ファンタジー/ストーリー3

雪矢酢

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第一章

二十話 羽を破る闘気

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「もう…勝負は…ついたでしょ?」

「ふふ」

ベルーナの攻撃がどんどん命中し大量出血するアッカ。


「どうしたんだい?」


圧倒的なベルーナだが、不気味な怖さがあるアッカ。


「二人とも、もうやめるんだ」


アレサたちが戻るとアッカはついに陣を発動。
赤い液体が一気に凝固し、二人の登場に気が緩んだベルーナを直撃。
ベルーナも攻撃を受けた瞬間、多数の羽でアッカをカウンター攻撃。命中した羽は爆発し吹き飛んだ。


「相討ち…かしら」

「うわ…」


すぐに体勢を立て直すベルーナ。
折れた羽は吹き飛び片側のみとなり浮遊できなくなってしまった。

「ベルーナさんもう止めて下さい」

レフトはベルーナを説得する。
だがベルーナは戦闘を止めるつもりはない。アッカもすぐに起き上がり再び術を準備する。
その様子にレフトは何かを察した。

「もう二人とも…いい加減に…」

闘気を解放するアレサだったが、レフトはそれを止める。

「なぜ止めるの?」

「…お互いに譲れぬものが…あるみたいだね」

その言葉にアレサは考え込む。
二人はゆっくり後退し戦局を見つめた。


「…あれで決着がつかないとなると…こっちはきびしいな…」

満身創痍のアッカ。
だが、ベルーナも相当なダメージを受けているようだ。

「あなたは…策士…だから私は最後まで全力で…」

とその時、床から赤い糸が伸びベルーナを拘束する。
クモの巣に引っ掛かったようにバタバタともがくベルーナ。

「…これで勝負ありだ」

アッカは膝をつき魔力を使い尽くした。
結界が崩れ去り宿の封印は解除されたようである。
必死にもがくベルーナであったが糸はより複雑に絡まり手も足も出ない。

「ふふ」

勝負ありだが、ベルーナは笑っている。

「アッカは油断ならん人物ね。まあ私の相手にはならないけどね」

冷静な口調のアレサ。

「…」

言葉を返せないレフト。

「アッカ、そこまでよ。そしてベルーナは宝珠を出しなさい。あなたの負けよ」

「奥様、アッカの策略は見事ですが、私はまだ戦えます」

「見苦しい、本当に痛めにあわないとわからないのかしら?」

お互いに牽制している。
ベルーナには勝機があるとは思えない。
糸が絡まり手も足も出ないのだが自信たっぷりである

「さてそろそろかしらね」

「いいわ、そこまで言うなら相手をしてあげるわ」

うわぁ…戦うのか…。
まいったな…。

「ベルーナ」

突然、奥からダンが駆けつける。
ダンは赤いオーラを解放し糸を容易く分解する。

「…これは……そういう…ことだったか…」

何かを悟ったアッカは倒れ、ベルーナが勝利した。

「…まんまと騙されたわ」

アレサも気づいたようである。

「ありがとうダン」

「結界がはられ動きを封じられておりました。今、回復魔法を」

羽は蘇生しベルーナはアレサを睨みつける。

「奥様、外へ。お相手願います」

「愚かな鳥人よ。相手を間違えたこと、後悔するがいい」 

アレサは表面上は冷静だが、内心は怒っているようだ。

「…うわ。機関を撤退させて正解だったよ」

レフトも続き表に出る。



「宝珠の正体…お分かりですか?」

「ええ。そのダンが宝珠そのものなのでしょう」

「はい、そこまで見破るとは…奥様、あなたは何者でしょうか?」

「私の正体?」

そうつぶやくとアレサは闘気を解放させる。
その気迫に怯えるベルーナ。

「…こ、こんな…ことが…」

「私はあなたを滅ぼす者よ。夫にちょっかいを出したり、静かに休みたいだけなのに、騒動になるとか…」

「…ぅう…」

アレサから発するオーラに吹き飛ばされぬよう必死に構えるベルーナとダン。

「さあ、宝珠だろうが、浮遊剣だろうが、かかってきなさい」

「くっ…」

ベルーナの前にダンが立つ。

「…化け物だわ」

ベルーナは上空に羽を飛ばした。それはまるで意志があるようにアレサめがけて飛んでくる。

「ふふ。児戯ね」

上空に手を上げるとアレサはその羽を衝撃波で撃墜。

「…」

言葉を失う二人。

「構えなさい」

突然大きな声をあげダンめがけて強烈な衝撃波を二波放つ。

「ダンっ」

それぞれダンとベルーナに直撃し二人は倒れた。

「あら…」

レフトはやってしまったか…という表情。

「これで終わりなわけないでしょう?」

アレサが発すると、ダンは突然起き上がりアレサの背後をとる。
すぐにダンを攻撃しようとするが、起き上がったベルーナはアレサめがけて羽を飛ばす。

「ふふふ」

アレサは笑い、オーラで羽を消滅する。
さらにダンの腹部に一撃いれ彼を戦闘不能にする。
ぐったりとしたダンを投げ飛ばしベルーナを挑発するアレサ。

「宝珠が何で人の姿をしているのか興味あるわ」

ゆっくりベルーナに近づくアレサ。

「う、ぅう…」

打つ手無しのベルーナ。

「まだやる気なら次は手加減無しよ」

「…う」

「よく聞きなさいベルーナ。あんたが逃げたり、まだ抵抗を続けるなら、この宿は宿泊客ごと破壊するわよ」 

「…」

「ベルーナさん、お話下さい」

レフトは再び説得している。

「ダンをみてあげて」

「わかった」


腕組みしベルーナを見下すアレサ。
のびているダンを介抱するレフト。


「お話します。とりあえず中へ入りましょう」

冷静になったベルーナはゆっくり宿へ戻る。

次回へ続く。

  
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