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番外編
ご挨拶しました
しおりを挟むなぜ、つがいになったご報告なのに抱き上げられて翼ハグなのか。いや、心臓ばくばくだから嬉しいけど。嬉しいけどここは駄目でしょう。僕は小さな声でジズを呼びながら胸元の服をくいと引っ張る。
「ジズジズジズ、ご挨拶しないと。息子さんを僕にくださいってしないと。」
よしよしと背中をポンポン。そう言うんじゃなくて…!ご挨拶…!
「ジズぅ…降ろしてよぉ。ちゃんと練習したし大丈夫だよ。しっかり言えるよ?ねぇ、怒ってるの?」
そう、ちょっと不機嫌ジズさん。何かさ、鎧が沢山並んでてさ、格好良いしぴかぴかだしでちょっと触っちゃったんだよね…だって気になるじゃない?股のところとかどうなってるのかなって。あ、流石に触ったのは腕の部分とかだよ?でもさ、まさか微動だにしない鎧が、人が中に入ってる護衛さんだとは思わないよ…!常識とかしらないし…!本当に動かなかったもの!
「ねぇ、腕だけだし、もう触らないよ?機嫌直してよ。」
「リューにではなく、触られて喜んでいる者に腹が立っているんです。でれでれとだらしない。」
「鎧着てるんだからそんなのわからないよ!?」
「いえ、私にはわかります。リューに触れられて喜ばない奴などいません。」
「そんなの普通にいるよ!?」
ご挨拶しようよおおお…!僕は謁見の間まで連れてこられたにも関わらず翼ハグから出てこないだめなつがいだと思われたくはない。ジズの伴侶だとちゃんと認めてもらいたい。
そっとジズの翼を掻き分けて、顔を出す。
「ヒイッ…!」
目の前に…!目の前に顔が…!
「…私のつがいを怖がらせるのは止めて貰えますか。」
「いやかっわいーなぁと。怖くないぞー。」
なでなでと頭を撫でるその手は暖かくて優しいけれど、いかんせん手が大きくて頭がぐわんぐわんとする。あぁ、ジズは母親似なんだなぁ…隊長は王さまに似てます…
「ごごごごごごあいさつをっ…!」
「俺らは耳が良いからジズとの会話全部聞こえてたから大丈夫だぞ?」
「気軽に触れないで頂けますか。」
べしりと払い除けて一歩下がるジズ。
「ふふふふふ不敬罪…!」
相手は王さま…!
「本日は一国の王としてではなく、一人の父親として話を聞くとの事なので何をしても大丈夫ですよ。」
私を心配してくれるだなんて…愛おしい…と王さまたちの前でほっぺすりすりないつも通りのジズ。そういうのは今は良いんだって…!
「ああああの…!ツチヤリュートです…!ジズを幸せにするので…!息子さんを僕にくだひゃっ…さいっっ!」
「どうぞー。これからよろしくねー。」
ぺこりをお辞儀。大事なところで噛んだけど、抱っこされてるところがもう格好つかないから大丈夫。ってか王さま返事軽い。にこにこ可愛い王さま…あれ、王さま可愛いな。可愛い王さまは奥さん沢山なんだよね…?え、すご…どっち?王さまどっち?ってか耳が良いって言ってたけど、その頭に乗ってるのはうさ耳だよね…?えええ、なにそれおいしい。うさぎ攻めとか…おいしい。
落ちついて周りを見渡せばにこにこにこにここちらを見つめる沢山の瞳にびっくり…!みんなにこにこ…!あれ、隊長ぽい人いる…?うぅ…人多い。
「…失礼しました。」
そっと掛け分けた翼を直してむぎゅり。ふぅ、もう帰って良いかな?くださいして、いいよって言われたから良いかな。
「では、紹介も済みましたしこれで。」
「いやいやいや!待てよ!」
隊長?本当に隊長なの?アイ君はいないの?アイ君絶対あっちでうるうるガルガルして待ってるよ…切ない…引き離されたつがいの漫画描こ。隊長はいつアイ君と付き合うの?あんなに尽くしてくれる大型わんこ彼氏いないよ?ごはんの配膳もマッサージも完璧でしょ?何で落ちないかなぁ、この人は。
「おいリュート!メシ食おうぜ!」
「ごはんたべます。」
ちょっぴり掻き分けて顔を出す。あ、めっちゃ見られてる。研究者っぽい人に見られてる…第4王子だ…魔術師塔の第4王子…相手は?相手どこ?僕の中では最終的にペアの騎士さまになったんだけど、どこ?あ、あの壁際の人?あの人もイケメンだなぁ。え、第3王子?ギリギリスペアでやさぐれてるの?なにそれ美味しすぎない?第2王子は時期国王を支える為に国外留学中…ふむふむ。帰って来た第2王子とくっついて、二人で支えてあげれば良いんじやない?王子×王子…良いよね!腹違いだし、半分血が繋がってるけど男同士だし、跡継ぎ問題もあるしさ…!やっぱ変に王位継承権があるとさ、仲違いもあるかもしれないし。うん。
よし、あのやさぐれ第3王子には王族近親相姦もののを差し上げよう…貰ってくれるかな…うーん…ジズ経由で行こうか。ん?ジズ…ジズは跡継ぎいらないの?
