両手で抱えきれないほどの愛を君に

まつぼっくり

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6 お風呂

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 ところ変わって今はお風呂。

 あの後、3人で部屋で朝食を食べた。
 父上が僕のお世話係だった大好きなロザンナを呼んでくれた。ロザンナは父様より年上のふっくらした女性で穏やかで優しくて。父様が忙しい時はいつもロザンナが僕の面倒を見てくれていた。

「ユイリナ様っ!ご立派になられてっ」

 ポロポロと涙を溢れさせながらぎゅうぎゅう抱き締められて頬擦りされる。ロザンナはいつも柔らかくて石鹸の香りがするのだ。

 朝食は僕の好きだった料理長のパンケーキだった。食が細かった僕の事を考えて作ってくれたこのパンケーキは僕の好物の1つで料理長からも、おかえりと言われているようで笑顔で食べきった。
 食事を終えて兄様に会いに行くと言うと先にお風呂を勧められる。
 確かに少し埃っぽいし何より泣きすぎて顔がかぺかぺだ。

 部屋にもお風呂はあるけれど大きいお風呂に入りたくてロザンナに連れられてこのお風呂に来たのだ。

 そして僕は脱衣場で待ち構えていたメイドさんとロザンナにひとりで入れるという事を訴えていた。

 僕はもう四歳の子供ではない。人生の大半を日本で過ごしているのだからひとりで入るのに慣れている。そう言っても聞いてくれなくて。

「溺れてしまったら…」

 僕の成長が幼い頃に止まっているロザンナが顔を歪ませて言うとメイドさんも真剣な顔で頷いている。僕がどうしたものか、と考えを巡らせていると昨日ぶりのカルの声。

「何かあったのか?」

 ロザンナが一通り説明をする。

「ここは俺がついているから良い。それよりもあの頃のままになっているユイリナの部屋を模様替えしたら喜ぶんじゃないか?」

 そう言われたロザンナたちはハッとした顔をすると目をキラキラさせて一礼し、脱衣場を出ていった。

 二人と入れ替わりにカルが入ってきて不思議に思う。

「おはよう、カル。部屋はどんな部屋でも良いけど、お風呂はひとりで入りたかったんだ。ロザンナたち引いてくれないから助かっちゃった。ありがと。」

 ボタンに指を掛けながら言う。

「あぁ。おはよ。昨日は親父とリオネルと遅くまで酒を飲んでいてそのまま寝てしまったのだが…起きてお前が帰ってきたのは夢だったのかと不安になって探していたんだ。」

 ふっと笑って、頭にチュッと音を立ててキスをすると何故か服を脱ぎ出すカル。

「カルもお風呂入るの?じゃあ僕はカルの後でいいよ。先どうぞ。」

「は?何でそうなる?一緒に入るぞ。早く脱げ。」

「え?…え?一人で入れるよ!」

「…溺れたらどうすんだ。」

 ひとりで入りたいからロザンナと戦っていたんだよ。十六にもなって溺れるわけがない。
 恨めしそうにカルを見ると黙々と服を脱いでいくカルの裸体に釘付けになる。
 綺麗に引き締まった全体的に筋肉質な体。腹筋も綺麗に割れているし腕なんて僕の太ももくらいある気がする。それに足の間にぶら下がっているモノが凄く大きい。同じ男として理想的な体型をすぐ近くで見て、自分の体を見て小さくため息を吐いた。
 そんな僕を見てふわり笑うと「早く来いよ」と先に行ってしまった。

 日に焼けない真っ白な肌と筋肉が付きにくく、鍛えても薄い体。身長もこちらだと子供サイズだし色々と負けた気分になる。

 比べても落ち込むだけなので諦めてパパっと脱いでカルの後を追った。



 扉を開けると湯気が立ち込めている。
 ちょうどカルはお湯で泡を流しているところで、目線で呼ばれて素直に向かう。
 この世界の石鹸はそれ専用に栽培されている植物の樹液みたいなもので香油などで香りづけなど加工されており、お風呂全体がとても良い香りで包まれていて肩の力が抜けた。
 カルの前にある椅子に促されてそこに座ると丁寧に髪を濡らして髪の毛用の石鹸で頭を洗われる。洗い終わるとお湯で流してくれて今度は体用の石鹸を手に取り泡立てて背中を洗ってくれる。大きな手で小さな背中を優しく上下に撫でられて思わず笑ってしまう。

「ふふっ。カルくすぐったいよ。」

 カルはクスクス笑う僕を眩しいものを見る様な顔で見ると背中を撫でながらうなじに軽く吸い付く。ちゅっ、ちゅっと音を立てて首や耳の後ろを吸われるたびにピクリと小さく肩が跳ねる。

