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第二部 ―青空かすむ怠惰の魔女―
ep.26 蜂、鯨、人喰い草―― まるで悪夢の組み合わせ
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そうこう話している間にも、マニーが手際よく鍵を開けた。
ゆっくりと、丸太のゲートが開く。礼治は足元へと目を向けた。
「となれば、この先で静止させるべき『対象』はかなり広範囲になりそうだな… なら」
そういって、自分の所へ寄り集まっているラビット達の頭を撫でる。
すると、ラビット達が喜んだのか、耳の中からどんどん青いオーブが沢山出てきた。それらを礼治が手で掬い上げるように触れ続けていると、
「「え…!?」」
サリイシュがその後の光景に驚く。
それもそのはず。礼治の左米神、首筋、手首、腕と、全身いたるところからタトゥーが浮かび上がってきたからだ。仕組みを知らずに見た側からすれば、ちょっと不気味かも。
「これでよし、と。ソースラビット達から出ているマナを取り込み、魔力を補える事がこれで分かった。大丈夫、このタトゥーは魔法を使えば使うほど元の状態に沈まるよ」
「「ホッ」」
そう安堵の反応を頂いたところで、礼治が立ち上がる前に再度、ソースラビット達の顔を見た。彼らは人型以外の中でも珍しく、表情が豊かで、ニコニコと笑っている。
そのうちの1匹の頭を撫で、こう呟いた。
「それにしても… 不思議な生き物だな」
「うん。耳からマナが出ているんだ、不思議に思えても無理はない」
「それもそうなのだが… なんて言うんだ? この世界にきて、初めて会うはずなのに、どこか懐かしい感じがするというか」
「懐かしい?」
「2人ともやっほー」
と、ここで僕のお出まし。傍から見れば、突然のムードぶち壊し(?)。
全員そちらへ振り向くと、実は僕の他にヘルも連れてきているのだが…
「アキラ。ケガは大丈夫なのか?」
「うん。ヘル達が作る薬のお陰で、この通り、ほぼ全ての手当てが済んだよ」
といい、先の激戦で火傷を負っていた部位を見せる僕。今ではその影もないくらい、キレイに治してもらったものだ。やっぱお医者さんって凄い。
「ヘルはどうしてここに?」
続けて、僕の隣にいるヘルへと質問した。
余談だが、僕達が暗黒城へ出陣している間、彼はこの世界の薬学や食生活について調べていたところである。
「これからその先の、例の食虫植物がいる場所へ行くときいて、少し気になったんだ。彼らが通せんぼをしている先に、どんな生き物や植物が生えているんだろうってな」
と、ヘル。マニーが肩をすくめた。
「それなら、実際その場へ行った際に俺が知っているものが見つかれば、説明は出来るかもしれない。ただ、その前がとにかく厄介なんだ。礼治さんの力を抜きにすれば、どんなに高い上空から攻めようと、奴らはあの手この手で攻撃してくる」
「なるほど。だから、これから現地で黒焔の葉脈を地面に伸ばしていき、彼らの動きを根こそぎ止めながら前に進む、と」
ヘルが顎をしゃくりながら言うと、マニーと礼治が揃って静かに頷いた。
僕は、ある問題点に気づいたものだ。
「でも、そうなると礼治さん以外は前へ進めないんじゃ? 自分達まで足止め食らうぞ」
「ん? そこは、地に足を付けなければいいだけの事では? 空を飛んで、2人の後を付いていくとか。俺だったらそうするけどな」
と、ヘルがいう。
そういえば、ヘルと若葉も一応は空を飛べるんだったか…
「て、ちょっと待てい!! そんな簡単にいうけどヘル、少しは言われる側の気持ちにもなってくれよ! 自分は空を飛べるからってさぁ!?」
「え? あっ…! そうか。セリナはまだ」
「ムッカァ!」
これだから飛行マウント腹立つわぁ!
