蹴りスキルと投擲スキルで異世界無双

珀弼

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第二章 北の国 セヴェノール

01 北の国 セヴェノール

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    中央国家ノーメルンから出発した俺たちは1つ目の国である北に位置する聖女『フワルキーナ』を崇める国、セヴェノールへむかっているところである。
    そういえばということで、フィーアート、リオート、ボルデガンは冒険者登録をしていなかったため、出発前に済ませておいた。もちろん全員Sランク。おかしいパーティが出来上がってしまった。なにこれ?強くてニューゲームどころじゃないが?
    こんなのどこぞのラノベよりもなんか強すぎるだろ…。
    というかソフィもSランカーだったとか。
    え?ノーメルンって冒険者国家なん?

    …とりあえず今はいいか。

    ◆◇◆◇◆

     馬車に揺られながら、ソフィに今回の派遣の件について話を聞いてみた。
    「派遣…というかなんで各国を回る必要があるんだ?」
    「それはですね、世界の均衡を保つためっていうのが一番ですね。実際私たちの出身であるノーメルンがどの国よりも戦力がずば抜けて高いです」
    「たしかに、俺ら以外にもSランカーが何人もいるんだよな」
    「はい、Sランカーが多いと戦争など国同士で争い事になると戦場に行くことが義務付けられてしまいます。かつて、戦争があると言って各地にちらばっていたノーメルンの冒険者たちは遠慮もいらないということで、みな普段出せない本気を出して敵国を囲いこんで数時間で滅ぼした…ということもあったそうです」
    「お、おう…。思ってた以上にノーメルンやばいな」
    「一点に強大な力が集まってしまうと戦力が偏りすぎるので、暗黙の了解で散らばってもらっている…という感じですね。冒険者たちは噂などの情報に長けている人も多く居ますのですぐに広がり、浸透してしまうのです」
    「ふむ。たしかに我らも一度ハヤテが来る前に襲撃を受けたな」
    「まじで!?ザード…大丈夫だったんだ」
    「まあもとより我らの森は高ランクの魔物の住処であるが故、訪れる冒険者も強い者も幾つかおったな。ハヤテほど規格外ではなかったが、傷をつけられる者もいるのだと関心したな」
    「うへぇ~」
    「話を戻してもいいですか?」
    「ああ、ごめんよろしく」
    「ありがとうございます。それで、こうやって各国に散らばることによって、他国の戦力をSランカー達によって底上げし、魔族との大規模戦争に備えているというわけです。その他にも他国の文化を知る、ということも含まれているんですけどね。修行するんだと言ってノーメルンを出ていった吟遊詩人も居たりしましたよ」
    思っていたより、ノーメルンがやばい。そりゃすぐに行ってこいって言われるわけだわ。
    納得。
    他の国の状況を知ることも出来るという点では全然問題ないけどなぁ。
    知らんことばっかだがな。


    あ、そういえば
    「ちなみに今向かっているセヴェノールってどういう国なんだ?聖女がいるとかそれぐらいしか知らないが」
    「そうですね、少し長くなりますが説明しますね。
    セヴェノールは光の聖女フワルキーナを崇める宗教国家です。
    魔族領と一番近い国なんですが、1番魔族領と仲が良くない国と言われています。
    フワルキーナに行ってもらったSランカー達に伝達魔法で聞いたところによると、『魔物は全てが敵で容赦を必要としない』、『ある意味人間領の中で1番狂ってる国』、『魔物、魔族に家族が居ようと関係なくフルボッコ』『魔物の女子供にも容赦すらしない』。そして皆が口を揃えて言うことが『聖女優先・・・・』。自分たちの命は二の次みたいな感じらしいです。」
    「それでよく人間領との関係は良く保ってるな。もっといざこざとか、意見の対立とかありそうだけど」
    「私もそう思うんですが、恐らく聖女様が国の権力を持ち、いざこざが起こらないように手配・・しているのかもしれません」
    「なんとまあ怖いのう。数百年前まではそんな国家聞いたことすらなかったがな」
    「リンも知らなかったってことは最近こうなったのかな。ボルデガン、知ってた?」
    「そうだな…。ああ、確かに人間領で唯一近づいては行けない危険国家に、二十年前だったか魔王様が制定した法にあった気がするな」
    「うそん…。魔族領でも危険国家に制定されるぐらいの国家って…」
    「光、聖女。そんな綺麗事にかき消されていますが、血の絶えない戦争国家とも言われています。
    セヴェノールは別名、
    『戦血の狂乱国家ブラッディ・ストラナー』とも呼ばれているそうです」
    「「「怖っ」」」
    「魔族が敵か…。ボルデガン達は俺の中に入っててもらうか、それともバレないように過ごすか」
    「ハヤテ様」
    「リオートどうした?」
    「私達は既に死んだ身です。ハヤテ様のおかげで姿形をかえれますし、角だって必要ありませんし、名残惜しくてつけているようなものですし。なので心配は無用かと」
    「あっ、そうだったな。って名残惜しくてつけてたんかい。…いやでも、魔力の波長だとか云々で『こいつは魔族だ!魔族とつるんでるぞ!捕らえろ!』ってなったら怖いな」
    「…確かに一理ありますね。その場合は魔族ではなく魔人と答えた方が良さそうですね」
    「一理あるのかよ…。魔族と魔人って違う種族なのか?」
    「これは私が説明致しましょう」
    「おっ、じゃあボルデガン頼むわ」
    「了解しました。簡潔に言うと魔族と魔人は別の種族で、魔族は私たちのような角や、羽など生えた種族で統一されてます。ゴブリンや、スライムなども魔族に分類されますね。また、先程言ったゴブリンから進化して言ったオーガも魔族になります。対して魔人は元が人間だったが何らかの影響を受けると保有魔力が一定を超え、魔人へと変化するのです」
    「なるほど…元人間、ね。確かにそれなら問題なさそうだな。なんか言われたら、それで行こうか」
    「了解しました」

