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プロローグ
しおりを挟む「奴隷は人間ではない。ただ、生きているモノなのだ」
この国で生まれたものはそう言われて育つ。
薄暗い室内。そこには大きな鳥かごが沢山あり、地べたに置かれているモノから天井からぶら下げられているモノ、様々なモノがある。
中に入って居るのはニンゲンだけではない。獣も同様だ。だがしかし、そのすべてに共通していることがある。檻に入れられたモノは全て目に光が入っていないのだ。生きているのにそれはまるで死んでいるようだ。
一ミリも輝きのないそんな空間に突如、光が刺す。
「ようこそ、奴隷館へ」
扉が開いた瞬間、館の主らしき男が慌てて奥から生き生きと出てくる。モノたちはというと、見向きもせず、何も変わらない。
「こんにちは。お久しぶりです」
「おお、ゴドウィン女侯爵様。ここへは二年ぶりでございますね」
「ええ」
男は気持ち悪いぐらいに彼女へ愛想をしている。奴隷たちだけがいたその空間の時と態度が大違いだ。
「それで侯爵様、本日はどのようなものをご所望で」
「それがまだ決めていないのよ。一度すべてを見てみてもよろしいかしら?」
「もちろんでございます」
彼女がそう言うと室内は一気に明るくなり、特にモノたちの顔は目立つようにさせらえる」
彼女はゆっくりと見て回る。だがずっと無表情だ。館の主はというと少し不安げな顔だが笑顔は絶やさない。
「これですべて見回ったのよね?」
「はい」
彼女は階段を駆け上がり、一番上にぶら下げているモノを指さす。
「この子はどういう子かしら?」
「はい、その者の名はルーク。女性からも男性からも皆から好かれる人気の性奴隷となっております。二年前に買っていただいたモノとまた違う魅力があり、当店自慢の品となっております」
「なるほど、良いわね。この子にするわ」
「ありがとうございます。それで、期間はいかほどといたしましょう?」
奴隷を買うとき、この国では必ず期間が問われる。十年前までは奴隷を買うということは一生自分のものになるということだった。しかし数年前、奴隷は誰でも気軽に買える生きているモノとなり、時間貸し出し制度ができたのだ。それで一気に奴隷は広まってしまったわけだが。
「一生よ。この奴隷の一生を買いましょう」
男は歓喜にあふれんばかりの表情をする。
「おお、さすが侯爵様。いつもありがとうございます。では、奥で手続きをいたしましょうか」
「そうね」
しばらくし、二人はまた表に戻ってきた。
買われた奴隷は鍵を開けられ外へ一歩出る。
「さ、今日からお前のご主人様だ。可愛がってもらうんだぞ」
「はい」
「それではルーク、行きますよ」
「はい、ご主人様」
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