「んんっ、ね、もうだめ。くすぐったい。」

「十二年だ。ガキの頃から本気で惚れてた四つのお前が消えてから。それからずっと待っていた。」

 真剣な顔に笑えなくなる。後ろからぎゅうっと抱き締められた。

「ガキだったけど本気で好きだったんだ。お前が消えてからも、ずっと。今は同じ気持ちじゃなくても良い。だが、悪いが離してやる気もないからな?」

 最後に、「覚悟しとけ。」と耳元で囁かれて耳にもキス。
 腰にきて、ぞくぞくとして、思わず両手で顔を覆った。

「ずるいぃ。」

 ははっと爽やかに笑って、途端にニヤリと悪い笑み。

 立ち上がってしまったそこを見て思わず目を背けるが自分が赤面しているのがわかるほど顔が熱い。
 カルが意地悪な顔をして鈴口に指の腹を当ててクリクリと動かすとクチュクチュと音がして羞恥を誘う。

「やあっ、さわらないでっ」

 キスしたまま耳に沿わされている舌が離れて、その音にまた体がびくりと大きく跳ねる。ほっと息を吐いたのも一瞬で顎を掴まれて振り向かされて互いの唇が重なって離れた。

「好きだ。」

「…だからずるいって。」

「可愛いすぎるだろって。」

 昨日からドキドキがとまらない。それに…僕は健全な十六歳男子…とは正直言えないのだけれど。えっちなことをされて兆してしまったり、好きと言われたら気になってしまうのは普通なのではないか。
 そう開き直って、もう一度、と近づいてきた唇を瞳を閉じて受け入れた。

 歯列をなぞられるような口の中を全て味わおうとするような激しいキスにのぼせて頭がぼーっとすると咎めるように陰茎を数回しごかれる。

「ッひゃあっ、んんっ、も、むりぃっ!」

 体が反転させられカルが床に膝をついたのが見えた。 

「っ、うそっ、やだやだ!汚いよ!」

 鈴口から垂れる先走りをちろちろと舐めたかと思うと根元から先まで一気にしゃぶり上げ、ぐちゅっじゅぼっと卑猥な音がした。

「うっ、ああっ、ッお願いっ!離してっ!あぁっ」
 我慢できなくて力の入らない両手でカルの頭を押しやるも離す気の全くないカルの口の中にそのまま欲を吐き出した。



 初めて感じる強い快感に息が吸えなくてハッハッという短い呼吸になってしまう。

 逆上せたようなままカルの方へ目を向けると熱のこもった目と視線が交わった。
 ゴクリという音と男らしい喉仏の動き
 そして視線が交わったまま赤い舌でペロリと口の端を舐めたのをみた瞬間頭が真っ白になった。
 泣きたくなんてないのにじわじわと涙が溢れてくる。

 羞恥心と驚きと説明できない感情が頭の中でぐちゃぐちゃになって完全にキャパオーバーだ。

 そして何よりびっくりしたことはカルに触られてキスされて口淫されて射精したこと。

 元々性に淡白な自覚がある僕は自慰もほとんどした事がなく、朝、生理現象で勃起したときになかなか戻らないときなどに義務的に射精していた程度だ。

 男性はもちろん女性にも興味はなかったし自分はずっとこのままだと思っていた。
 それなのに僕は間違いなくカルに欲情した。
 体の反応に心が着いていけずにポロポロと涙がこぼれてしまう。
 口を開けば声に出して泣いてしまいそうで下を向いて唇を噛み締めた。

「…悪い。優しくしてやりたいのに抑えがきかなかった。怖かったか?」

 カルがそっと頬を撫でながら聞いてくるのに首を振ることしかできない。
 優しい顔つきのカルに抱き上げられてさっと体を流されて大きな湯船にそのまま入る。

「お前が本気で嫌がる事はしないから安心しろ。…でも嫌がらない事は遠慮しないからな。」

 そう言われて僕はまた下を向くが位置的にカルの胸に顔を預ける形になる。先程あんなことをされて羞恥心でいっぱいなのだがカルに抱き締められると安心して、それでいてドキドキしてしまう。

「さっきの嫌だったか?」

 耳元で話しかけられて先程の耳への愛撫を思い出す。

「んっ…僕の、出したの、飲んだのがいやだった。
 」
 恥ずかしくて自然と声が小さくなる。

「飲んだのだけが嫌?その他はいいのか?」

 カルは僕の髪や耳に触れながら少し意地悪な声できいてくる。

「僕あんまり恋愛感情とかわからなくて…でもカルにされるのは恥ずかしいしちょっと嫌だけど、ドキドキして胸がじわって熱くなって頭の中、何も考えられなくなっちゃって…」

 僕は自分でも整理しきれてない気持ちを正直に言う。

「カルにキスされたり触られたりすると心臓が壊れそうなほどドキドキして気持ち良くなって頭が真っ白になるよ。」

 そこまで言うとカルは大きく息を吐きながら僕の肩に顔を埋めた。

「あーもう。無理矢理はしないって決めてるのに無理やり押し倒したくなる。お前可愛すぎる。」

 ほっぺたにキスをされてそのまま温くなったお湯の中で抱き締め合った。



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