俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第九章

正義

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「ユスティーツ!!」
彼はにっこりと無邪気に笑って見せる。
「もう大丈夫ですよ、御二方。ここにヒーローがいるから!」
そう言うのと同時に剣を振るう。ユスティーツの制裁を初めて見たあの日を思い出す。その動きには一切無駄がない…いつも以上に。創造主の所へ乗り込んだ時は、死体をぐちゃぐちゃにして血を撒き散らしていた。今は身体からの出血が最小限に抑えられている。的確に急所を攻撃された男達は、悲鳴を上げる時間も与えられずに倒れていく。全員死んだ事を確認すると剣をしまい、その場で腰を抜かしているイデーに微笑みかけた。
「立てる?血は付かないように気を付けたけど、洋服は汚れていない?」
イデーがこくりと頷くと、紳士的に手を差し伸べた。イデーは掴まって立ち上がる。しばらく呆然としていたが、やがて一つ深呼吸をして声を出した。
「…礼を言う。汝の助けが無かったら、死んでいた。」
そして俺を振り返ると指を指してきた。
「シャル、汝が本来ならば我を助ける役目だ!護衛失格だぞ!」
「す、すまない。イデーなら、一人で何とか出来るかなって…。」
まぁまぁ、とユスティーツがイデーをなだめ、俺を指す手は下ろされた。
「シャルさん、女の子はちゃんと守ってあげないと!」
ユスティーツに苦笑される。女の子はって、差別ではないだろうか。そもそもイデーの中身が本物の女性なのかすらも不明だ。
「ユスティーツは優しいな。」
イデーがどこかそわそわしている気がする。まさか、今のでユスティーツに惚れたのか?そんな事をしている場合ではないのに。
「ユスティーツ、俺達と合流しよう。フェイのアーベントを改造して、エーファを探すらしい。」
「あ、それならオレ、こんな物を見付けたよ!」
ユスティーツが服と本を取り出した。それを見たイデーが叫ぶ。
「エーファの服と『我らの書』…!」
「我らの書?」
イデーは俺の質問に頷きながら、ユスティーツから本を受け取る。
「福音書のような物だ。我を神と崇める獣人はこれを読み、教えを学ぶ。」
ユスティーツが服を広げる。確かにそれは、エーファが着ていた服だった。
「えっと、じゃあ本もこの服も、エーファの持ち物って事?」
ふと思い付く。
「それをアーベントに使えば、匂いが分かるんじゃないのか!」
イデーが本を懐かしそうにパラパラと捲りながら返答する。
「嗅覚を改造すると言っていたな。先程まで身に付けていたそれらならば、匂いが残っている可能性は高い。」
「オレ、お手柄だね!早速アーベントとやらの所へ行こうよ!」
ユスティーツが顔を輝かせて言う。一人で活躍出来た事が余程嬉しかったのだろう。
「…そうだな。行こうシャル、今ここにこれがあるという事は、奴は変装して逃げ切るつもりだ。」
「素直に喜んでもいられないって事か。急ごう。」
俺達は元来た道を引き返し始めた。
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