こちとら、まだそこまでの力を取り戻してないんだよ泣くぞ! とまでは口に出さずとも、その意味を理解したサリイシュも気まずそうに苦笑いをする始末。
すると、マニーがふと空の色を見た。
「ところで、もうすぐラビット達の食事の時間だな。2人とも、今日はご苦労さん」
「え? あ、ホントだ! もう空の色が」
「早いな。それじゃあ、僕達はこの辺で」
そういって、ソースラビット達を連れてこの場を去っていくサリイシュ。
というわけで今、この森には僕達男4人だけという、むさ苦しい光景ができてしまった。
「よし。子供達も去った事だし、これでまた『私達もいきたーい!』なんて言われなくて済む。アキラ、ヘル。俺に考えがあるんだ」
「「?」」
と、急に何か思いついたのだろう笑みを浮かべ、僕達を見据えているが… マニュエル?
もしかして、さっきのごはんタイムを口に出したのは、その為の!? まぁ詭弁《べん》とまではいかないんだろうけど、本当ならさっきのソレはちょっと狡くないかいお父さん!?
にしても一体、僕達に何を提案するのだろう?
これには1人取り残されている礼治も、さっきからマニーの話があまりにも長いからか、チラチラとゲートの奥へ目を向けたりと、少し落ち着きがなかった。
――――――――――
「アキラ。俺が指示を出すから、そしたら左方向にクジラをよろしく!」
「なるほど。虹色蝶の大群で彼らより大きく見せて、ヘイトを集める作戦か」
ヘルがそう納得した様子で、マニーと同じく頑丈な縄を持ちながら、空を飛んでいる。
黒い羽根の翼と、モルフォ蝶の翼。そんな男2人がともに縄を括っている先、僕は心を無にした状態でぶら下がっていた。
どういう事かというと、例えるならスカイダイビングでパラシュートを開いたのに、途中で木に引っかかってしまい、宙ぶらりんになって動けなくなっているアレと一緒。
今の僕は、胴体をたくさんの紐と安全ベルトで固定され、宙に浮かばされている状態なのだ。ズボンの上にでっかいオムツみたいなの履かされてるし、メチャクチャ恥ずいのだが。
その間、マニーとヘルの会話はこうだ。
「デコイは1体でもいけるけど、2体もいれば彼らは完全にそっちへ気を取られ、礼治さんがいる所に見向きする者はいない。遠くにまで首が伸びる奴が相手だから、念には念をだ」
「なるほど。それだけ、なんとしても植物を“倒す”のだけは避けたいんだな?」
「まぁね。ここからはあくまで俺の推測だけど、きっと彼らがあれだけ通せんぼに必死なのは、俺が降りた場所とは別に、その奥に触れてほしくない『領域』があるからだと思う」
「…あぁ。俺もそんな気がする。あ! あそこが動いた!!」
早速、ヘルの視線の数十m先から、何かがモゾモゾと浮上しはじめた。
そいつは次の瞬間、地面から飛び上がるようにバーン! と轟音を鳴らし、風の様な声(音?)を上げたのだ。僕達の気配に気づき、目を覚ましたのである。
「アキラ!」
「うん!」
~♪
僕はマニーの指示通り、すぐに虹色蝶の大群を遠隔で生み出した。
それらを1つの集合体、つまりマッコウクジラのシルエットで形作り、そいつを優雅に空の上で泳がせたのである。もちろん、自分達から見て左方向に。
それと同時に、マニーも右方向に同じく虹色蝶の大群を生み出し、それを1つの集合体(そっちは女王バチ)にして飛行させた。
その間にも、地面からはどんどん例の食虫植物が浮上してきた。アツモリソウを巨大化したような彼らが大きく口を開け、僕達が生み出した虹色蝶の鯨と蜂に気を取られている。
てゆうか、デッカ!!
