のまま攻撃を仕掛けてきた。俺は攻撃をやめて槍を剣ではじきもう一度ヒョウカに向かっていく。ヒョウカは俺の攻撃に備えて、防御を固めていた。それを見て、真正面から行くのではなく、ヒョウカの左側面に自身の最高スピードで移動して攻撃を与えた。それと同時にシェリーからの試合終了の合図がされた。

「負けちゃった。最後ケンイチ君何したの？」

「少しスピードを上げてヒョウカの左側に移動しただけだよ。」

　俺が言うと、ヒョウカは笑いながら、

「やっぱりケンイチ君は凄いよ。」

　ヒョウカの言葉を聞いた後、2人を自分のところへと集めて模擬戦での反省会を始めた。

「まずシェリーだけど、魔法の威力は高いけど、フェイントとかがなくて直接相手を狙う魔法ばかりだから簡単に攻撃が読めてしまう。だから、攻撃をするときに直接相手を狙うのではなく、近接戦を得意とする相手なら、足元を狙ったりして動きを止めるの一つの戦略だと思うよ。」

「それもそうね。参考にさせてもらうわ。」

　もう少し突っかかってくるものかと思ったが意外と素直に俺の意見を受け止めてくれた。

「あともう一つ。得意な魔法に頼るだけでなく他の魔法も使ってみることで戦略の幅はかなり広がるよ。」

　シェリーはそれに対して何も言わずに軽くうなずくだけだった。

「次にヒョウカだけど、確かに槍の扱はすごくうまいと思うよ。攻撃からの防御への切り替えは凄く軽やかだった。でも。最後の攻防の時、防御に意識を集中せずに攻撃を仕掛けてきていたら俺も危なかったと思うよ。」

「分かった。次からはもう少し攻撃に意識を集中してみるよ。」

　ヒョウカも俺の意見を素直に受け入れてくれた。

　それからさっきの反省点を踏まえても一度2人と模擬戦を行った。反省会前とは違い、シェリーは先の俺の意見をそのまま戦闘に生かして俺に一撃を与えることに成功した。ヒョウカもさっきよりも攻撃が鋭くなっていた。ヒョウカは負けてしまったもののもう少しで俺に一撃与えられるところまで来ていた。

　それから、最後にもう一度反省会をして後、寮へと戻り夕食を食べた後、自分の部屋へと戻り寝てしまった。







　それから3日が経ち学期末試験当日を迎えた。

　学院の鐘が鳴り教室に先生が入ってくると、テスト用紙を配りだした。それが配り終わり簡単に注意事項の説明がされた後、テスト開始となった。

　筆記試験は授業を真面目に受けていれば簡単に解ける問題ばかりだった。周りを見ると頭を悩ませている生徒もいるようだが、ほとんどの生徒は余裕ぽかった。

　試験が終わると、

「ケンイチ、テストどうだったのよ？」

「俺は、余裕だったよ。シェリーは？」

　俺がシェリーに聞くと、

「当然余裕に決まってるでしょ。」

　かなり自信満々に言ってきた。すると、

「私も余裕だった。」

　ヒョウカが俺とシェリーとの間に入って言ってきた。3人とも筆記試験は余裕に出来たみたいだ。

「後は、明日の模擬試験を残すのみね。私、絶対に負けないからね。」

「俺だって!!」

「私も。」

　俺達3人は、お互いに気合を入れあった。

　それから、教室の黒板に明日の模擬試験の組み合わせ表が張り出された。俺達はそれを見て寮へと戻っていった。

　俺達3人は寮へと戻り自分の部屋へに入るまで一言も言葉を交わさなかった。

　最後に、

「また明日。」（ケンイチ・シェリー・ヒョウカ）

　俺達3人はそれだけ言って自分の部屋へと戻っていき明日の模擬試験を迎えるのだった。