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第一章 異世界転移と予期せぬ災い

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 君主の居る異世界にファントム全員を、召喚すると見知らぬ世界。想像とは掛け離れた光景に警戒も忘れない。

「──隊長。此処がレイン様の居る世界っすか?早く会いに行きましょうよ!!」

「002!もう少し大人しく出来無いのか?」

「001も早く会いたいですよね?」

「其れは──っ、そうだが…000の命令を無視する気か!?」

 異世界に訪れてからレイン様の気配に、敏感な彼等は喪失感から、癒される様に興奮する部下を001が叱る。

「001…良いんだ。御前達は直ぐに会いたいか?ならば此処で別行動する事になるな」

「「「えっっ!!?」」」

「レイン様の居られる国がアレだろう。レイン様を仇為す者が──森に居ると言えば御前達はどうする?」

「「「!!」」」

 部下の心を揺さぶる事を一言で告げば、彼等は迷わず殲滅を選ぶ。一致した事により全員が僕の背後に隠れる。

「002、004、006は右前に曲がり殲滅」

「「「うす…」」」

「003、005、007は左前に曲がり殲滅」

「「「了解!」」」

「001、008、009、010は僕の後を着いて来い!」

「はい!!」

 ファントムは全員で11人しか居ない。僕は各々3チームに分け、指示を与え別行動を始め常に警戒し乍進む。

「010」

「…居ますね。即刻殲滅します」

「隊長…二時の方向に敵が見えます。殲滅始めます」

「人数が多いので008に着いて行きます」

「009頼んだ」

 各々敵を見付け3人が殲滅しに向かう。残るのは僕と001のみ。数秒の間視線で会話をし広い場所に向かう。

「000」

「001…情けは要らない。躊躇無く殺せ。言われなくても理解しているな?生存者は保護し乍行動する」

「─了解。全てはレイン様と000の為なら」

 暫く進むと芝生から物音がし001は、迷い無く敵かを判断する。緑肌に耳が尖った小人の首に刃を突き刺す。

「………」

 他には敵が居るのに!何故僕の所には来ないんだ!?有り難い事だが嬉しくないな

「────」

「漸くお出ましかぁ?」

 痺れを切らす僕の真上に血迷った蛇が、木から見下ろす様に居た。溜息と共に感情を無にし蛇の居る木を切る。

「────!?」

「遅い──死ね」

「───────!!!」

 僕は襲い掛かる蛇を躱し頭上に跨ると、頭上の重さに蛇は困惑し、血の涙も無く瞳から脳へと何度も突き刺す。

「相変わらず…容赦無いですね」

「仕方無い事だろう。…全ては生き残る為なのだから。コレ食べて良い?」

「駄目でしょうに…」
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