なにあいつら、見た感じ軽く3mはいってないかあの口のデカさ!? あんなのに食われたら絶対終わるわ。見た目も不気味だし、インフルエンザの時の夢に出てきそう。
しかしマニーも当時、よくそんな奴らから逃げ切ったな。
(つづく)
ゆっくりと、丸太のゲートが開く。礼治は足元へと目を向けた。
「となれば、この先で静止させるべき『対象』はかなり広範囲になりそうだな… なら」
そういって、自分の所へ寄り集まっているラビット達の頭を撫でる。
すると、ラビット達が喜んだのか、耳の中からどんどん青いオーブが沢山出てきた。それらを礼治が手で掬い上げるように触れ続けていると、
「「え…!?」」
サリイシュがその後の光景に驚く。
それもそのはず。礼治の左米神、首筋、手首、腕と、全身いたるところからタトゥーが浮かび上がってきたからだ。仕組みを知らずに見た側からすれば、ちょっと不気味かも。
「これでよし、と。ソースラビット達から出ているマナを取り込み、魔力を補える事がこれで分かった。大丈夫、このタトゥーは魔法を使えば使うほど元の状態に沈まるよ」
「「ホッ」」
そう安堵の反応を頂いたところで、礼治が立ち上がる前に再度、ソースラビット達の顔を見た。彼らは人型以外の中でも珍しく、表情が豊かで、ニコニコと笑っている。
そのうちの1匹の頭を撫で、こう呟いた。
「それにしても… 不思議な生き物だな」
「うん。耳からマナが出ているんだ、不思議に思えても無理はない」
「それもそうなのだが… なんて言うんだ? この世界にきて、初めて会うはずなのに、どこか懐かしい感じがするというか」
「懐かしい?」
「2人ともやっほー」
と、ここで僕のお出まし。傍から見れば、突然のムードぶち壊し(?)。
全員そちらへ振り向くと、実は僕の他にヘルも連れてきているのだが…
「アキラ。ケガは大丈夫なのか?」
「うん。ヘル達が作る薬のお陰で、この通り、ほぼ全ての手当てが済んだよ」
といい、先の激戦で火傷を負っていた部位を見せる僕。今ではその影もないくらい、キレイに治してもらったものだ。やっぱお医者さんって凄い。
「ヘルはどうしてここに?」
続けて、僕の隣にいるヘルへと質問した。
余談だが、僕達が暗黒城へ出陣している間、彼はこの世界の薬学や食生活について調べていたところである。
「これからその先の、例の食虫植物がいる場所へ行くときいて、少し気になったんだ。彼らが通せんぼをしている先に、どんな生き物や植物が生えているんだろうってな」
と、ヘル。マニーが肩をすくめた。
「それなら、実際その場へ行った際に俺が知っているものが見つかれば、説明は出来るかもしれない。ただ、その前がとにかく厄介なんだ。礼治さんの力を抜きにすれば、どんなに高い上空から攻めようと、奴らはあの手この手で攻撃してくる」
「なるほど。だから、これから現地で黒焔の葉脈を地面に伸ばしていき、彼らの動きを根こそぎ止めながら前に進む、と」
ヘルが顎をしゃくりながら言うと、マニーと礼治が揃って静かに頷いた。
僕は、ある問題点に気づいたものだ。
「でも、そうなると礼治さん以外は前へ進めないんじゃ? 自分達まで足止め食らうぞ」
「ん? そこは、地に足を付けなければいいだけの事では? 空を飛んで、2人の後を付いていくとか。俺だったらそうするけどな」
と、ヘルがいう。
そういえば、ヘルと若葉も一応は空を飛べるんだったか…
「て、ちょっと待てい!! そんな簡単にいうけどヘル、少しは言われる側の気持ちにもなってくれよ! 自分は空を飛べるからってさぁ!?」
「え? あっ…! そうか。セリナはまだ」
「ムッカァ!」
これだから飛行マウント腹立つわぁ!