    ◆◇◆◇◆

    「やっと着いたー!セヴェノール!」
    「…街の人々はそんなにノーメルンと余り変わりませんね」
    「そうだなぁ。でもあの別名聞いたらちょっと身構えるよな」
    「それで兄貴、着いたはいいがこれからどこに行けばいいんだ?」
    そういえばフィーアートに何故か兄貴って言われてるんだが何故だ。
    「そうですね…まずは宿を探して、それからギルドに向かいましょう。向こうには話はとおしてありますので」
    「さすがだなソフィ、ありがとな」
    「いえ、そんなたいしたことはしていませんよ。私も受付嬢ですから」
    「じゃあ宿探すか~」

    「宿をお探しなんですかな?」
    フィーアートは急に現れた老人に一瞬身構え、警戒した。お前は猫か。
    「うわっ、びっくりした。爺さん、驚かすのはやめてくれよ」
    「スマンの、宿を探しているようだったからつい、体が反射的に動いてしもうたんじゃ。(あとお主ら外のもんじゃろ?願いを聞いてくれぬか)」
    「!!、ご老人、何か…もご」
    「ボル坊お主は図体だけじゃなくて声も抑えられんか。こやつの紹介する宿で話しを聞くぞ」
    「…申し訳ない。何か同じ気配を感じたもので…」
    「同じ気配か、それも含めて色々聞き出さねばな。フィー」
    「はっ」
    「お主に諜報活動を命ずる。そういうのやってみたかったんじゃろ?」

    リンがフィーアートに情報収集させるために色々言ってるな。リンとあと配下にそういうのにたけてるのがいるから諜報部隊ができそうだな。
    しかし、あの爺さん何者?
    『ハヤテ様』
    『リオート、どうした』
    わざわざ念話で言うなんて、ここでは言えないことか。
    『おそらくあのご老人は私たちと同類です。変装、もしくは偽装をしているのでしょう』
    『ハヤテよ、我もそう思う。他の人間とも明らかに魔力量が他に比べて段違いだ』
    『二人が言うなら間違いないな』
    よし、一旦持ち越して話しを聞くとしよか。

    ◆◇◆◇◆

    爺さんの経営しているお店があるそうなのでお店までやってきた。武器商人らしい。
    同類とか言ってるから三人に任せておくか。
    「それで爺さん、いきなりで悪いがあんた何者だ?俺たちと同じ気がするが、同類か?」
    「ほっほっほ、極魔炎の魔道士のフィーアート殿ですな?」
    「何故わかる?」
    「なぜと申しましても…ふむ、これを見たらわかりますかな?」
    そう言うと老人がおもむろに帽子を脱いだ。
    老人の額の右上には虹色に淡く光る二本の角が生えていた。
    「お前は…!アル爺か…!無事だったんだな!?」
    「アールノンド様…ご無事で何よりです」
    「私の城から追放されたと聞きましたが、まさかこの国にいるとは…。アールノンド、久しぶりですね」
    「ほっほっほ、リオート様とフィーアート様、そしてボル殿。お久しぶりじゃのう。そして三人と共に来てくださった方々、わしは三人の教育係を担当しておりましたアールノンドと申します」
    おお、まさかの運命の再会だな。
    「これはこれはご丁寧にどうも。俺は、あーそうだな、一応三人の主的な関係にいるんだけども、『ノーメルンS級冒険者』のハヤテと言う。こっちの二人は『元ブルクハルト族長』のリンと『元アダルガー族長』のザード」
    「私はソフィです。ノーメルンの受付嬢なのですが、一冒険者且つ使者としてこの国に参りました」

