俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第十章

特殊能力

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「…は!?」
思わず聞き返す。
「貴様の話を聞くと、創造主はエーファだけでなくアーダムの存在も示唆している。俺達が会ったのはエーファだけだ。エーファはアーダムをヴェルトへ呼び出そうと企んでいる。…シュティレは、アーダムの『器』にされる可能性がある。」
最後の言葉を告げる時のオルクスは、微かに表情を歪めていた。
「器…って、シュティレの身体の中にアーダムのデータが入るって事か…?そんな事が出来るのか!?シュティレはどうなる!?」
彼は詰め寄る俺を不愉快そうに手で押し退ける。はぁ、とため息が返ってきた。
「アーダムに直接聞いたらどうだ。今は結果より対処法が重要だ。エーファ自身が言っていた、壊れやすい中央教会…貴様は創造主に言ったそうだな、ヨシュカの特殊能力について。」
「あ、あぁ…」
「ユスティーツの特殊能力には気付いていなかったな。」
「あ…!」
言われてみればそうだ。何故今まで気が付かなかったのか。しかし今考えてみても特に不思議な所はない。首を捻っているとオルクスが口を開く。
「俺も最近まで疑問だった。だが、貴様の報告…創造主の発言を聞いて分かった。ヨシュカはエラーの時の暴走を止める存在、ユスティーツはその役目を十分に果たせる存在だ。」
「どういう意味だ?」
「ユスティーツはただ『強い』。他の剣士に比べても、俺達ヨシュカの中でもな。彼奴はまだ特殊能力を使った事が無い。彼奴の特殊能力は、全てを破壊する馬鹿力だ。」
馬鹿力?そんなものが特殊能力と言えるのか。
「可能性の話だが…ヴェルト自体を破壊出来るかもしれない。」
話の流れが見えてきた。
「全てを破壊するユスティーツに、一番壊れやすい中央教会でヴェルトを壊させる…そういう事か?」
「最悪の場合は、そうだ。最初はそれを脅しに使えば良い。シュティレの意識をヴェルトに奪われたまま破壊するのは得策と思えない。それに、俺達は創造主と契約した。三日以内にエーファを捕らえる事だ。契約違反してシュティレを救おうとしていると創造主に悟られたら、創造主からの邪魔が入る。」
脅しというのは、恐らくエーファに対してだ。創造主に脅しは効かない。シュティレの意識を奪った彼女なら、その気になればユスティーツの意識を…いや、命さえも奪う事は容易だ。俺は現実リアルで自分の装置に触れた。愛着のあった装置は、冷たく、固い。今となっては額に拳銃を突き付けられているようなものだ。
ただ。俺は思い出す。この状況を作り出したのはエーファだ。エーファもシステムを操る事が出来ている。
「なぁ、エーファに邪魔される事は無いのか?」
「奴はユスティーツの能力に気が付いていない。知っているのなら、既に彼奴に接触しているはずだ。あの便利な馬鹿力を見過ごす訳がない。」
オルクスは真っ直ぐに俺を見た。
「交渉しろ。ユスティーツは俺達にも、エーファからしても切り札だ。…本来ならば、創造主の切り札だからな。」
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