「ジズ…」
「どうしました?」
「赤ちゃんいらないの?」
「出来れば…」
王さまみたいに一夫多妻ってこと?こっちじゃありがち?無理…むりかも…ジズが他の、しかも女性とかむり。あ、やばい。涙出そう…だってつがいなのに。
「リュー?また話の途中で妄想してます?」
「ううう…」
「出来れば、欲しくありません。死ぬまでリューと二人が良いです。」
「うわ、重…」
「煩いです。」
隊長からの重いとのツッコミ。
「ほんと?」
「えぇ。本当です。貴方が居れば何もいりません。」
「良かったぁ。僕、赤ちゃん産めないしホッとした…仲良く過ごそうね。」
「はい。何時までも。」
『お父さん、お母さん、兄嫁ちゃん、おにいへ。異世界転移して半年、カラスの獣人さんとつがいになって、王族の方にご挨拶に行ってきました。(王子さまだったの)少し噛んじゃったけど、息子さんを僕にくださいって出来たよ。つがいの見ていないところでこっそり、息子をお願いしますって頭を下げられた。つがいのご家族に会って、親が子を思う気持ちを知りました。今まで育ててくれてありがとう。引きこもって心配ばかりかけてたよね。僕は可愛いもぐらとしてこっちで生きていくから、ちゃんと幸せだから、あんまり心配しないでね。昔も今もこれからもみんなの事がだいすきだよ。 竜斗』
いつ届くかわからないから、毎回同じような文章になってしまう。だってだいすきや心配しないでやありがとうは絶対言いたい。
今回は第4王子が逆召喚の研究をしたいとの事で、お手紙を託す。
いつか、届くと良いなぁ。
「竜斗、おやすみなさい。」
「おやすみぃ。今日も幸せでした。ありがとう。」
「ふふ、きっと明日も幸せですよ。」
おでこにキス。心がぽかぽか。
僕はきっとずっと幸せだから、もう心配しないでね。
だいすきだよ!
明日はどんなお手紙書こうかな。
おしまい
_________________
以下他サイトの後書きに書いたものになります
お手紙届いた時の竜斗の家族
兄視点でちょびっと
「竜斗から手紙が届きました」
通知音がなって、メッセージアプリの家族のグループを開けば数ヶ月に一度届く手紙が届いたとの報告。このグループには以前いたはずの弟はいない。何故なら異世界へと転移したから。こんな話誰が信じる?最初はそう思った。でも、空っぽの地下の部屋も、妄想しながらバタバタする音も、漫画を読んで聞こえて来る奇声も何もないから…俺たちはそのどこからともなく現れる手紙の内容を信じるしかなかった。
毎度書かれている大好きの言葉に泣きたくなる。引きこもり初期は無理矢理外に出した事もあった。担いで車に乗せて遊園地や水族館。家族と出掛けるのは出来ていたのに、そのうち学校だけじゃなくて完全に家から出なくなった弟に、もっと優しくしてやれば良かった。あいつの為にもっと出来る事があったんじゃなかったか。そうしたら、異世界になんて行かなかったんじゃないか。皆同じ事を思うだろう。それでも手紙に綴られる幸せそうな文章は、この地下にいたら絶対に書けなかっただろうから。
引きこもっていたらつがいには出会えなかっただろうから。
俺も返事を書こう。どうしたら届くかはわからないけど、竜斗が幸せで嬉しいと書こう。
お前こそ俺たちの心配ばかりしてないで、自分の事だけ考えろと、心優しい弟に伝えよう。
本当に可愛い弟なんだ。
だから、幸せにしてくれないと許さない。
弟を好きになってくれてありがとう。
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