俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

文字の大きさ
15 / 95
第二章

最初の制裁

しおりを挟む
「シャルさーん!お待たせ!」
シュピッツを店の奥に行かせた直後、ユスティーツが到着した。
「早速行こうか!オルクスに取られたら嫌だからね!」
「…その、オルクスって誰?」
ユスティーツはベンチを取り出しながら答えた。
「エアモルデンのヨシュカだよ。」
(!この近くに、エアモルデンのヨシュカが…!?)
ユスティーツはベンチに乗るように促した。俺は少し緊張しつつ座った。
「…そういえば、俺がヨシュカだってどうして分かったんだ?」
「あぁ!それならまあ、勘に近いかな。フライハイトにはまだヨシュカが居なかったし、プファラーがわざわざオレを探しに来るのは不自然だったからね!駄目元であの吹き出しを出したって訳。」
なるほど。ヨシュカかどうかわからない時は、一人言モードで話しかければ分かるってことか。
「エアモルデンにテレポート!」
【テレポート・エアモルデン   実行します】

本日二回目のエアモルデンだ。まだ日は高いし、ユスティーツもいるから安全だと思いたい。
「そいつらがどこだか分かるのか?」
「うん!勘で!」
…大丈夫だろうか。
しばらく移動していると、突然ベンチの動きが止まった。体が前に倒れそうになる。吹き出しの文字が薄くなって、ユスティーツが囁いていることが分かる。その目線の先には、数人の男達がいた。そして…あの女性も。
「いたいた!じゃあオレ片付けてくるから、そこで見てて!」
軽い調子で言うと、ユスティーツはひらりとベンチから飛び降りた。
「ねぇねぇ、おじさんたち!そこで何してるの、気になるな!」
男達は動揺する。一人が答えた。
「お前には関係ないだろ、あっち行け。」
「関係が無いって?残念だけどあるんだよね!」
満面の笑みを浮かべる彼に、男達はざわつく。彼はゆっくりと、見せつけるかのように右手を前に伸ばした。
「メッサー発動。」

【メッサー発動】

【剣士メッサー・『正義のつるぎ』】

何も無かった空中から黄色い光が出て、次第に剣の形になっていく。
光がゆっくりと消えると、そこにはいかにも勇者が持っていそうな剣があった。
彼はそれを掴みとると、そのまま後ろに振りかぶって襲いかかる。
一瞬見えた顔には、ぞっとするほど純粋な笑みが浮かんでいた。
軽く撫でるように当てるだけで、男達の力が抜けていく。倒れた体からは血が溢れ出る。
ほんの数秒ほどで、決着はついた。
ユスティーツは呆気にとられた彼女に、優しく声をかけた。
「ふぅ!終わったよ、大丈夫?」
彼女の体がびくりと跳ねる。
「…あ…ありがとうございます。」
「無事みたいだし、オレたちは帰ろっか!いいよね、シャルさん?」
「送って行かないのか?」
女性一人ここに置き去りにする訳にはいかないだろう。彼女も心配そうにユスティーツを見上げている。しかし彼は信じられないようなことを言った。
「一人で帰れるよね!大丈夫、また何かあったら助けるからさ!あ、あとオレたちのことは秘密ね?」
「え?お、おいユスティーツ…?」
「シャルさん、行こう?早く戻らないと!」
ユスティーツに無理矢理ベンチに乗せられ、何か言う前にテレポートが始まった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜

namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。 かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。 無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。 前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。 アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。 「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」 家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。 立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。 これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...