こちとら、まだそこまでの力を取り戻してないんだよ泣くぞ! とまでは口に出さずとも、その意味を理解したサリイシュも気まずそうに苦笑いをする始末。
すると、マニーがふと空の色を見た。
「ところで、もうすぐラビット達の食事の時間だな。2人とも、今日はご苦労さん」
「え? あ、ホントだ! もう空の色が」
「早いな。それじゃあ、僕達はこの辺で」
そういって、ソースラビット達を連れてこの場を去っていくサリイシュ。
というわけで今、この森には僕達男4人だけという、むさ苦しい光景ができてしまった。
「よし。子供達も去った事だし、これでまた『私達もいきたーい!』なんて言われなくて済む。アキラ、ヘル。俺に考えがあるんだ」
「「?」」
と、急に何か思いついたのだろう笑みを浮かべ、僕達を見据えているが… マニュエル?
もしかして、さっきのごはんタイムを口に出したのは、その為の!? まぁ詭弁《べん》とまではいかないんだろうけど、本当ならさっきのソレはちょっと狡くないかいお父さん!?
にしても一体、僕達に何を提案するのだろう?
これには1人取り残されている礼治も、さっきからマニーの話があまりにも長いからか、チラチラとゲートの奥へ目を向けたりと、少し落ち着きがなかった。
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「アキラ。俺が指示を出すから、そしたら左方向にクジラをよろしく!」
「なるほど。虹色蝶の大群で彼らより大きく見せて、ヘイトを集める作戦か」
ヘルがそう納得した様子で、マニーと同じく頑丈な縄を持ちながら、空を飛んでいる。
黒い羽根の翼と、モルフォ蝶の翼。そんな男2人がともに縄を括っている先、僕は心を無にした状態でぶら下がっていた。
どういう事かというと、例えるならスカイダイビングでパラシュートを開いたのに、途中で木に引っかかってしまい、宙ぶらりんになって動けなくなっているアレと一緒。
今の僕は、胴体をたくさんの紐と安全ベルトで固定され、宙に浮かばされている状態なのだ。ズボンの上にでっかいオムツみたいなの履かされてるし、メチャクチャ恥ずいのだが。
その間、マニーとヘルの会話はこうだ。
「デコイは1体でもいけるけど、2体もいれば彼らは完全にそっちへ気を取られ、礼治さんがいる所に見向きする者はいない。遠くにまで首が伸びる奴が相手だから、念には念をだ」
「なるほど。それだけ、なんとしても植物を“倒す”のだけは避けたいんだな?」
「まぁね。ここからはあくまで俺の推測だけど、きっと彼らがあれだけ通せんぼに必死なのは、俺が降りた場所とは別に、その奥に触れてほしくない『領域』があるからだと思う」
「…あぁ。俺もそんな気がする。あ! あそこが動いた!!」
早速、ヘルの視線の数十m先から、何かがモゾモゾと浮上しはじめた。
そいつは次の瞬間、地面から飛び上がるようにバーン! と轟音を鳴らし、風の様な声(音?)を上げたのだ。僕達の気配に気づき、目を覚ましたのである。
「アキラ!」
「うん!」
~♪
僕はマニーの指示通り、すぐに虹色蝶の大群を遠隔で生み出した。
それらを1つの集合体、つまりマッコウクジラのシルエットで形作り、そいつを優雅に空の上で泳がせたのである。もちろん、自分達から見て左方向に。
それと同時に、マニーも右方向に同じく虹色蝶の大群を生み出し、それを1つの集合体(そっちは女王バチ)にして飛行させた。
その間にも、地面からはどんどん例の食虫植物が浮上してきた。アツモリソウを巨大化したような彼らが大きく口を開け、僕達が生み出した虹色蝶の鯨と蜂に気を取られている。
てゆうか、デッカ!!
なにあいつら、見た感じ軽く3mはいってないかあの口のデカさ!? あんなのに食われたら絶対終わるわ。見た目も不気味だし、インフルエンザの時の夢に出てきそう。
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