    アル爺さんに事の経緯を説明した。

    「ほぅ。特にハヤテ殿は脅威的な力をお持ちで…。なるほど…、おそらくボル殿の言う通りラゴン魔将が大国であるノーメルンに押しかけたと。そしてたまたまハヤテ殿がいて返り討ちにあってハヤテ殿のスキルか何かが干渉して御三方が復活できた…と」
    「俺が規格外におかしいのはわかる。リンとザードを仲間にしてから…というか死者蘇生とは違うしな」
    「そうですな。どちらかと言うとネクロマンスに近い何かを感じますのう」
    ネクロマンスか…。死者を呼び出して従者にして戦う呪術の類に分類されるよな?リンたちは骸骨とかゾンビとかではないし、霊体に近いからどちらかと言えば召喚に近いのかもな。
    「なあ、リン、ザード。復活…させた時ってどんな風に感じた?」
    「そうじゃのう、心に空いた穴が塞がったような感じか?わしはそう感じたが」
    「リン殿の言ってる事はわかる。我も同じ気持ちに近いな。無理やりに操られているわけでもおらぬし多少力が弱まっているとはいえ、難なく動ける。物体を掴むことも可能であり、霊体のようでもないからな。不思議な感じだとは常々思っていたな」
    ふむ。なんなんだ一体。
    「あ、そういえば二人と一族ごと取り込んだけど、こないだスキル見たら俺自身のスキル以外レベル全部一で簡単な魔法しか使えなくなってた」
    「ほぅ?全て…か。取り込めるが自身のスキル以外は初期状態にしかならぬということかのう」
    「っぽいんだよね」
    「まあなくても充分魔王に通づるから問題ないじゃろ」
    「通じちゃうのかよ!」
    「ボルデガン様ですら軽く捻られておりましたもんね」
    「リオート…直接言ってやるなよ…。俺でもさすがにボルデガン様の前では言わないぜ?」
    「二人とも…思ってたんだな…」
    体格的に一番でかいはずのボルデガンが小さく見える。
    「言うてお前たちも綺麗に遊ばれてなかった?特にリンに」
    「うむ…まあ、わしにとっては手に余るぐらいじゃったし」
    あー、フィーアートが撃沈したな。

    「ほっほっほ、皆さん随分と仲が良いのですな。少しばかり警戒しておったわしが馬鹿みたいじゃのう」
    「じゃあ、警戒も解けたということで本題に行こうか」

    アル爺さんによるとこの国の聖女であるフワルキーナについてのことだった。
    魔族との繋がりがあるのではないか、ということだ。聖女自体が魔族に対して嫌疑しているものだと思っていたが、嫌疑するほどのことはしてないのでは?ということだった。
    なんとも言えない程の矛盾。
    魔族完全排除的な伝えられ方だったけど、実際なにか違うのかもしれんな。
    だが、聖女様主義の政権ができてしまってそれがこの国を支配しているのは確かだ。

    「聖女は何がしたいんだ?魔族嫌いで魔族は全て敵。っていうレッテルというかそういうのを貼ったのは聖女だろ?なのに聖女自ら魔族と組んで街の冒険者たちに討伐させて争いが耐えない国として君臨しているのはようわからん」
    「そうじゃな…数百年前だったか、あんまり覚えてないんじゃが、セヴェノール自体は魔族領と一番近く、魔族と唯一積極的に交流していた国だったとは思ってたんじゃがな」
    「今やその全く逆の政策になっていると」
    「「「うーん……」」」
    「聖女って入れ替わることってあるのか?」

    「「「!!!!」」」

    「それがあったか…!アル爺さん、そういう話って聞いたことある?」
    「うーむ、どうじゃったかのう、ここ近年で政策がごろっと変わったのはそのせいなのかもしれんのう」
    「とりあえずフィーアートの意見を採用!!
ということで、市民が知らないうちに魔族が聖女を人質にとって偽の聖女を置いて政策を変えた。そして混乱を招き、全く逆の政策にした。で、恐らくだけど魅了的な術で市民達を貶めている…ってことでいいかな?」
    「その認識でいいと思います。私個人の意見としてはやはり、勢力の削減だと思います。私たちのノーメルンは冒険者大国ですので兵力を減らすのはかなり難しいです。今こうして分散していても強力であるにはかわりないですから」
    「なるほどなぁ~。ここ以外のほかの国はどうかわかんないけど、裏から操ってるやつがいるかもっていうのは肝に命じて置いた方が良さげだな。とりあえず今日は来たばっかだし、早いうちに休んでおこう」

    とりあえず国単位でやばい事になってんな…。
    これ、聞かれてたら抹殺されそう。

    ◆◇◆◇◆

    「ーー様、本日セヴェノールにノーメルンから来た使者なのですが、どの様になさいますか?」
    「ふむ…。そうだな…、しばらくは泳がせておけ。こちらの存在には気づいていないか?」
    「はっ、恐らくですが一部気づかれているかもしれません。警備を増やした方が良いと思われます」
    「くっくっく…、面白い者が流れ込んで来たではないか。監視を続けろ。この国を我らのものにし、あの方に捧げるのだ」
    「はっ」

    「流れ者か…。あの爺の…。チッ、全く、どれだけ俺を苦しめたら気が済むんだ。覚えておけよ、コダマ…」
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