10 / 95
第一章
ブーフ
しおりを挟む
『旧次元』に『新次元』。俺が思うに、きっとこれは旧次元と新次元のことだ。アーダムとエーファは分からない。創造主の親なのだろうか?
「…そりゃ、こんなの読まされたら気にならない訳ないよな…この世界の真実。」
しかし、仲間が必要だ。アーダムとエーファのように、俺とレーツェルだけでは足りない気がする。やはり最初に決めたように、他のヨシュカを探す。そして…仲間となってもらう。
「問題は、どうやってヨシュカを探すかだよな…。」
ブーフをパラパラとめくっていると、教会のドアが控えめにノックされた。
「シャル。お客さん。あなたに悩みを聞いて欲しいって。」
(…これだ。)
「ああ。入ってくれ。」
レーツェルと共に来たのは、30代くらいの男性だった。体は少し弱々しい。おどおどと話す。
「あなたが、プファラーですね?」
完璧な笑顔で答える。男はすがるような目になった。
「良かった…。フライハイトにはプファラーがいなくて、とても悩んでいたんです。」
「そうでしたか。悩みとはなんでしょう。伺いますよ。」
レーツェルが男を座るように促す。男と俺は横に並んで座った。
「実は…最近、このフライハイトで旅の者を見かけまして。エアモルデンに行く途中の様でした。しかし、それがまだ初心者の少年なのです。止めても聞きませんでした。その後、エアモルデンで騒ぎがあったと聞いて…もしや巻き込まれてはいないかと…心配で。ですがフライハイトでは、エアモルデンに行く者とは関わらないという暗黙の了解がありましてね。確認する術もないのです。」
男は一気に話した。俺は、自分も心が痛むというような顔をして頷いてみせる。
「なるほど…。大丈夫、あなたに罪はありません。あなたは一度、彼を止めたのですから。」
当たり前のことを最もらしく言う。これで十分だと思う。この男は、自分の行為を他人に肯定されたかっただけだ。
「ありがとうございます。それを聞いて安心しました。」
…何か引っかかる。チャンスを捨てているような予感がする。
(…ファルベが言っていた、『制裁』。それがもし、罪を犯した者を消すことだとしたら…それはエアモルデンでしかできない!つまり、エアモルデンに行けば制裁を下すヨシュカに会えるかもしれない!!)
「…待って下さい。僕がエアモルデンに行きましょう!」
レーツェルと男は信じられないといった顔をした。
「え!?…でも、プファラーさん、そこまでする必要は…。」
「気になさらないで下さい。僕はまだエアホーレンとフライハイトしか行ったことがないんです。観光ついで、ですよ。」
「止めて。」
男が口を開いたが、レーツェルの方が先に声を出した。
「危険って、言った。」
「レーツェル…。すぐ戻るつもりだよ、教会をずっと空けておく訳にはいかないからね。」
できるだけ穏やかに言った。しかし、レーツェルは納得がいかないと小さく首を振る。
「大丈夫だよ。危険だったらすぐ戻る。」
「…どうしても行くのなら、私も行く。」
「え!?」
レーツェルはエアモルデンから逃げて来た筈だ。ということは、俺の身を案じて付いてきてくれるということ…な訳ないか。
「レーツェルは無理しなくていいよ。」
「あなたは無理してもいいの?」
即答された。空気と化していた男がようやく発言する。
「…ま、まあまあ。いいじゃありませんか、プファラーさん。お嬢さんの意見も当たり前ではありますよ。まだ初心者なんでしょう、付いてきてもらえばいいじゃないですか、ね?」
俺はため息をつく。レーツェルはあれだけ言っておきながら、俺の返答に怯えているように見えた。
「…いいよ、行こうか…レーツェル。」
レーツェルの無表情がほんの少し動いた気がした。
「うん。」
俺は先程覚えたプファラーっぽい言葉を男にかけた。
「創造主のお導きがあらんことを。」
「…そりゃ、こんなの読まされたら気にならない訳ないよな…この世界の真実。」
しかし、仲間が必要だ。アーダムとエーファのように、俺とレーツェルだけでは足りない気がする。やはり最初に決めたように、他のヨシュカを探す。そして…仲間となってもらう。
「問題は、どうやってヨシュカを探すかだよな…。」
ブーフをパラパラとめくっていると、教会のドアが控えめにノックされた。
「シャル。お客さん。あなたに悩みを聞いて欲しいって。」
(…これだ。)
「ああ。入ってくれ。」
レーツェルと共に来たのは、30代くらいの男性だった。体は少し弱々しい。おどおどと話す。
「あなたが、プファラーですね?」
完璧な笑顔で答える。男はすがるような目になった。
「良かった…。フライハイトにはプファラーがいなくて、とても悩んでいたんです。」
「そうでしたか。悩みとはなんでしょう。伺いますよ。」
レーツェルが男を座るように促す。男と俺は横に並んで座った。
「実は…最近、このフライハイトで旅の者を見かけまして。エアモルデンに行く途中の様でした。しかし、それがまだ初心者の少年なのです。止めても聞きませんでした。その後、エアモルデンで騒ぎがあったと聞いて…もしや巻き込まれてはいないかと…心配で。ですがフライハイトでは、エアモルデンに行く者とは関わらないという暗黙の了解がありましてね。確認する術もないのです。」
男は一気に話した。俺は、自分も心が痛むというような顔をして頷いてみせる。
「なるほど…。大丈夫、あなたに罪はありません。あなたは一度、彼を止めたのですから。」
当たり前のことを最もらしく言う。これで十分だと思う。この男は、自分の行為を他人に肯定されたかっただけだ。
「ありがとうございます。それを聞いて安心しました。」
…何か引っかかる。チャンスを捨てているような予感がする。
(…ファルベが言っていた、『制裁』。それがもし、罪を犯した者を消すことだとしたら…それはエアモルデンでしかできない!つまり、エアモルデンに行けば制裁を下すヨシュカに会えるかもしれない!!)
「…待って下さい。僕がエアモルデンに行きましょう!」
レーツェルと男は信じられないといった顔をした。
「え!?…でも、プファラーさん、そこまでする必要は…。」
「気になさらないで下さい。僕はまだエアホーレンとフライハイトしか行ったことがないんです。観光ついで、ですよ。」
「止めて。」
男が口を開いたが、レーツェルの方が先に声を出した。
「危険って、言った。」
「レーツェル…。すぐ戻るつもりだよ、教会をずっと空けておく訳にはいかないからね。」
できるだけ穏やかに言った。しかし、レーツェルは納得がいかないと小さく首を振る。
「大丈夫だよ。危険だったらすぐ戻る。」
「…どうしても行くのなら、私も行く。」
「え!?」
レーツェルはエアモルデンから逃げて来た筈だ。ということは、俺の身を案じて付いてきてくれるということ…な訳ないか。
「レーツェルは無理しなくていいよ。」
「あなたは無理してもいいの?」
即答された。空気と化していた男がようやく発言する。
「…ま、まあまあ。いいじゃありませんか、プファラーさん。お嬢さんの意見も当たり前ではありますよ。まだ初心者なんでしょう、付いてきてもらえばいいじゃないですか、ね?」
俺はため息をつく。レーツェルはあれだけ言っておきながら、俺の返答に怯えているように見えた。
「…いいよ、行こうか…レーツェル。」
レーツェルの無表情がほんの少し動いた気がした。
「うん。」
俺は先程覚えたプファラーっぽい言葉を男にかけた。
「創造主のお導きがあらんことを。」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜
namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。
かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。
無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。
前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。
アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。
「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」
家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。
立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。
これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる