俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第五章

アーベント

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「捕まえるって、どういうこと…?」
俺の代わりにシュティレが質問してくれた。
「だからぁ~ないとが死んじゃったからぁ、他の熊さん捕ってきてよぉ!」
答になっていない返事が来る。フェイはただをこねる子供のように地団駄を踏んだ。
「熊を捕まえればいいってことなら…了解した。」
「よろしくぅ!」
シュティレはその指示で満足したらしい。
「シュ、シュティレ?」
「シャルも…行く?」
彼女は振り返った。この状況でフェイと二人きりは遠慮したい。
「うん、行くよ…その前に、傷大丈夫?」
「…すっかり忘れていた。」
薬を取り出すと、傷口が光り修復されていった。
「ちょっとぉ…早くしてよぉ?」
フェイに急かされるようにして俺達は駆け出していった。
「…と言っても、そこら辺にいるのかな?熊って。」
「エアモルデンには、沢山いる…。」
走り疲れて歩き始めると、シュティレもそれに合わせてくれた。
時折草が揺れるのではっとする。しかしそれは風か、兎のような小動物だった。シュティレは何故か兎になつかれてしまい、兎を連れたまま進むことにした。
「可愛いね、うさぎ。」
話すことがないので兎の話をしてみる。シュティレは頷いただけで、特に何の反応も無かった。
兎は白い毛で、赤い目をしていた。シュティレにちょっと似ているな、と思った。
観察していると、兎が突然走り出した。追いかけようとすると止められる。
「シャル…近くに、いる。」
「いるって…。」
シュティレはかがんで兎の足跡にそっと触れた。
「熊が、いる。兎はきっと…熊と反対方向に逃げたんだと思う。」
地面が揺れた気がした。地響きのような、これは…ついさっき経験したばかりだ。
「…足音がするね。」
彼女は銃に薬を入れた。
「睡眠薬だから…死なない。」
それを見ていた俺の顔が不安そうに見えたらしい。
「一発で、仕留める。」
そう言うと俺の後ろに向かって発砲した。
あまりの速さに、俺に銃が向けられた時は驚く暇もなかった。
振り向くと熊はうつ伏せに倒れていた。
(呆気ないなぁ…)
熊の運びかたは分からないので、俺がフェイを呼びに行くことになった。
シュティレなら熊が復活しても大丈夫な筈だ。熊と二人きりにしておくより、フェイと二人にする方が心配だった。
(口軽そうだから、ヨシュカのこととかすぐ言いそう…俺もフェイと二人きりは嫌だけど)
何となく、フェイは苦手だ。
「フェイ!熊捕まえたよ!」
フェイはその場で座って待っていた。
「お疲れ様ぁ!」
フェイは俺を見ると立ち上がって俺が来た方向へ駆け出した。
「あっ、ちょっと…!」
慌てて後を追う。途中何度も長い蔦などで転びそうになりながら、やっとシュティレの所へ着いた。
フェイは既にいて、熊を眺めていた。
「決めたぁ!この子はぁ…アーベントぉ!」
どうやら名前を考えていたらしい。一人でうんうんと頷くと、頭を撫でた。
「メッサー。」
彼女はごく自然に、その言葉を呟いた。

【メッサー発動】

【狩人・メッサー   『ファミーリエ』】

とっさに身構える。しかし、彼女が攻撃する素振りはない。
不思議に思うと熊に変化があった。
熊の体が光り、どんどん小さくなっていく。最後には毛皮が布に変わり、ぬいぐるみとなってしまった。それは、写真で見たあのぬいぐるみと瓜二つだった。
「これが狩人の能力だよぉ。」
フェイはぬいぐるみを抱き上げて、挑発的に笑った。
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